とうとうアメリカで過ごす最後の日を迎えました。今日の集合場所は、ターゲットという大型マーケットのある、ショッピングスクエアです。午前中の予定は買い物。9時に集合した生徒たちへ、スザンヌ先生から自由行動の際の注意事項と、集合時間の確認があり、およそ3時間の買い物タイムに突入しました。注意事項のひとつとして挙げられたのが、「お店に入ったら店員さんと目を合わせ、HiやHelloなどの声をかける」ということ。日本では「いらっしゃいませ」といわれてもそれに対する返答など思い浮かびませんが、アメリカでは店員さんが「How are you doing? (お元気ですか?)」など気軽に声をかけてこられ、それに対してお客さんも返答をします。そうすることで、店員さんはお店の商品をお勧めしやすくなる一方、お客さんは、自分が万引きなどするような客ではないことをアピールしているのだそうです。もちろん、習慣的な行為なので意識的にやっている人は少ないでしょうが、この習慣を知らずに私たちが店員さんを無視して入店してしまうと疑われやすくなってしまうということ。スザンヌ先生の貴重なアドバイスをしっかり守って、みんなそれぞれお店に入っていきます。3時間もの長時間、ひょっとして時間をもてあましてしまうのではないかと心配しましたが、買い物場所は先述のターゲットだけだなく、廉価な衣料品を売っているお店や日本で言う100円均一のお店など、広大な敷地にたくさんのお店が並ぶ場所。生徒たちにお小遣いはあるのか聞いてみても、この1週間ほとんどお金を使うことがなかったようで、持ってきたお小遣いが丸々残っているという子もいました。各店舗、TCの先生やホストファミリーがいてくださるので、何かあったときには助けを求めることができます。ずらっと並ぶ陳列台を前に、生徒たちは少し興奮気味に、それぞれの欲しいものを物色し始めました。家族へのお土産や自分への記念となるものなど、お小遣いと相談しながらじっくりと吟味しています。レジでの様子をみていると、やはりみんなまだコインの使い方に慣れないようで、じゃらじゃらと重そうなお財布を持っていました。事前学習としてコインの種類は勉強したかもしれませんが、やはり実際使いこなすとなると難しいものですね。時折店員さんが、教えてくれている場面もみられました。
あっという間に3時間が経ち、集合場所にみんな紙袋を抱えて戻ってきました。重たそうな荷物、スーツケースに入るのか心配しながらも、集まったらホストファミリーの車にカープールをして、テンプルトン中学校へ向かいました。
学校へ着くと、リーダーシップクラスの教室へみんな集まります。校内放送が流れて、リーダーシップクラスの生徒たちもみんな教室へ集合するようにということでした。教室はあっという間に、日本人生徒とアメリカ人生徒で溢れかえります。TCの先生方が用意してくださった特大のピザ、なんと14枚!! 飲み物もみんなで分け合いながら、ピザパーティーが始まりました。日本人生徒たちにも、今日のパーティーのために日本から持ってきたお菓子を残しておくようお願いしていたのですが、その量もかなり多く、机に広げたカラフルで可愛らしい日本のお菓子を、アメリカ人生徒たちがとても興味深そうに選び、また「とても美味しい!!日本に行かなくちゃ!!」といって喜んで食べてくれていました。ピザも、あっという間に空き箱が重ねられていきます。わいわいとお喋りをしながらみんな食べ物を頬張る様子をみていると、たったの1週間前の初日に、カチコチの表情でバディーに連れられて授業を受けていた日本人生徒たちとは思えないほど、みんな自ら積極的に名刺を配ったり、日本のお菓子を勧めたりしていて、とても不思議に感じられました。生徒たちの順応性、そして何より、一歩踏み出そうとするその勇気が、とてもまぶしく見えました。
しばらくすると、マクラーレン先生より、みんなでアメリカのゲームをしようという声がかかり、何箇所かに分けてアメリカのゲームを行ないました。外では、日本でもおなじみのツイスター大会です。3枚のシートを繋げて、一気に6〜8名で競い合います。一方では、テンプルトン中学校で大きなブームとなった“けん玉”をしています。室内では、オセロのようなボードゲームをしたり、引き続きお菓子を食べたりと、みんな自由に過ごしました。最後に、日本人生徒みんなにメッセージカードを書いてもらい作ったサンキューボードを、マクラーレン先生に贈呈し、みんなで集合写真を撮影しました。学校での時間は、残りあと1時間です。それぞれバディーと一緒に受ける最後の授業。すぐそこまで来ている別れを惜しむ生徒たちの背中を見送りました。
授業が終わると、今度はホストファミリーが生徒たちのスーツケースを持って集まり始めました。集合場所には、ホストファミリーやバディーなど、多くの人々が日本人生徒たちに別れを告げにきてくれます。午前中の買い物で購入したものをスーツケースに押し込みながら、バスの到着を待ちます。あっという間の1週間でしたが、パンパンのスーツケース同様、生徒たちにも数え切れないほどの思い出が出来たのではないかと思いました。バスが到着し、スーツケースが載せられ、生徒たちも順にバスへ乗り込んでいきます。目を潤ませながら最後まで手を振って見送ってくださったホストファミリーたちに後ろ髪をひかれるような思いで、お世話になったテンプルトン中学校をあとにしました。
ロサンゼルス空港までは、およそ4時間半。運転手さんが、DVDを何本か持ってきてくださっていました。映画を観たり、少しうとうとしたり、大半の生徒たちはお喋りに興じたりして、車内での時間を過ごしました。来るときはまだ初対面だった日本人生徒同士も、この1週間、同じ経験を乗り越え、チームテンプルトンの絆が生まれていたように感じます。3時間半ほど走ると、みんなの夕食をとるために休憩をしました。アメリカでの最後の晩餐。中華料理、ハンバーガー、メキシコ料理の選択肢のなか、中華料理とハンバーガーの二手に別れ、レストラン内で食事を取りました。中華料理組は、ひさしぶりのお米に感激。ハンバーガー組は、最後の本場の味に名残惜しさを感じていました。再びバスは出発し、残り1時間ほどのドライブです。途中、チームサンタマリアのバスと合流し、2グループ揃って空港へ向かいました。
夜9時、ロサンゼルス空港に到着。スザンヌ先生とマギー先生とはここでお別れです。みんなで「Thank you!」と元気にお礼を言って別れました。スザンヌ先生の「No Japanese!!」の厳しい授業、マギー先生の明るい笑顔、このTCの先生方のお陰で、プログラムが順調に進められたことに本当に感謝したいと思います。チームサンタマリアと共に、建物内に入りチェックインへと進みます。スーツケースの重さを気にしながら列に並ぶ生徒たち。大半の生徒がきっちり50パウンド内でおさめてくれていたので、チェックインはスムーズに進むことが出来ました。何よりありがたかったのは、テンプルトンメンバーがしっかりと整列&人数確認を行なってくれることでした。夜の空港内、引率者がピリピリしている中でこのようにまとまった行動をとってくれたことに、本当に感謝しています。全員揃って、セキュリティーゲートに進みます。アメリカのセキュリティーゲートを通るときは、必ず靴を脱ぎ、ジャケットも脱がなくてはなりません。忘れ物が発生しやすいことを注意しながら進みます。搭乗ゲートに着いたら、日本入国時の必要書類と感想文用紙を配布し、各グループの集合写真を撮影しました。そして、搭乗開始までの間、約30分ほどの自由時間とします。空港内のお土産屋さんには、ターゲットなどでは見つけられなかった、「California」「Los Angels」などの地名が入ったポストカードやキーホルダーなどが充実しており、最後残ったドルを使って買い求めていました。また、この短い時間でサンタマリアのメンバーと互いの経験を交換し、仲良くなっている社交的な生徒もみられました。
搭乗時間の深夜0時20分。いよいよアメリカの地に別れを告げ、羽田空港へ向かう国際線へ搭乗します。飛行機は定刻どおり0時50分に出発しました。全日空とあって、機内の客室乗務員は日本語が通じます。ホームステイ中、言葉だけでなくジェスチャーや表情などでなんとかコミュニケーションをとってきた生徒たちですが、きっと、言葉を学ぶことの大切さも実感しただろうと思います。この経験をきっかけに、言語習得や異文化理解にさらに力を注いでくれるといいなぁと願います。帰りの飛行機は、ジェット気流の影響で往路よりも少し長い12時間ほど。離陸してまもなく、サンドイッチとバナナの軽食提供があり、そのあと機内を巡回してみると、みんな疲れた表情でウトウトしていました。時計は夜中2時を指す頃。感想文は機内で書くようお願いしていましたが、機内の照明も落とされ、ひとまず睡眠タイムです。日本に近づくにつれ、飛行機の揺れが少し大きく感じられました。最後の機内食は、和食(さわらの煮物)か洋食(スクランブルエッグ)を選んで、美味しくいただきました。窓の外には濃霧が立ちこめる中、飛行機は着陸体制に入り、いよいよ日本到着です。
羽田空港に到着。飛行機を降りた瞬間、もわっと湿気を感じます。カリフォルニアの乾燥した空気の中で過ごしていた生徒たちは、まずその湿気に日本へ帰ってきたことを感じていました。検疫、入国審査、手荷物検査、税関も、慣れた手順で進みました。スーツケースの取り上げも、サンタマリアの分まで男女力を合わせて協力してくれていました。テンプルトンメンバーは本当に素晴らしい!! 国内線乗継カウンターで再度スーツケースを預け、ターミナル間のシャトルバスに乗り、国内線ターミナルへと向かいます。右ハンドルのバス、漢字で書かれている看板や道路標識、左側通行の車。アメリカに行く前は当たり前だった一つ一つに、なんだか違和感を感じました。どんよりとした空模様も、カリフォルニアのすっきりと晴れた青空を懐かしく感じさせます。とはいえ、ここが私たちの暮らす国であり、ホームです。アメリカで学んだこと、辛かったこと、楽しかったこと。それらの経験を、日本で暮らす中でどう変換し、自分の将来に影響させていくのか。まだ帰ってきたばかりのいまは分からないかもしれませんが、大人になってからきっと、このホームステイが何かしらみんなの人生に影響を与える経験だったといえる日がくると思います。中には、またアメリカを、テンプルトンを訪れることが新たな目標となり、それに向けた努力をする生徒もいるかもしれません。日本に帰ってきたこの日、プログラムとしては終了となりますが、みんなにとっての新しいスタートでもあると思います。来週には新学期もスタートします。ぜひそれぞれの環境の中で、活躍をして欲しいと願いながら、鹿児島と宮崎に向かう生徒のみんなを、セキュリティーゲートで見送りました。
各空港で生徒たちの帰りを待っていらっしゃるご家族の皆さんに直接ご挨拶が出来ず、とても残念に思います。稚拙な文章でお恥ずかしい限りですが、この引率者レポートを通して、生徒のみんなの様子がご家族の皆さんに少しでも伝わっていれば幸いです。中にはご家族の皆さんを心配させてしまう表現などもあったかもしれません。しかし、チームテンプルトン25名は、一人残らず立派にプログラムを修了してくれました。TCの先生方からも、本当に素晴らしいグループだったと評価していただけ、ホストファミリーの皆さんからも、「受入れをしてよかった。とても良い経験になった。」というお言葉をいただけましたことを、ここに報告してレポートを終わらせていただきたいと思います。頼りない引率だったかもしれませんが、みんなと過ごしたテンプルトンでの時間は、私にとっても大切な思い出です。別れてからまだ数日ですがみんなの顔がとても懐かしいです。異文化を学ぶことの新鮮さ、楽しさを、みんなの目を通して気づくことが出来た気がします。チームテンプルトンのみなさん、本当にありがとうございました(^^)
チームテンプルトン引率 津田和 友香
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