レポート更新情報
更新日
現地活動日

4月7日

4月4日(月)-5日(火)

4月4日

4月1日(金)

4月1日

3月31日(木)

3月31日

3月30日(水)

3月30日

3月29日(火)

3月29日

3月27日

3月26日(土)

オリンピア レポート 4月4日(月)-5日(火)

とうとう、日本に帰ってくる日がやってきました。午前8時45分、春休みに入り、静かなWMSにホストファミリーに連れられて日本人生徒たちが集まってきます。にこやかに会話をしながら来る子もあれば、車を降りた瞬間から涙が止まらず、ホストファミリーになかば抱きかかえられながら来る子もいます。それぞれに、楽しい週末を過ごし、余計に別れがたい間柄になったのだろうと思わせる、本当の家族のような親密な雰囲気を漂わせていました。この週末には、シアトルに行ったり、公園へハイキングへ行ったり、マウンテンバイクの大会に参加させてもらったり、楽しそうな話を、生徒だけでなく、ホストファミリーの方々からも窺うことができました。昨日の日曜日に体調不良で急遽病院へ行った生徒がいましたが、ホストファミリーの助けもあって、荷物をまとめてなんとか集合してくれました。チームオリンピア、25名全員揃って日本へ向けてオリンピアをあとにします。バスの車窓から、みんなでホストファミリーに向けて手を振ります。ホストファミリーらも、バスが見えなくなるまで手を振ってくれます。中にはバスのあとを追いかけながら手を振って見送ってくれるホストブラザーもいました。バスの運転手さんが、WMSを去り際に、クラクションをひとつ鳴らして、みんなの別れの挨拶を代弁してくれました。

1時間ほど順調に流れるフリーウェイを走り、バスはシアトル・タコマ国際空港に到着しました。空港内は大変な混雑で、生徒たちのチェックインの手続きには1時間ほど並びました。さらに、保安検査場にも長い行列が...。“時間があれば”の条件付き予告ではありましたが、空港内でのお土産タイムを楽しみにしていた生徒たちには申し訳なかったのですが、結局搭乗ゲートに到着したのは、搭乗開始時刻の20分前。しかも、私たちのグループほとんどが、“スタンバイ”という座席未定の搭乗券を渡されていたため、名前を呼ばれるまでしばらくカウンター付近で待機しなければいけない状態でした。近くの飲み物やスナック菓子の自動販売機が最後の買い物場所となってしまいました。「まだまだアメリカのお金が残ってるんですけど...」という生徒には、「次に来るとき用に取って置いて!!」と、泣く泣く諦めてもらう他いたし方ありませんでした。

結局、私たちのグループが最後の搭乗者となり、成田空港に向かう飛行機へ乗り込みます。扉が閉められ、離陸のための加速が始まります。私たちが到着してからずっと青空だったワシントンの空模様が、別れを惜しんでいるかのように、今朝は早朝からしとしととした雨が降っていました。飛行機の窓からのぞく景色も、少し灰色がかっています。しばらくすると、機内食のサービスがありました。慣れた様子で希望のメニューをお願いし、デザートのアイスクリームまでペロッと平らげる生徒たちです。機内で書くように指示していた感想文も、なかなかの提出率で、大変助かりました。アメリカに来る時は、窓の外はずっと真っ暗で、夜と共に移動をしてきた感じでしたが、今度は逆に、太陽とともに移動しているように、窓の外はずっと明るいままです。機内食のサービスが終わると、自動的に窓ガラスも照明も暗くなります。機内を巡回してみると、映画を観たり、ゲームをしたり、宿題をしたり(涙)、それぞれの過ごし方で時間を使っていました。アメリカに来たときに比べ、日本へ帰るときはあまり長引く時差ボケにはならないはず、、、自宅へ帰ってからしっかりと睡眠をとることが重要でしょう。途中、咳が出たり熱っぽさを訴えてくる生徒もいましたが、CAさんの親切な接客を受け、特に大きな問題も無く、成田まで戻ってくることができました。

成田到着は15時40分。体感ではまだ4日の夜11時ですが、日本時間では5日に変わります。ターミナルとの接続通路が延びてくると思いきや、バスでターミナルまで移動ということで、25名全員揃ってバスに乗ります。入国審査から羽田空港までの移動、羽田空港での搭乗手続きを考えると、かなりぎりぎりのスケジュールだったため、私は焦りながら指示を出していましたが、みんなの協力のおかげで、無事、国内線に間に合う時間で羽田空港まで進むことができました。成田−羽田間のバス内では、メンバー同士互いの連絡先を交換したり、寄せ書きをしたりしていました。わずか11日間のプログラムではありますが、アメリカだけでなく日本人同士の人脈も広げることができましたね。

羽田空港に到着すると、すぐに手荷物預けのカウンターへ。そしてその流れで保安検査場へ。とにかく目まぐるしい移動の一日でした。各県空港に向けて搭乗ゲートはばらばらです。保安検査場を抜けたところで、いよいよメンバーともお別れ。たった10日間程しか過ごしていない仲間とは思えないほど、みんな仲良くなれたと思います。いいグループです。私は鹿児島空港に向かう7名と一緒に飛行機へ乗ります。そして、鹿児島空港に到着すると、出口には生徒たちの帰りを心待ちにしていたであろう家族の皆さんが、生徒たちが出てくるのを身を乗り出して待っていてくださいました。7名で簡単な解散式をし、チームオリンピア鹿児島組の「ジュニア留学」は終了です。各県空港でも、ご家族の皆さんが温かく生徒たちを迎えてくださったことと思います。それぞれにご挨拶・ご報告したい気持ちは山々なのですが、、、このレポートをもって、引率者からの報告とさせていただきます。生徒たちには伝えましたが、ぜひ、子どもたちが無事帰国した旨をホストファミリーへご連絡ください。ホストファミリーの皆さんもきっと心配されていることと思います。そして、このホームステイをきっかけに、これからも末永く、ホストファミリーとの絆を大切にしていただきたいと思います。明日から新年度も始まり、また日本の忙しい学生生活が始まりますね。みんなどうか体調を崩すことの無い様、今夜と、今週末には少しでもゆっくりと休める時間をつくって欲しいと思います。

素直で頑張り屋さんの多いグループでした。本当にみんなよく頑張った!!Good job!! みんなの木曜日以降の日記を読めなかったことが心残りです。書いてくれた日記は、みんなの立派な成長の記録です。ご家族の方にもぜひ見せて差し上げてくださいね。みんなから集めた感想文は、文集としてみなさんの元にお送りしますね。私が期間中にパシャパシャと撮っていた写真を収めたDVDも、ご注文済みの方へはなるべく早めにお届けできるよう努めます。お楽しみに。

オリンピア レポート 4月1日(金)

午前8時、いつものように生徒たちは登校すると、バディたちは、「今日は一緒に授業に出られないの?」と、寂しそうに聞きにきます。たった4日間という短い期間ではありましたが、バディにとっても、一緒に授業を受け、ランチを食べ、時間を共有した日本人生徒たちが、大事なトモダチとなったことを感じる瞬間でした。今日の予定は、午前中ニューマーケットスキルズセンターという職業訓練学校に行き、そのあと買い物。そして午後からは、このプログラムを締めくくるサヨナラパーティーの準備です。18時半から予定されている本番まで、出し物の練習と会場設営、リハーサルを行なわなくてはなりません。長い一日になりそうです。クリスティ先生とは、いよいよここでお別れです。生徒一人一人をハグしながら、得意の日本語で「ありがとう。」、「頑張って。」、「また帰ってきてね。」と言葉をかけてくださいました。別れを惜しみつつ、レネ先生方の車に乗り分けて、ニューマーケットを目指します。

ニューマーケットスキルズセンターは、この地域の高校に通う生徒のための職業訓練施設で、1〜2年単位で履修授業の一コマとして登録し、職業の基礎知識や専門用語を学んだり、実習やインターンを行なって、就職に必要な技能を身に付けるための公立の学校です。まずはじめに、案内をしてくれる学校のアシスタントディレクターのブラッドショーさんが迎えてくれました。今日は、全米技能大会の州予選が行なわれているそうで、学校内はいつもよりも静かだということでした。25名の日本人生徒たちが、見学ツアーをさせてもらうには、ちょうどよかったかもしれません。ブラッドショーさんの案内で、校内を見てまわります。 

まずはじめに見せていただいたのは、ビジネスアカデミーのクラスです。実際にこのクラスをとっている高校生が、授業内容について説明をしてくれました。ファイナンス(金融)についての基礎知識を学び、インターンとして実際に銀行で働くチャンスもあるということ。また、就職のための履歴書(レジュメ)やカバーレターの書き方、ビジネスカードの作成なども授業で教わるそうです。将来的には、銀行員やファイナンシャルプランナー、会計士などを目指す学生が集まっています。授業内容も然ることながら、かなり大人っぽい高校生らの外見に、少し圧倒される日本人生徒たち。WMSの生徒たちも十分大人っぽくみえましたが、高校生となると、メイクや服装の違いもあって、同じ年齢の日本人生徒と比べると、かなり年上のようです。教室の様子を写真に撮らせてもらいながら、次の棟に移動します。

次は、オートモーティブ(自動車整備)の授業です。この地域に住む一般の方が持ってこられた車を、実際に修理したり、検査、塗装をしたりしているそうです。その隣りは、建築について学ぶクラス。建物の基礎工事から製図、建築まで、自分たちが設計した家のミニチュア版を作って、勉強するとのこと。ミニチュア版といっても、公園などにある子ども用のお家くらいの大きさで、手の込んだ作りとなっていました。続いて、クリミナルジャスティス(刑事司法)のクラスでは、かつては刑事として活躍されていたという講師の方が、日本人生徒たちのために面白いテストを用意してくださいます。酔っ払った人の視覚を体験できるゴーグルをかけて、床にまっすぐに貼られたテープの上を、両手を広げずになぞって歩くことができるかのテストです。私も実際に試させてもらいましたが、本当に目が回ってしまいそうになる程に視界がゆがみ、思わず転んでしまいそうになりました。他にも、獣医学、看護学、コンピューターサイエンス、プログラミングの教室を見せてもらい、最後に調理科の先生のお話を聞いてツアーは終了です。調理科の生徒たちが実際に作り、販売まで行なっている校内のカフェテリアで、ランチタイムをとります。記念として、学校からドリンクボトルとボールペンをもらいました。

次に向かうのは、生徒たちが心待ちにしていたショッピング。全米に店舗を展開するスーパー、ウォルマートに行きました。広大な売り場敷地に、天井の高い店内は、まるで倉庫のような空間です。お目当ては、「日本へのお土産」である子がほとんど。チョコレートやクッキーなどが並ぶお菓子売り場が、日本人生徒らで占領されています。「これはどんな味ですか?」、「おすすめは何ですか?」と、私やレネ先生に聞き、パッケージと値段をじっくりと読みながら選んでいる姿が、とても可愛らしく感じられました。店内には食料品だけでなく、衣類や日用品、電化製品、スポーツ用品、化粧品、文房具など、何から何まで揃っています。生徒たちのカゴを覗くと、クッションやカレンダーなど、アメリカの記念になるものも吟味しているようでした。中には、「え、それ要る?」というようなものもありましたが、ご家庭でのお土産話を楽しみにお待ちください。自由時間は一時間としていましたが、みんな時間通りに集合してくれました。

WMSに戻り、作業にとりかかります。まずは、ホストファミリーへのサンキューギフトの作成です。色紙にメッセージを書き、自分の写真を貼って額縁にいれ、ラッピングをして作業終了です。みんな、宿題としてメッセージの下書きをしてきてくれていたおかげで、スムーズに作業を終えることが出来ました。そしていよいよ、サヨナラパーティーの準備にとりかかります。最初に、全員で行なう「小さな世界」の合唱の練習から。回数を重ねるごとに、大きな声が出せるようになりました。続けて、それぞれの出し物の練習です。グループで行なう出し物では、リーダーを決め、生徒たち同士で協力して流れを決めてもらいました。いつの間にか体育館でボール遊びを始めた男子には、レネ先生からお叱りの声が飛びます。夏や冬のホームステイでは、丸一日、もしくはそれ以上かけて準備をするサヨナラパーティーですが、今回は半日で準備から会場設営まで行なわなくてはなりません。100名ほどが集まるパーティーです。レネ先生からも、少し緊張した様子が伝わってきます。一時間ほど練習をし、本番と同じ流れでリハーサルを行ないました。だらだらとめんどくさそうに動く生徒に対して、私からも叱ってしまう場面もありました。パーティーの最大の目的は、お世話になったホストファミリーに生徒たちの堂々とした姿を見せ、楽しませることです。感謝の気持ちを持って、本番に臨んで欲しいと話をしました。

リハーサルが終わったタイミングで、ピザが届き、みんなで早めのディナータイムをとります。ピザを食べた後は、会場設営です。メンバーみんなで協力し、104脚の椅子を観客席に並べました。すると、「え、こんなにお客さんが来るんですか?」とようやく生徒たちも、自分たちが開くパーティーの重要さの実感が湧いてきた様子。みんなが宿題として作ってきてくれていた折り紙の飾りで、会場を華やかに飾り、また、日本から持ってきた袋いっぱいのお菓子を、綺麗に並べてもらいます。25名、みんな協力して動いてくれたおかげで、本当にスムーズに準備を終えることが出来ました。レネ先生にも、「Great students!!」と褒められました。6時半が近づくと、ホストファミリーたちが続々と会場にやってきます。ずらっと椅子を並べた観客席は、あっという間にホストファミリーたちでいっぱいになり、とうとう、チームオリンピアのサヨナラパーティーの開演です。 

まずはじめに、レネ先生から、このプログラムに参加してくださったことのお礼が述べられます。私からもお礼のスピーチを少し挟ませてもらい、今夜の司会者、キョウカとヒヨリにマイクを託します。“Good evening everyone!”という二人の元気な声が、会場に響きます。トップバッターは、リョウゴ、ダイチ、ケイタ、ケント、チヒロによる、個人芸メドレーです。「ロッキーのテーマ」をBGMに、まずはリョウゴのアクロバティックパフォーマンス。バク宙をばっちり決め、拍手喝采。一気に会場が盛り上がります。続いて、ダイチとケイタによるリフティング。難しそうなトリックに挑戦します。そして、ケントは少林寺拳法の披露。気合いの入った声に、会場の雰囲気も引き締まります。そしてトリを務めるチヒロの板割り。見事に板が割れるとと、思わずレネ先生から、「みなさん、彼女が女の子ってことに、お気づきになってますか?!」とコメントが入ります。パフォーマンスの幕開けを飾る素晴らしい演技で、5人が並んで一礼すると大きな歓声があがりました。2番目は、ミユ(栗)、アスナ、ソウタ、タカトモ、キョウカ、ヒヨリによるジェスチャーゲームです。司会のヒヨリから、「答えが分かったら手を挙げてください。正解者には景品があります!」と説明し、一人ずつ前にでてジェスチャーをします。アルバイト先のお寿司屋さんの制服を着たミユのテーマは、「にぎり寿司を作るところ」!! 子どもたちが元気に手を挙げて答えます。タカトモの「雪合戦」も、アスナの「卓球」も、ソウタの「野球」も。キョウカの「バナナの皮」も、ヒヨリの「バイク」も、恥ずかしがらずに堂々とジェスチャーが出来ました。大人たちも一緒になって手を挙げてくれ、とっても楽しんでくれました。3番目は、コナツ&ユカが日本から持ってきてくれていた大縄跳びをつかったグループジャンプロープです。ハルカ(川)、ハルカ(大)、チナツ、イサミ、モエコ、カホ、ミサト、メグミ、アイ、そしてコナツとユカの11名で行います。カホとハルカ(大)が一生懸命縄を回し、残りの9名が華麗に八の字を始めると、会場から感心する声が聞こえます。そして、9名全員が縄に入り、「One, two, three...」とカウントをしてもらいます。アメリカの一般的な縄跳びは、“ダブルダッチ”といって縄を二本使い1〜2名がトリックを決めながら飛ぶものだそうで、大人数が一斉に飛ぶ大縄跳びは珍しく、生徒たちが10回以上も続けて飛んでいる姿に大きな拍手が送られました。ここからは、芸術コーナー。まずはミユ(山)のバレエパフォーマンスです。にこやかに踊る愛らしい姿に、たくさんのカメラが向けられます。次にユウリのホルンソロ演奏。短い練習時間の間に、自らアレンジを考え、堂々と演奏することが出来ました。最後に、マキコのピアノ演奏。美しいメロディーに、ホストファミリーも日本人生徒たちもうっとりと聞き入っています。演奏が終わり、司会の二人から、「楽しんでいただけていますか?」と聞いてみると、大きな歓声が返ってきました。「最後は、グループで“小さな世界”を歌います。最初は日本語で、次に英語で歌いますので、英語のパートは一緒に歌ってください!」と声かけし、合唱の隊形に整列。マキコの伴奏に合わせて、観客席に届くように歌います。これまでは、遠く海の向こうにあったアメリカという国が、ホストファミリーやバディたちとの出会いを通して、より身近に感じられることになったことでしょう。「世界はせまい 世界はおなじ 世界はまるい ただひとつ」という歌詞が、自らの体験を通して理解できたのではないでしょうか。歌い終わると、アスナとミユ(山)が前に出てきて、サンキュースピーチを披露します。それぞれが自分で考えた文章を、マイクを使わずに大きな声で、堂々と発表することができました。ステージに立つ25人の生徒に、大きな拍手が送られました。

そして、レネ先生と、地域責任者のジェニー先生に記念品を贈呈し、修了式に移ります。修了式では、日本人生徒とホストファミリーに対して、このプログラムに参加したことの修了証書が贈られます。生徒たちからは、準備していたメッセージ入りの額縁が、ホストファミリーに贈られます。式がすべて終わると、用意していた日本のお菓子や、日本とアメリカの国旗がそれぞれ描かれた大きなケーキを食べながら、パーティーは賑やかなひとときとなりました。ホストファミリーの方々から、「本当に素晴らしい体験をさせてもらった。」、「ウチの子が一番かわいい!!」、「また来年も来るように日本の家族にお願いしておいて欲しい。」といった声をかけてもらいました。本当に、みんなよく頑張りました!! 残る週末、ホストファミリーとの時間を大切に過ごし、悔いのないように、たくさんコミュニケーションをとって、Give&TakeとTRYの精神を実践して欲しいと思います。

オリンピア レポート 3月31日(木)

朝は息が白くなるほど冷え込んでいたのに、日中は初夏を思わせる日差しと半袖でもよいくらいの気温となった一日でした。この気温差に体調を崩す子が出てこないかと心配でもありますが、今日も25名全員、元気に活動することができました。いよいよ今日が、バディと一緒に授業を受ける最後の日となります。昨日提出してもらったバディへのサンキューカードに、バディとツーショットで撮った写真を挟んで、各自渡すように伝えて配りました。「文法があっているかどうかわからない」と心配している子もいましたが、どれも一生懸命考えて書いたことが伝わるメッセージで、単語ひとつひとつの意味から感謝の気持ちが汲み取れる内容でした。きっとバディたちも喜んでくれることでしょう。また、お世話になったWMS宛に、みんなの名前を漢字とアルファベットで寄せ書きしてもらい、シアトル空港到着時に撮影した集合写真を貼って、プレゼントすることにしました。

文学の授業では、いつもは賑やかなアメリカ人生徒たちが静かに読書をしています。先生に話を伺うと、現在では提出物はすべてオンラインで行なわれ、生徒の出欠や成績を付けるのも、グーグルクローム上のアプリで管理しているとのこと。学校には、生徒用のノートパソコンを充電する“ドック”と呼ばれる台車があり、それには20台のノートパソコンが収納されています。課題もアプリ上で生徒たちに与えられ、生徒もまた、アプリ上でその課題に取り組んでいるそうです。YouTubeなど授業に関係のないサイトを閲覧している生徒はすぐに判明するようになっており、アプリ上で生徒に指示を出したり、話し合いを出来たりもするそうで、「もう学校に来る必要がなくなりそうね」と、先生自身が笑いながら仰っていました。ノートパソコンを使わない授業であっても、プロジェクターやマイクが使われており、日本の学校よりもかなり先進的な形で授業が取り行なわれています。日本では黒板を使っていることを話すと、「私が子どものときは黒板だったわ」と、30代くらいの先生が仰いました。効率や利便性を求めるアメリカンスタイルがいいのか、古き良き(?)日本のスタイルがいいのか、、、生徒たちはどのように感じていたでしょうか。また、今度は「俳句」をテーマにした授業をする予定だそうです。5・7・5の韻を踏んだ英文で、季語ではなく、テーマに沿った言葉を使って俳句を作ってみよう、というものだそうです。ディズニー俳句やハンガーゲーム俳句など、直接的な名詞を使わずに、婉曲的な表現で作るとのこと。固定観念に捕らわれない何とも自由な発想ですが、生徒の関心を惹きつけるとても面白い内容だなぁと感じました。

理科のクラスでも、日本ではあまり見られない光景がありました。生徒たちが各自ノートパソコンを使い、4択のクイズ形式で出される問題が教壇のプロジェクターに映し出されると、選択肢が生徒たちのノートパソコン画面に登場し、それを選ぶという学習です。タイムアタック方式で、次から次に出てくる問題を、歓声を挙げながら答えていきます。画面には、正解率や早く回答した順番も出てきて、楽しみながら授業が進められているなぁと感じました。このソフトも、オンライン上のアプリを使用しているとのこと。はたして日本でも取り入れられる日が来るのでしょうか。そんな科学技術を取り入れた授業にも驚きますが、通常の授業でも、日本とアメリカの様々な違いを見つけることが出来ます。アメリカでは、先生が一方的に話すというよりも、生徒同士で話し合って、その結果を発表するという形の進め方が多いように感じました。TA(Teacher's Assistant)という、先生の授業をお手伝いする係を、授業のコマの1つとして選択している生徒もいます。理科の解剖では、本物のバッタを使って実験が行なわれていたそうです。

バディとの最後のランチタイムを終え、12時45分に集合して、カープールをしてセントマーティン大学へ向かいます。車を20分ほど走らせると、まっすぐ続く道の先に、煉瓦造りの何とも重厚な建物が見えてきました。車を降りると、この大学に通う留学生が、ガイド係として挨拶をしてくださいました。ガイドのうちの一人は、この大学に通って6年という日本人のカナザワさん。日本語で挨拶をしてくれ、生徒たちからはなぜか歓声があがります。韓国やガーナからの留学生もおり、国際色豊かな大学であることがよく分かります。院生まで含めて、1800名ほどいる学生のうち、150〜200名が留学生だそうです。日本からの留学生は15〜30名ほど在籍されているとのことでした。25名の生徒を2グループに分けて、キャンパス内を案内してもらいます。日本語のチラシとノベルティのボールペンをもらい、ツアーが始まります。すべての学生が無料で使えるというトレーニングジムや音楽棟、技術センター、学生寮などを見学することが出来ました。事務棟では、学生課の方々が挨拶をしてくださいました。教会の外観や、僧侶の寄宿舎なども見せていただきました。天気が良かったからでしょう。芝生の上には、タンクトップ姿で日光浴をしている学生や、青空教室での講義をしている学生たちもいました。1895年に設立した、カトリック系の大学で、建物も創立当時のものが改装を重ねながらいまでも使われているということです。生徒たちの中には、高校留学や大学留学を希望する生徒もいます。アメリカの大学の雰囲気を肌で感じ、ますます長期留学への期待が高まったかもしれませんね。最後にみんなでお礼を言って、WMSに戻ります。

学校に到着すると、みんなカフェテリアに集まってもらい、WMSの校長先生へ記念品の贈呈を行ないました。WMSでは日本人生徒の受入れを過去5年に渡って行なっているそうです。「アメリカ人生徒たちにとっても、素晴らしい経験になります」と、仰ってくださいました。記念に、ワシントン州をかたどったアクリルのキーホルダーを貰いました。表面には、WMSの文字と学校のマスコットであるブルドッグが描かれています。また、TCのクリスティ先生が、明日の朝まででグループを離れるとのことで、生徒たちに書いてもらったカードを綴ったアルバムと、記念品を差し上げました。みんなからのメッセージに目を赤くして喜んでくださいました。

今日の宿題は、明日のさよならパーティーで渡すホストファミリーへの記念品作成です。感謝の気持ちをメッセージとデコレーションで表現しましょう。明日はいよいよサヨナラパーティーです。あっという間の一週間でしたが、生徒たちの心の中では様々な変化があったことでしょう。初めは緊張しっぱなしだったホストファミリーとも、時間と空間を共有することで、言葉の壁を越えた絆が生まれていることだろうと思います。温かく私たちを迎え入れてくれたホストファミリーやWMSの皆さんに気持ちが届くよう、力を合わせて頑張りましょうね。 

オリンピア レポート 3月30日(水)

今日の天気も快晴。「オリンピアにいる間はずっと雨が降っているかも…」というTCからのお手紙には、いい意味で見事に裏切らました。日中は上着も要らないくらいのポカポカ陽気となりました。

昨日出していた宿題の、バディとTCへのサンキューカードは、半数の生徒たちが朝一番に提出してくれました。日記は全員提出!! 素晴らしい!! 日記の内容はというと、例えば、、、
<学校について>
・授業の内容(1〜5限分事細かに授業内容の説明)。
・バディの英語がなんとなく聞き取れるようになってきた。
・バディやそのお友達の名前を漢字で書いてあげたり、折り紙を折ってみせたり、名刺を配ったりしたらとても喜んでもらえて、自分まで嬉しくなった。
・日本のお菓子をあげたお礼にアメリカのお菓子をたくさんもらった。
・授業の中で日本のことについて紹介するよう先生に頼まれ、頑張って説明した。
・アメリカ人は前髪を作っている子が少ない。
・昨日までは聞かれたことにすべて“Yes”と答えていたけれど(何といっているのか分からなくて)、今日は質問に答えられた!!
<州議事堂見学>
・ガイドさんの英語が全然分からなかった。
・ガイドさんの英語が少し聞き取れてうれしかった。
・ジョージ・ワシントンの鼻を触ってこれからのアメリカ生活も楽しく過ごせるようにと願った。
・かっこいい警備員の人と写真が撮れて嬉しかった。
・かっこいい警備員の人がとても優しかった。
・かっこいい警備員の人が気軽に接してくれて嬉しかった。
<放課後の過ごし方>
・ホストシスターのサッカーの練習を見に行った。
・ホストシスターのコンサートを見に行った。
・ホストファミリーと一緒に映画を観た。意味は分からなかったけど、とりあえず一緒に笑ってみた。
・ホストファミリーにチャーハンと雑炊を作ってあげたら、チャーハンの方が人気だった。

などなど。思わずくすっと笑ってしまう内容もありますが、みんなそれぞれ充実した時間を過ごしていることが伝わってきます。日本に帰ったら忘れてしまいそうな感情の移り変わりも、しっかりと記録に残して欲しいと思います。

体育の授業を覗くと、数人の生徒たちが、アメリカ人生徒たちに混じって一緒にサッカーをしていました。サッカー経験者のケントにボールが渡ると、アメリカ人生徒から「Kento!!Go!!」という応援が入ります。その声を受けて、ケントが見事にゴール!!すると、先生も一緒になって観客席からKento コールが!! アメリカ流の盛り上がり方に、思わず授業中であることを忘れてしまいそうになりました。 

来週からWMSも春休みに入るそうで、クラスによってはテストを受けているところもあります。先生にお願いして、日本人生徒用にもテスト用紙を分けてもらい、辞書を使ってどんなテストなのかを調べてみるよう伝えました。「何をやっているのか分からないから退屈」ではなく、「何をやっているのか分かるように観察&関わろうとする」心構えが求められます。逆に言うと、授業に関わろう、参加しようという態度を見せると、先生方は積極的にその意見を取り入れ、日本人生徒たちにもチャンスを与えてくれます。多くの生徒たちが、「アメリカの生徒たちは自由に発言をしている。」とか、「先生が質問するとみんな手を挙げて答えており、(発表しようとする生徒が多すぎて)逆に先生は手を挙げていない子に答えさせようとする。」など、授業中のアメリカ人生徒たちの様子に驚きを感じていたようです。「アメリカ人=積極的、日本人=大人しい」のイメージは、中学校で既に顕著になっていることを考えると、国際社会において日本の存在感(発言力)の薄さが揶揄されるのも致し方ないように思われますが、、、いままさに主張することの大切さを感じているオリンピアメンバーの今後に期待です。

賑やかなランチタイムを終え、12時45分に集合してもらいます。今日の午後の活動はボーリングです。昨日と同じく、ホストファミリーの協力の下、カープールでボーリング場に向かいます。ボーリング場は、80年代のアメリカ映画に出てきそうなレトロな雰囲気。カウンターでシューズを借りるのですが、みんな自分の靴のサイズが分からない。ガイドブックで度量衡について調べたはずですが…あれ?アメリカの靴のサイズは、センチメートルではなくインチで測ります。1インチが何センチか知っていれば計算できたのに!!実際に試し履きをして合うものを探すという強硬手段に出る子や、履いてきたスニーカーのタグを探す子、私から答えを聞きだして必死に計算する子、それぞれの性格が垣間見える瞬間でしたが(笑) カウンターのお兄さんにちょっと迷惑そうな顔をされながらも、みんななんとか靴を借りてゲームスタートです。昨日の州議事堂見学ではあまり騒げなかった反動か、ひさしぶりに日本人同士気兼ねなく話せることが嬉しかったのか、ゲームは大いに盛り上がっていました。きっとみんなのストレス発散になったことと思います。楽しい雰囲気に後押しをされてか、TCの先生方やボーリング場の方に、自ら質問に行ったり話しかける様子も見受けられました。1時間半ほどゲームを楽しんで、靴を返して学校に戻ります。さすが日本人。リョウゴが最後にゴミが落ちていないかのチェックまでしてくれたおかげで、生徒たちの使ったレーンはすべて、綺麗な状態でボーリング場をあとにしました。学校でも感じることですが、ゴミを置きっぱなしにしていたり、テーブルに食べ物がこぼしたままにしてあったり、あまり清潔とはいえない光景を、ここアメリカではよく目にします。清掃員の方がいるので、分業が成り立っているといえばそれまでですが、やはり日本人としては「来たときよりも美しく」の精神を大切にしたいと思います。

学校に帰ってから、またサヨナラパーティーについての話し合いを10分ほどして解散しました。明日がとうとう学校最終日です。25名全員が、元気に登校してくれることを願います。

オリンピア レポート 3月29日(火)

今日もまた、真っ青な空が広がる気持ちの良い朝を迎えました。午前8時に生徒たちは昨日と同様に学校へ登校してきます。学校の近くに住んでいる子達は、バディであるホストシスターと一緒に歩いてきます。学校の周辺には、監視員の先生方が立ち、生徒たちの安全を見守ってくださっています。日本人生徒からも「治安がよくてアメリカであることを一瞬忘れます」との声が聞かれるほど、閑静な住宅地の中にあるワシントンミドルスクールです。

日本人生徒用チェックインカウンターで日記を提出し、バディと一緒に昨日と同じ1時間目の教室へ散っていきます。アメリカの学校の時間割は、月曜日から金曜日まで、同じスケジュールなので、○年○組のようなクラスはありませんが、各授業の教室へ行くと、昨日と同じ生徒たちと会うことが出来ます。昨日は緊張して渡せなかった名刺を、出来る限りたくさんのアメリカ人生徒に配りたいと、積極的に手渡す姿が見られます。硬かった表情も、バディと積極的に言葉を交わし、心からの笑顔に変わっているようです。バディたちの親切な対応が本当にありがたいですね。

午前中は昨日と同じように授業を受け、ファーストランチとセカンドランチに分かれて昼食をとります。今日のカフェテリアメニューは、テリヤキチキンとブラウンライス(玄米)、野菜サラダです。一汁三菜を基本とした日本の食事と比べると少し物足りない気もしますが、学校で提供される食事としては、ミシェル・オバマ大統領夫人の尽力により、以前よりかなり改善された内容になっているそうです。貧困等の問題で、自宅で十分な栄養を取れない生徒たちを想定したメニューということで、値段も3ドルという低価格で設定されているそう。日本食の照り焼きチキンを期待すると、味は「・・・」といった感じですが、ハンバーガーやピザといったアメリカの味にすでに飽きはじめた生徒たちには、しょうゆベースの味付けが嬉しかったかもしれません。家からランチを持ってきている生徒たちのメニューはというと、やはりサンドウィッチがほとんど。ハムとレタスとチーズといったシンプルなものが多く、いかに日本で家族が作ってくれるお弁当がありがたいものかということを、身に染みて感じていることでしょう。声をかけて回ると、昨日よりもバディや先生の話すことが聞き取れた気がする、というポジティブな言葉が聞かれました。日に日に慣れてきて、ようやくみんな自分らしさを出せるようになっているようです。スーツケースいっぱいに持ってきた日本のお菓子を、一緒のテーブルに座っているみんなに差し出して、なんとか話題を共有しようという姿勢も昨日より多く見受けられました。

12時45分になると、日本人生徒たちで集まって、州議事堂の見学ツアーに向かいます。クリスティ先生とレネ先生、ホストファミリーのシェリーさんの車に分かれて乗せてもらい、学校から10分ほどの距離にある州議事堂へ向かいました。雲ひとつない青空と芝生の緑の中に浮き上がるように、歴史を感じさせる州議事堂がそびえ立っています。この建物は、1922年から6年かけて立てられたもので、現在でも州法などを取り決める議会が開催されています。ガイドの方の説明を聞きながら、見学をさせてもらいます。説明はすべて英語で行なわれます。難しい単語も時々ありましたが、日本語で書かれた資料が配られ、ゆっくり話してくださるので、リスニングの練習として逐一通訳を挟むことはせずに、話を聞いていました。
何よりも生徒たちに期待したのは、話を聞く態度です。感心したのは、ミサトがしっかりとメモをとりながら話を聞いていたこと。聞き取れる単語をカタカナで書き取り、スペルを聞きに来てくれました。シャンデリアの重さや吊り下げられているチェーンの長さは、アメリカ式のパウンドやフィートで説明されるので、グラムやメートルに変換しなければなりませんが、ありがたいことに貰った資料には日本式で書かれていました。「何を言っているかわからない」と、他所を向いたりお喋りをしたりする生徒を注意しながら、書記官のいる秘書室や、上院・下院会議場、要人を接待する応接室などを見て回りました。アラスカから持ってきたという大理石で埋め尽くされた広間は荘厳な雰囲気を漂わせながら、天窓からは日光が燦々と差し込んでおり、高い天井に吊るされたシャンデリアも一層豪勢に光り輝いていました。びしっと制服を着た警護の方々に写真を頼むのは積極的な高校生女子らです。紳士的な対応に、「かっこいい」と、私まで目がハートになってしまいます。応接室内はさらにきらびやかな装飾が施されており、クリスタル製のシャンデリアと、イタリアから運んできたという大理石の壁、社交会が開かれるときにはダンスフロアになるそうで、州花であるシャクナゲ(Rhododendron)が描かれたふかふかのカーペットの下には、またもや大理石が敷き詰められたフロアとなっていました。また、この応接室の壁には、ワシントン州がアメリカ合衆国で42番目の州として認められた際の星条旗(星が42個しかないもの)が飾られていました。州章である、ジョージ・ワシントンの肖像は、館内のいたるところで目にしました。最後に、私たちの身長ほどもある大きなジョージ・ワシントンの顔の銅像が登場。鼻だけピカピカに光っているのは、この鼻を触ると幸運が訪れるという、どこかで聞いたようなジンクスがあるからだということでした。生徒たちも、みんな撫で回すように鼻を触らせてもらい、幸運を祈りました。ガイドの方に、みんなで「Thank you」とお礼をいい、ツアーは終了しました。生徒たちの態度はどうだったかをレネ先生に聞いてみたら、「みんな大人しく聞いていて素晴らしかった。これがアメリカ人の子どもたちだったら大変だ。」とお褒めの言葉をいただけました。議事堂正面の大階段で各自写真を撮り、来たときと同じように車に乗り分けて、学校に戻りました。

バディたちの授業が終わるまでの時間を使って、宿題とサヨナラパーティーについての話をしました。宿題は、@バディへのサンキューカードを書いてくること、ATCへのサンキューカードを書いてくること、です。実質、まだ2日しか一緒に過ごしていない人たちですが、授業を受けたりランチを食べたりするなかで、バディとの間に生まれた絆を感じていることと思います。そんなバディと過ごすのは明日と明後日の2日のみ。持っている英語力をフルに使って、感謝の言葉を綴って欲しいと伝えました。サヨナラパーティーの話し合いは、これまでにみんなが出してくれた個人芸と団体芸のアイディアをプログラムにまとめて、全体の流れを確認しました。ブザーが鳴ると、一気に校内が賑やかになります。バディたちがカフェテリアまで生徒たちを迎えにきてくれ、それぞれの下校手段で帰宅していきました。昨日は日本人生徒たちで固まったり、私に話しかけにきていた生徒たちも、今日はバディと過ごす方を最優先にしたい気持ちが圧勝しているようでした。
明日は午前中が学校、午後はボーリングが予定されています。本場アメリカのボーリング場はどんな雰囲気なのか観察しながら、オリンピアメンバーの交流を深める良いチャンスになることでしょう♪

オリンピア レポート 3月28日(月)

吐く息は白く、車に乗るとガラスが凍結している冬のような寒さながらも、雲間には青空ののぞく清々しい朝を迎えました。先週までずっとどんよりとした天気が続いていたそうで、クリスティ先生から、「あなたたちが太陽を連れてきてくれたのね」と言われてなんだか嬉しくなりました。午前8時、家族に送ってもらったり、スクールバスに乗ってきたり、ワシントンミドルスクール(以下、WMS)に続々と生徒たちが登校してきます。カフェテリアの一角をお借りし、日本人生徒用チェックインテーブルを設けていましたが、あまりの生徒の数にオリンピアメンバーを見失ってしまうほど。多くの生徒たちが、WMSに通うホストブラザーやホストシスター達と一緒にやってきます。彼らが、学校にいる間も日本人生徒らの“バディ”として、一緒に授業を受け、お手伝いをしてくれることになっています。WMSにホストファミリーがいない生徒たちには、WMSの生徒たちがそれぞれに一人ついてくれ、同じく一緒に授業を受けたり、ランチを食べたりします。生徒たちがやってくると、TCの二人が用意してくれていた缶バッジの名札が、生徒とバディに手渡されます。このバッジが、学校内で行動するときの目印となります。というのも、WMSには多くのアジア系生徒も通っており、オリンピアメンバーの顔を知らない先生方は、メンバーが短期でホームステイに来ている生徒と気づかないことがあり得るからとのこと。こんなことからも、アメリカの多様性を知ることが出来ます。

寒さや時差ボケ、食事の変化から、体調を崩している生徒がいないか心配していましたが、ひとまず、25名全員が登校してくれました。日記を集め、ひとりひとり話を聞きたいところですが、すぐに始業のベルがなり、バディたちに連れられて各々教室に入っていきます。ここで、全校放送が流れます。「Pledge of Allegiance(忠誠の誓い)」というアメリカ合衆国への忠誠心の宣誓文を暗誦するという、アメリカの学校での風習です。近年では、民族の多様性を理由に放送を取りやめている学校もあるということですが、胸に手を当て、星条旗に向けて誓いを諳んじる様子は、とても凛としていてかっこいいものに映ります。「今日一日を楽しく過ごしましょうね」といったメッセージで放送は終了し、授業が始まります。WMSは、6年生から8年生(日本の小6〜中2)が通う学校ですが、中には高校生かと見まがうほどに大人っぽい外見の生徒がちらほら見られます。日本のように制服があるわけではないので、一瞬先生なのか生徒なのか判断できないほど大人っぽい子もいます。高校生のオリンピアメンバーがバディに年齢を教えると、逆に「見た目が若い!」と驚かれることもあったようで、女子生徒たちは少しショックを受けていました。

理科のクラスでは、火山の噴火から溶岩石が出来る流れを図示されたスライドを見ながら、先生が説明をされています。日本のようにじっと席に座って聞いている生徒もいますが、自由に席を立ってウロウロ(?)していたり、先生の話を遮って質問をしてみたり、日本の学校の授業とは違い、なんだか自由(ゆるい?)な雰囲気です。かたや、代数のクラスを覗くと、厳しそうな先生がスライドを使いながら、生徒一人一人を当てて問題を投げかけています。体育館に行ってみると、大音量で流行の音楽が流れる中、先生がマイクを使って指示する様子はまるでDJのよう。日本の学校と大きく違う授業の進み方に、日本人生徒たちは少し戸惑っている様子です。1限目が終わると、ブザーがなり、一斉に生徒たちが教室から出てきて、次の教室へと移動していきます。日本のように○年○組の教室があるわけではなく、自分の選択した時間割に合わせて、先生の待つ教室へ移動していくのがアメリカの学校です。休み時間は、移動のためだけに設けられているのか、5分程しかありません。バタバタと移動するバディのあとを、日本人生徒たちははぐれないようにと付いていきます。

ランチタイムは、3限目の後と4限目の後の2回に分けられています。教室で給食をとる日本の学校とは異なり、全員がカフェテリアや校庭の芝生の上で、持参したランチやカフェテリアで購入したランチをとります。バディやそのお友だちと一緒に席をとり、日本人生徒たちもサンドウィッチやカップラーメンを食べていました。今日のカフェテリアメニューは、トルティーヤというクレープのような薄い生地に、小豆を塩辛く煮たようなフリホーレスという豆のペーストをのせ、好みで野菜やチーズを挟んで食べるメキシカンタコスです。見慣れない料理に少しためらい気味の日本人生徒たちですが、何はともあれTRYすることが大切!! あまり口に合わなかった生徒もいたようですが、メキシコ料理はとても一般的な料理としてアメリカの食卓にあがるメニュー。段々と好きになれるといいかもしれません!!

みんなが授業を受けている間に、提出してもらった日記をみました。日曜日には、ほとんどの生徒が教会へ行き、イースターのお祝いをしたようです。朝目が覚めたら寝ぼけ眼のままエッグハンティングに駆り出されたという生徒も。幼いホストブラザーやシスターがいる家庭では、「Happy Easter!!」と叫びはしゃぎまわる子どもたちの様子に驚いたそう。学校でも感じられることですが、アメリカの子どもたちはとにかくエネルギッシュ!!声も大きいし、動作も大げさで、どこからこんなパワーが沸いてくるのだろうと不思議になります。おそらく、その答えのひとつは、「よく寝ている」からではないかと。というのも、何人かの生徒の日記に「夜8時ごろにはもうみんな寝ていた」との記述がありました。アメリカ人は早寝早起きを習慣にする人がとても多く、大人でさえ12時前にはベッドに入り、朝の5〜6時ごろから活動開始していることもあります。普段学校の宿題や予習などで遅くまで勉強している日本人生徒にとっては、その習慣がとてもショッキングだったようです。なかには、教会ではなく、シアトルに連れて行ってもらったという生徒もいました。早速日本食をホストファミリーに振舞ったという生徒も。みんなそれぞれ、ホストファミリーと一緒の時間を楽しむことができたようで、ホッとしました。

楽しさと同時に、英語の壁を感じている様子も、日記から読み取れました。ホストマザーが何を言っているのか分からなかったり、伝えようとしても上手く発音が伝わらなかったり、そもそも知らない単語ばかりで辞書が手放せなかったり。初めのうちは、まったく聞き取れなかったとしても仕方がありません。ネイティブの方々が家庭で話す英語は、早口でもあるし、文法通りでないこともあるし、一言一言をはっきり発音しているわけではないため、私たち英語学習者の耳にはとても聞き取りにくいことが往々にしてあります。それでも、何か知っている単語が出てきたり、「May I help you?」が言えたり、発音の練習を一緒にしてみたりと、何とかコミュニケーションを取ろうとする姿勢も書かれており、とても嬉しくなりました。「ジュニア留学」は、日本人生徒だけで集まって活動する時間が少なく、バディやホストファミリーとの交流を通して、コミュニケーション力を自力で磨いていくというサバイバル要素が含まれるプログラムです。少し厳しいように感じられるかもしれませんが、その分、「自分でやり遂げた」という達成感と自信が持てることも多いでしょう。まだまだ学校初日とはいえ、日本に帰る日まで残り7日。学校に通うのは残り3日です。英語が分からないことを理由に退屈に過ごすのではなく、積極的に学ぶ意欲を見せて欲しいと思います。

1限目の途中、お腹が痛いといって、一人の女子生徒が授業を抜けて私たちのところへやってきました。少し涙目の様子に、おそらく緊張からくる一過性の腹痛だろうと予想し、落ち着くのを少し待ってみました。2限目の教室へ向かう途中、バディが彼女のリュックサックを持って迎えに来てくれました。「大丈夫そう?」と聞くと、ぐっと歯を食いしばったような表情で「行きます」と言ってバディと教室に入っていきました。ランチタイムになり、彼女の様子を伺うと、朝よりもずっとリラックスし、笑顔も見られました。ウェルカムパーティー以降、日本語の通じる人が全くいない環境での疲れもあったことでしょう。男子生徒の中にも、「なんだか疲れやすい」と、環境の変化を敏感に感じている子もいました。そんな生徒たちを見るたびに、TCのレネ先生とクリスティ先生は、大らかな笑顔で受け止め、気合いを入れ、励まし、送り出してくれます。夢にまでみたホームステイも、いざ始まってみると異文化との摩擦の連続です。辛いことにこそ意義があると信じて、明日からの活動も頑張りましょう!!
午後2時55分に授業は終了。課外授業や補習があるわけでもなく、みんな家路につきます。日本では日が沈んでから帰宅する生徒も多いと思いますが、ここアメリカでは放課後がたっぷりあります。ホストファミリーの家に帰ったら、また何か面白い時間が待っているかもしれませんね。

春休みに入って休むまもなく、チームオリンピアのホームステイが幕を開けました。午前8時〜9時にかけて、各県の空港に集合し、まずは国内線で羽田空港を目指します。空港には、来年度の新大学生や新社会人と思われる人たちを見送りに来ている友人や家族で溢れており、別れと出会いの季節の訪れを感じさせます。わずか11日間のプログラムとはいえ、そんな長い日数を親元離れて過ごしたことのない生徒たち。しばしの家族との別れに涙ぐむ子が出てくるのではないかと心配していましたが、みんななんともさっぱりと家族に「いってきます」を告げ、すたすたと飛行機に乗り込んでいくのでした。これから待ち受けている未知の世界に、緊張と興奮ではちきれんばかりの感情を抑えていたのかもしれません。いくつかのフライトに30〜40分ほどの遅れが出ていましたが、各県空港から25名みんな元気に、羽田空港に集合してくれました。挨拶もそこそこに、急いで成田空港へ移動するためのリムジンバスに乗り、出発します。

バス車内でお昼ご飯を食べ、ひとりずつ自己紹介をしてもらうことにしました。自分の名前と学年、そして好きな○○。○○部分には、前の人と被ることのない内容(食べ物や歌手、スポーツなど)を入れて、発表してもらいます。挙手制で、マイクを使わずにみんなに聞こえる大きな声で、みんなに顔を見せながら発表するようお願いしますが、なかなか元気な声が聞こえてきません。みんな緊張しているのね...とひとまず解釈しておきましょう。車中からは、東京タワーにスカイツリー、東京ディズニーランドを見ることが出来、ちょっとした東京観光気分を味わうこともできました。天気もよく、渋滞に巻き込まれることも無く、幸先の良い出だしです。

成田空港に到着したら、それぞれ自分の荷物を持ってチェックイン作業を行なってもらいます。航空会社の職員の方々にサポートしていただきながら、スーツケースを預け、搭乗券を受け取ります。待ち時間を使って、班毎に再自己紹介をしてもらったりしているうちに、メンバー同士打ち解けることができたようです。出身県はバラバラですが、今日から共に異文化という戦場で戦う仲間たちです。帰国してからも連絡を取り合えるような関係になれると良いですね。

思いの外、様々な作業がスムーズに進み、午後3時ごろには保安検査場まで進むことができました。セキュリティーゲートをくぐったら、出国審査へと進みます。搭乗口は、ターミナル一番端の58番ゲートです。きらびやかな免税店を横目に、ひとまず搭乗口の場所を確認するためにひたすら突き進みます。人気のない通路を抜けた先にある58番ゲート手前で、初めての集合写真を撮影しました。およそ1時間ほどの自由時間を設けると、思い思いに軽食や飲み物を買い求めていました。限られたお小遣いということで、なかなかシビアに値段を見比べる生徒たちからは「水が高い!!ぼったくりだ!!」との声も。少し高めの空港価格設定になっていることはいたし方ありませんが、しっかりと値段と適正料金を比べていることは感心ですね。

集合時間ぴったりに、25名全員集合してくれました。飛行機の搭乗が始まるまで、さよならパーティーの話し合いをしました。しばらく待っていると、とうとうシアトル便の搭乗案内が流れます。全員揃って、そわそわした表情を浮かべながらゲートをくぐっていきます。搭乗口付近は、ここがすでにアメリカなのではないかと感じられるくらいに、外国の方が多くいました。座席の両隣がアメリカ人だったという生徒もおり、日系航空会社とはいえみんなうっすらと緊張の面持ちです。
ほぼ定刻での出発。いよいよ飛行機がシアトル空港に向けて飛び立ちます。最初に提供された機内食は、洋食(パエリア)もしくは和食(牛タン丼)。食後にはハーゲンダッツアイスクリームのサービスも有り、みんな満足している様子でした。しばらくすると機内の照明が落とされ、就寝の時間です。座席には個別の液晶が備え付けられており、映画やゲームの誘惑を感じながらも、到着してからの体力温存のために身体を休めるようにとの言いつけを守ってくれている生徒ばかりでした。2回目の機内食サービスは朝食メニュー。今回も和食(白身魚の煮付け?)と洋食(ポーチドエッグ)から、好きな方を選びます。食事を終えると、あとわずか1時間程度でシアトル空港着陸予定との機内アナウンスが流れます。とうとう、みんなが待ちに待っていたアメリカ上陸です。

大きな揺れを感じられることも若干ありましたが、無事飛行機はシアトル・タコマ空港に定刻より10分ほど早く到着しました。他の乗客の方に先に降りていただき、25名揃ってみんなで飛行機を降ります。飛行機を降りて大きく息を吸い込むと、柔軟剤のような香水のような、アメリカ独特の匂いが鼻腔を突きます。とはいえアメリカに来たという実感もまだ薄いまま、アメリカ到着後最初の難関、入国審査へと進みます。
ひとりひとり、怒ったような表情の税関職員に呼ばれ、カウンター越しに質問をされたり、指紋の登録や顔写真の撮影を行ないます。「サイトシーイング、、、テンデイズ、、、」と呪文のように唱えながら順番を待つ生徒たちでしたが、その回答に見合う質問をされた生徒はほとんどいなかったようです。それでも、預けた荷物の個数を聞かれたり、どこから来たのか聞かれたりと、早口で投げかけられる質問になんとかかんとか答えてこの難関を突破していきます。
入国スタンプを押してもらい、いよいよアメリカ領土に足を踏み入れます。お互いに協力してスーツケースを取り上げ、税関書類を提出して、メインターミナルに移動するための“トラム”と呼ばれる地下鉄のような乗り物を使います。シアトル空港ならではの体験が出来ましたね。メインターミナルでは、TCのクリスティ先生とレネ先生が、星条旗カラーの首飾りを持って出迎えてくださいました。勢いのあるレネ先生の挨拶に圧倒され気味の生徒たち。これぞアメリカ!!といった、陽気さと大らかさで、生徒たちのお世話をしてくださるお二人の頼もしさに勇気付けられた気分でした。集合写真の隊形になるよう指示すると、ささっと移動し整列してくれるメンバーの様子にも心強さを感じます。

これまでの移動時間でも15時間以上ですが、ここからさらにオリンピアを目指します。バスの運転手さんから車内での注意事項を聞き、バスが発車します。所要時間はおよそ1時間。車中は襲ってくる眠気に完敗な様子の生徒たちでしたが、いよいよワシントンミドルスクールに到着すると、お目目パッチリとなり、興味深そうに校舎を見ながら建物の中へと入っていきます。ホストファミリーたちが学校に来るまでの2時間ほど、クリスティ先生とレネ先生によるオリエンテーションが行なわれました。ホームステイ上のルールや心構え、家の中の機能や、今週末の宿題について説明がなされました。到着早々に宿題?!と驚かれるかもしれませんが、その内容は「朝起きる時間を確認するる」「洗濯についてホストファミリーに質問する」など、これから生活していくにあったって知っておかなければならない家庭のルールを聞き出すための作業です。リアクションが薄く、せっかく発言しても小さい声でモゴモゴと話す生徒たちに、さっそくレネ先生から指導が入ります。また、明日の日曜はアメリカの方々にとって春の訪れを告げる一大イベント「イースター」であること、どのように祝うのかを教えてもらいました。「Happy Easter!!」と、自分からホストファミリーへ声を掛ける練習をしたのですが、、、みんなの表情が全然“Happy”じゃなーい!! 表情豊かに、大きな声でハキハキ話す、が目下の目標ですね。明日の日曜を経て、来週からは羽田〜成田空港で見せてくれていたみんなの笑顔が復活することを期待します。

学校内の施設を簡単に見て回っていると、いつの間にかウェルカムパーティ会場であるカフェテリアがホストファミリーらで占拠されていました。このパーティーは「ポットラック」と呼ばれる料理持ち寄り形式のパーティーで、正面のテーブルにはそれぞれのホストファミリーが持参してくださった美味しそうな料理がずらっと並んでいます。ホストファミリーたちは、メンバーが胸元につけている名札を頼りに、自分たちがお世話する生徒たちを見つけてくださいます。自分のホストファミリーとご対面が出来たら、一緒に席に座って、TCの先生方の開会の挨拶を聞きます。挨拶では、生徒たちが長い長い移動時間を経てここにやってきたこと、ボランティア精神で生徒たちに自宅を提供してくださることへの感謝、日本人留学生と交流をする際のアドバイスなどが話されました。挨拶が終わると、順番に料理の盛られたテーブルへ並び、ビュッフェスタイルで各自好きな料理をよそっていきます。中には真っ青なクリームののったカップケーキなど、日本ではなかなかお目にかかれない派手な色合いのメニューも並んでいます。一生懸命生徒たちに話しかけてくれるホストファミリーに対して、なんとか会話を続けようと頑張る生徒たちの姿が会場のあちこちに見られました。レネ先生のスパルタ指導のお陰か、まだ完璧とは言えないまでも、「言葉を口にする」ことにはみんな慣れてきたかなーといった様子です。「もうホームシックかも...」なんて弱音を吐く生徒の背中を(心の中で)バシバシと叩きながら、パーティーをあとにするみんなを見送りました。
明日は、アメリカ人にとっても楽しみなイースター。教会に行ったり、エッグハンティングをしたり、ホームステイならではの経験をできることと思います。月曜日に学校へ登校する生徒たちの日記を読むのが、いまからとても楽しみです。
Copyright © 2016 MinamiNihon Culture Center. All Rights Reserved. / ホーム 会社案内 お問い合わせ / MNCC 南日本カルチャーセンター Flash templated by Flash Okanasen