日本とアメリカの文化や習慣や教育、社会生活や考え方など、様々な違いを比較対照しながら、相対的に説明したものであり、MNCC職員によって執筆されたものです。

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■ 学習の前に
■ 目 次
■ 家庭生活編
■ しつけと教育編
■ 市民生活編
■ 慣習編
■ 世間と風俗編
■ 公共道徳とマナー編
■ 行動様式編
■ 形而上的価値編

●食生活
日 本
アメリカ
1日3食である。主食となるのは米であり、米と一緒に食べるのが副食物のおかずである。だから、一般的に食事はご飯とおかずという概念がある。中心となるおかずは、肉類、魚類、野菜類を食材とした献立であり、副食的なおかずに、汁類や漬物類などがある。1回の食事にはおかずが複数あり、おかずの中には味噌汁や漬物などが頻繁に見られるため、日本食というと、ご飯や味噌汁、漬物を連想しやすい。おかずが複数あることで、1回の食事に使われる食材の数が多く、手の込んだものが見られる。夕食が一番おかずの数が多いと考えられている。朝食と夕食は、家族全員で一緒にとるというのが一般的であると考えられている。 1日3食である。主食はパンと考えられないこともないが、日本の主食である米とおかずの関係と同様の、主食のパンとおかずという概念はない。朝食は、各自が思い思いのものをそれぞれにとる。昼食は、サンドイッチやファーストフードが多い。夕食は、家族そろってとるというのが一般的であり、豆類、芋類、肉類が主である。3食の中では、夕食の内容が最もバラエティに富んでいると考えられているが、生鮮食材は少なく、冷凍食品や加工食品が多く、手の込んだ料理よりも、簡単で、手軽にできるものが多い。概して、食事の内容は、質素であり、食材の数は少ないと言える。

 

●ディナーのとり方
日 本
アメリカ
食事の食べ物は、各自最初から一人分ずつ分けられている。食べ物の種類によって、食器がすべて分けられており、時には、一人につき10以上の食器が使われることもある。通常の日本食を食べる時は、箸を使う。食器には皿類、茶碗類、鉢類があり、ご飯を食べる時は、その茶碗を手で持って食べる。汁物も手で持ち、口につけて流し込む。食べ物によっては、それ以外の皿や茶碗や鉢を手に持って食べる場合もある。食事をしながら、飲み物類を飲むのは一般的ではない。家庭での食事には、テーブルにナプキンなどはおいていない。洋食を食べる時は、箸以外にフォークやスプーンを使う時がある。食事の後のデザートは、まだそれほど一般的ではない。食卓にはつまよう枝が置いてあり、食事が終わってから、それを使って、歯と歯の間に詰まったものを掃除する人も見かける。時には、片方の手で口を覆いながら、見えないように掃除をする人もいる。 テーブルの真ん中に、食べ物を盛った大きな皿やボールが、食べ物の数だけ分けて並べられており、各自がそこから好きなだけ、ディナープレートといわれる大きな皿にとるという方法である。自分の席に並べられた皿は、ディナープレート1枚とスープやサラダやパンをいれる皿が1枚と飲み物を飲むためのグラス程度で、それに様々な食べ物を一緒に入れる。スープがある時は、通常、深い皿を別に使う。食べる時は、フォークやナイフ、スプーンを使い、皿などを手で持つことは無作法とされる。手で持って良いのは、取っ手のついたスープ茶碗やグラス類だけである。食べ物によっては、とうもろこしや骨付きチキンなどのように、直接、手で持って食べてよいものもある。必ず、テーブルにはナプキンが用意されており、食べ物が口についたりした時は、そのナプキンの端でぬぐう。一般的に、食事の後には、デザートと飲み物が出てくる。食卓につまよう枝が置いてあることはほとんどなく、それで歯の掃除をするのは下品極まりない。

 

●食事の目的
日 本
アメリカ
家庭での食事はただ食べるとか、お腹が空いているから食べるとか、「食べる」ことの目的が優先され、その行為だけが目的である場合が多い。いかに食事時間を楽しむかという、食べること以外の目的で、その時間が使われることはあまり多くは見られない。そのため、食事時間は約20分程度と短い。また、食事に利用される食器類が、家族にとって特別なものであるということはあまりない。正月のおせち料理に使う食器が、特別な食器としてあるぐらいである。 家庭での食事は、ただ食べるだけの朝食や昼食であることも多い。しかし、特にディナーと呼ばれる食事では、食物だけではなく、食器や食卓を飾る装飾道具、食事を演出する音楽や雰囲気などまで気配りがされて、いかに楽しく、会話をしながら、おいしく食べるかという考え方があり、人間関係を豊かに保つための時間としての意味がある。そのため、食事時間は約40分程度と長くなる。また、食器類や食卓上の装飾道具類などは、家族にとって特別なものであることも多く、母から娘へ、父から息子へと、二世代、三世代と受け継がれているものであることが多い。さらに、感謝祭やクリスマスには、その時だけにしか使わない特別な食器を使ったりする。

 

●食事中の会話
日 本
アメリカ
食事中の会話は、それほど多くはない。食事をしている時には、話をしてはいけないというのがマナーであると考えている人もいる。家庭などでの食事では、話をしながら食べる人より、テレビを見ながら食べる人の方が多い。そのため、子供たちが、余りにもテレビに夢中になれば、さっさと食べるように注意する親も多く見られる。話をする際に、口に食べ物を入れたままでしゃべる人も多い。 食事中の会話は多い。食事をする時は、話をしながら食べるというのがマナーであり、食事する時間よりも、会話の時間が長いというのが常である。同席するほとんどの人は、話題を見つけ、会話を盛り上げようとつとめる。家庭で食事をする場合でも、食事をしながら、テレビを見るというのはほとんどまれであり、その日にあった出来事を家族の人達に話をするということが多く、この際、両親は子供たちの聞き役であることが多い。また、口に食べ物を入れたままで、話をすることは、無作法であると考えられている。

 

●味覚
日 本
アメリカ
味に繊細であり、微妙な味の違いを楽しむ。微妙な味の違いを出すために、砂糖と塩を同時にいれたり、「隠し味」と称して、工夫を重ねることが多い。そのため、日常の家庭生活でも良く使われる調味料として、砂糖、塩、こしょう、醤油、味噌、酢、ソース、みりん、油類、バター、香辛料、ハーブ類等と種類が多い。料理の種類も豊富である。基本的に、醤油と味噌を中心として、辛いものが多いが、酸っぱいもの、甘いものなど異なる様々な味を好む。また、季節によって旬の食材を利用した献立や食べ物があり、その調理法も千差万別であり、季節ごとに変わる料理の種類を楽しむ敏感な味覚を持っている。 味は大味であり、微妙な味の違いには無頓着である。当然、「隠し味」というものはほとんど見られない。家庭生活で日常的に良く使われる調味料は、砂糖、塩、こしょう、油類、香辛料、ハーブ類等であり、少ない。純粋に米国料理というものはなく、強いてあげればハンバーガーぐらいのものであり、家庭で作られる料理の種類も少ない。味付けは、塩や砂糖や油類、香辛料やハーブ類であることが多く、各自が自分の好みで、塩やこしょう、バターや油類、香辛料などをかけて、自分の皿の上で味付けして食べるということも多い。季節によって食べるものが違うということもほとんどなく、食材の旬という関心も希薄である。基本的には、味は甘いものを好み、高脂肪、高カロリーの食べ物を好む。
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