アカデミックホームステイに参加したある中学生のホームステイ記録(日記)です。彼女がホームステイの中で、何を感じ、何を思い、何を考え、何を得たのか。

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■ はじめに 目次 登場人物
■ 01日目 07月31日
■ 02日目 08月01日
■ 03日目 08月02日
■ 04日目 08月03日
■ 05日目 08月04日
■ 06日目 08月05日
■ 07日目 08月06日
■ 08日目 08月07日
■ 09日目 08月08日
■ 10日目 08月09日
■ 11日目 08月10日
■ 12日目 08月11日
■ 13日目 08月12日
■ 14日目 08月13日
■ 15日目 08月14日
■ 16日目 08月15日
■ 17日目 08月16日
■ 18日目 08月17日
■ 19日目 08月18日
■ 20日目 08月19日
■ 21日目 08月20日
■ 22日目 08月21日
■ 23日目 08月22日
■ 24日目 08月23日
■ 25日目 08月24日
■ 26日目 08月25日
■ 27日目 08月26日
■ 28日目 08月27日
■ 29日目 08月28日
■ 30日目 08月29日

筆 者: 濱 田 純 逸

●08月06日 水曜

午前中、なんとか【注025】Parkの見学。午後から英語の授業。夜は習字の講習会(そのつもり)。すごく疲れた。公園にはキャシーとラナとキムがついてきてくれて、楽しさが増したけど、午後の授業のおもしろくないこと。ねむいけど無理に笑顔をつくってがんばったのだ。燈台にいって、海の石を拾ったのは感激だった。赤、白、緑、等々。宝石みたいな石ばかり。なんか石拾いに来たみたいだった。キャシーがそれを見て、「私のネックレスに!!」という見ぶり。本当にこっちの人は、表現がすばらしい【注026】と思う。あんな風に正直に感情を表現できたらすばらしいなあ。私も地を出したいのだけど、なんかふんいきになじめない。加世田の中学の人にこういわれてしまった。「自分をまるだしすれはいいのに、いやにおとなしいネ。」ショック【注027】だった。学校では自由にふるまえるのに・・・。がんばるぞ!!キャシーにおばあちゃんが作ってくれたカバン【注028】をあげた。ものすごい喜びようで、何回も「Grandmother, thank you!!」と叫んでいた。ついでに習字も教えてあげた【注029】。キャシーは初めてとは思えないほどうまい。ラナとキムの字はどうどうとしている。「これは私の宝物だ!!」と言ってその部分を切りとると、「Oh!」とまた一声。おとうさんあてに手紙を書いてくれていたようだ。どんなこと【注30】かな?

注025
グループの活動は授業や終日研修だけではなく、例えば、午前中は授業で午後から社会見学というように多様性のある活動内容が盛り込まれている。バラエティに富んだ多方面にわたるスケジュール内容のため、ここに記載されているように、そこがなんと言うところであったのか、何をするためのものか、どのような歴史があるのかなど、面倒くささと煩わしからか、ほとんど意に介さなかったり、忘れていく参加者が大半である。この「なんとかPark」という表現も象徴的なことである。
注026
アメリカ人の国民性の一つとして、感情の起伏が大きいということを指摘できると思う。しかし、これは、素直に感情を表現しているからに過ぎない。感情を押し殺して露骨にしないことをその道徳律とする日本人にとっては、相当に面くらうことではある。しかし、一ヶ月間もその環境で生活した参加者は、必ず、アメリカの生活は精神的に楽であったという。何故なら、いろんなことに気を使う必要がないからというのが圧倒的な理由である。その中の筆頭は、アメリカでは自分の感情をそのまま表現することができるというものであり、英語には「敬語がない」ので気分的に楽であるなどの指摘がある。
注027
前注で感じたアメリカ人の特質や特性を、常に自分と対比させながら相対的に、客観的に捉えていこうとする姿勢が強い。つまり、異文化で異なるものを感じたり、触れたり、発見したりしたとき、そのことを常に日本のそれと対比させながら、自分なりにその刺激を昇華させようとする意識が非常に強いのである。この日記の価値あるところは、その内なる心の変容の有様を、瑞々しい感性と素直な気持ちで率直に表現としているところであり、それが私達主催者には極めて資料としての価値が高いものである。
注028
東袋の様なものだったらしいが、アメリカ人は、手作りのものに大変感激をする。もちろん、事前学習会で手作りのお土産を持っていくことを推薦しているので、それを実践したものであろうが、このような具体的な喜び方を示したものを私も初めて目にして、その意を強くする。
注029
これも事前学習会で指導するもののひとつである。センターではお土産には二通りの方法があるという考え方をする。一つは日本から持参する品物のお土産、もう一つは参加者が現地で披露したり、教えたりする目に見えない無形文化としてのお土産である。もちろん、後者のお土産を強く推薦するものであり、先述された日本料理も後者の範疇である。彼女はセンターのこのような指導を忠実に守りながら、ホームステイに望んでおり、指導した者としてみればこの日記の随所にそれらを読み取ることができる。
注030

その時の手紙である。お世話する側の気持ちと、日本にいて心配する保護者の気持ちを配慮して書いた内容のものであるということが容易に理解できる。


田中ご夫妻へ

みゆきさんをはるばるアメリカまで旅行させていただきまして、本当に有難うございます。私どもは、みゆきをわが家にお迎えできて、心から嬉しく思っております。彼女はいつも自分から進んで私の手伝いをしてくれますので、わたくしは大変助かっております。彼女は一度、ヒヤシソーメンを作ってくれました。この日は土曜日で、彼女がアメリカに足を踏み入れた次の日でした。私たちは日本食料品店に出かけ、その時彼女は、ヒヤシソーメンを作ることを思いついたのです。そこには日本語の話せる人がいて助かりました。そして、街で「スシ」を食べました。わたしたちが彼女に与えていた食物は、日本の家で食べていたものとは随分違っていたことでしょう。最初私は、彼女は病気ではないかと案じました。彼女には、もっと睡眠が必要だったのです。「あなたは疲れているんだから・・・」と私は彼女に言い、そしてその後、一緒に休みました。私は彼女を傷つけないようにと願いました。彼女にはお昼寝が必要だったのです。でも、今はもうすっかり、いつもの自分を取り戻しているようです。食事の方も、だいぶ進んでいるようです。会話をスムーズに進めるために、私たちは辞書を使います。みゆきは、とてもきれいな英語を話します。彼女はいろんな話題について、辞書を使わずに文章を作ることができます。竹製のカップをどうも有難うございました。私たちは、それをとても気に入りました。それには冷たい飲物しかいれてはいけないということは、主人も私も知っております。そのカップはとてもすばらしいです。白い花が散りばめられている、青いクロスもとても素適でした。もう一度、お礼を申し上げないと存じます。みゆきについて、アトバイスなどがございましたら、どうぞお手紙を下さい。

キャシー・アレトン

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登 場 人 物
中学二年生のホームステイ参加者/鹿児島県出身 田中みゆき
ホストファーザー/ワシントン州シアトル市在住 ジム アレトン
ホストマザー キャシー アレトン
7歳の双子の姉 ラナ アレトン
7歳の双子の妹 キム アレトン
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