MNCCスタッフによる活動写真・動画と、引率者による文章レポートを掲載します。上記バナーをクリックしてご覧ください。

 
レポート更新情報
更新日
現地活動日
3月27日
3月28日
3月31日
4月01日
4月02日
4月03日
4月04日
4月07日
  午前7時50分、宮崎空港にチームオリンピアメンバー25人が集合しました。このグループは友達同士での参加が多く、2人1組になって集合場所にやってくる生徒もちらほら。それでもやはり、ほぼ初対面の他のメンバーたちとはまだぎこちない様子です。羽田空港まで一緒に向かう小学生やチームグラスバレーの生徒たちと一緒に、チーム宮崎として、40名の大所帯で、飛行機へと乗り込みます。
予定より若干遅れて離陸しましたが、定刻到着とのアナウンスに一安心したのも束の間、悪天候により少し強めに揺れる機内。不安そうな生徒がいるのではないかと見渡してみましたが、みんな何食わぬ顔で機内放送を聞いたり、窓の外を眺めたりしていました。冷や冷やしていたのは大人の私だけのようです。11時25分、羽田空港に到着。ターミナルまではバスでの移動です。引率者の指示通り、他の乗客が降りた後、一番最後に40名全員揃ってバスに乗りました。朝が早かったこともあってか、ちょっと眠たそうな中高生とは対照的に、元気いっぱいの小学生が先頭を切って進んでいきます。ベルトコンベアのところまで到着すると、男子陣が率先してMNCCのステッカーを目印にみんなのスーツケースを次から次へと取り上げてくれました。出口の外では、先に到着していた大分&福岡組が待っており、オリンピアメンバーと一緒にリムジンバスへ向かいます。成田空港に着く前に車内で持ち物の確認と、空港についてからの流れを確認します。液体物の持ち込み等、細かく注意を受けます。大分&福岡のグラスバレー組にくらべて少し疲れ気味な宮崎組…長い一日に向けてエネルギーを蓄えているのでしょうか。空港に到着し、空港職員のサポートを受けながら搭乗券を待ちます。その間、現地で予定しているさよならパーティーについてのアンケートをとりました。個人の出し物、グループでの出し物、合唱の伴奏など、計画や役割を確認していきます。合唱は、「ちいさな世界」を英語と日本語で歌うことに決め、伴奏をリョウカが務めてくれることになりました。ここで、司会者と御礼のスピーチ担当を、立候補で決めることにしました。男女一人ずつの司会者を募ったところ、一番最初に手を挙げてくれたのはミコト。素晴らしいトライの精神です。それに触発されてか、男子も何人かが自ら手を挙げてくれましたが、一番最初に挙げてくれたイブキにお願いすることにしました。こうやってお互いに刺激し合いながら自主性が出てくれば良いなぁ…。そして、御礼のスピーチ担当は、文章を考えるのが少し大変に感じるのか中々手が挙がりません。「やってくれる?」の問いかけに、「わかりました」と引き受けてくれたのはサエ。これからのアメリカ生活の中で感じたこと、体験したことなどを経て、どんなスピーチを披露してくれるのか、いまから楽しみです。

搭乗券が配られ、各々スーツケースを預けにカウンターへ。特に大きな問題も無く、10分もかからないうちにセキュリティーゲート前へ集合することができました。班長の5人は、整列をするときに自ら前に出てて人数確認をしてくれるようになりました。整列がスムーズにいくだけで引率者はとても助かります。セキュリティーゲートから出国審査までの流れを説明。するとサポートスタッフの方に言われてしまいました…「みんな分かったら返事をしましょう」はい。引率者も気になってました。みんな元気がない! アメリカに行ったらもっとはっきりと意思表示をする必要が出てきます。ここで注意されたことは有難いことです。その注意を受けて、ようやく元気な返事が返ってきました。メンバー全員で、チームを活気付けて欲しいです。出国審査まで滞りなく通過し、51番の搭乗ゲートまで、きらびやかな免税店を横目に進みます。再集合の整列は、これまでで一番早く並べました。素晴らしい!みんなの無駄のない行動のおかげで、搭乗開始の2時間前には到着できたので、ここで一旦解散。行動範囲を決めて自由時間です。思い思い、書店や飲食店で時間を過ごします。ただし、免税店への入店は禁止。大人になってから思う存分行ってみてくださいね。再集合は16時30分。およそ2時間の自由時間を経て、ようやくチームが賑やかになってきました。女子も男子も揃ってお喋りに興じています。25人全員が集合時間ぴったりに集まり、いよいよシアトル航空へ向かうNH1078便へ搭乗します。航空会社の方のご好意により、生徒たちは優先的に搭乗させてもらえることになりました。機内での注意事項やシアトル空港に到着してからの流れを説明し、一人ずつタラップを進んでいきます。いよいよ日本を離れる瞬間です。搭乗が終わってから離陸まで少し時間は空きましたが、大きな揺れを感じることも無く無事出発です。しばらくしてから機内食が提供されました。食事を終えたら機内は照明が落ち、睡眠タイムです。時差ボケを防止するためにはここでしっかりと身体を休めることが重要です。見回りをし、映画やゲームを続けている生徒に注意。体力温存です。着陸の1時間半ほど前に、今度は朝食が提供されました。いよいよ飛行機はシアトル空港に向けて下降していきます。大きな揺れも無く、定刻より早い10時35分ごろに到着。国内線と同じように、他の乗客が降りるのを待ってみんな揃ってタラップを通過していきます。いよいよ初めての生の英会話、入国審査です。必要書類の説明と、想定される質問に対しての答えを確認してから、一人ずつ審査官とのやり取りを行います。誰一人ひっかかることもなく、25人がスムーズに荷物検査場へと進んでいきます。最後に審査を終えた引率者が、スーツケースの受取場所へ向かうと、そこには綺麗に整列されたみんなのスーツケースが! 男子数名が協力して取り上げてくれていたとのことで、残りメンバーから御礼の拍手を送りました。シアトル空港は、到着ターミナルから出口のあるメインターミナルまで"トラム"と呼ばれる地下鉄のような乗り物に乗って行かなくてはなりません。25名が一気に乗るために、きゅっと整列をしトラムを待ちます。完全に周りが"外国人"だらけの状況に、みんな不安と期待が入り混じった表情をしています。ここではみんなが"外国人"です。すれ違う人たちと目が合うと、にこっとしてくれることにほのかな喜びを感じる女子もちらほら。段々とホームステイの実感が湧いてきました。

トラムを降り、エスカレーターを上がると、TCのクリスティー先生とジェニファー先生、そして地域責任者であるジェニー先生が待っていてくださいました。一人一人に自己紹介をしながら、首にアメリカカラーのレイをかけてくれます。トイレ休憩と集合写真の撮影を終えたら、今度はオリンピアへ向かうバスに乗り込みます。移動移動の長い一日。あともう一息です。走り出した車の中では、朝の宮崎空港での様子が信じられないほどに、お喋りが尽きません。ここで引率者から、公共の場では大声・悲鳴をあげないこと、日本語でひそひそ話す行為は失礼にあたることなどの注意をしました。日本人同士仲良くなるのはよいことだけど、馴れ合いの状態で現地生徒と交流すると必ず摩擦が生まれます。異文化にいるという自覚を持って、行動して欲しいです。途中、タコマショッピングモールに立ち寄り、昼食をとります。初めての米ドルでの買い物です。フードコートまで全員で進み、各自自分が食べたいものを売っているお店に並びます。日本では写真満載のメニューに比べて、文字がメインのメニュー表の解読だけでも時間がかかります。しかしこのフードコートは、多くのお店はサンプル(試食)を行なっており、次から次に差し出される試食品だけでもお腹がいっぱいになりそうです。アメリカサイズのピザやドリンク、思いのほか辛い味付け、間違って注文してしまったのに大らかな対応の店員。あらゆることが目新しく、刺激的です。メニュー表示の金額と請求金額が違うことや、コインの種類について早速復習する感心な生徒もいます。ランチを終えると、ドーナッツショップに立ち寄ってからバスへ戻り、オリンピアミドルスクールへ向かいます。

学校に到着したのは午後3時過ぎですが、授業は全て終了しており、現地生徒はクラブなどで残っている生徒を除いてほとんどが帰宅した後です。教室をひとつお借りして、クリスティー先生がオリエンテーションを行なってくださいます。IDカードの配布、使い方、保険について、現地でのスケジュールなど、大事なポイントは引率者の日本語訳もはさみながら、説明をうけます。さすがに疲れはピークを迎えたのか、みんな目がうつろうつろしています。そこで、リフレッシュも兼ねて、校内ツアーへ。まだ残っていた現地生徒がガイドとして、ジムやアートルーム、クラフトルームの説明をしてくれるのですが…みんな彼らが話す英語のスピードに愕然。何とか単語を聞き取る生徒もいますが、ティーンエイジャーの英語はなかなか聞き取りが難しいのは確か。オリエンテーションでクリスティー先生からも説明がありましたが、分からないときは必ず聞き返すこと。疑問があるときは必ず尋ねること。はじめは難しいかもしれないけれど、勇気を持って、英語を話して欲しいと思います。

そしていよいよ本日のメインイベント、ホストファミリーとの対面式となるウェルカムパーティーです。現地生徒も手伝ってくれて、会場設営を行なっていると、次から次にホストファミリーが到着し始めました。みなさん手には家庭料理やデザートを持ってきています。"ポットラック(持ち寄り)"スタイルのパーティーです。 自分のホストファミリーが到着すると名前を呼ばれ、日本人生徒はおずおずと前に進み、自己紹介をします。ホストブラザー・シスターも来てくれて、会場のカフェテリアはあっという間に満席となりました。テーブルにつくと、ホストファミリーから「飛行機はどのくらい時間がかかったのか」「疲れているか」「何が食べたいか」など質問をされるのですが、緊張している生徒たちは中々言葉が口を出ません。疲れと緊張がピークに達するころ、仕方がないかもしれませんね。 様々な料理が並ぶビュッフェ台へ順番に進み、各々好きなものをお皿についでいきます。クリスティー先生からホストファミリーの方々へ、生徒たちはとても長い時間かけてオリンピアに到着し、疲労困憊の状態なので、早めに休ませてもらうよう、お願いをしてくれました。

19時を過ぎるころから、ホストファミリーたちは三々五々に帰宅していきます。宮崎からなんとか引っ張ってきた重いスーツケース、ずっと背負っていたリュックサックを、ホストファミリーがひょいと持ち上げてくれます。アメリカの家族に会えた喜びと安堵感、これから待ち受けている英語オンリーの環境に対する不安と緊張。様々な思いを抱え、生徒たちは学校をあとにします。TCの先生から宿題が出されました。「何時に起きるのか」「朝食は誰が準備するのか」など、9つの質問をしてくるという宿題です。少しでも早く、ホストファミリーとの生活に慣れることが出来るように、何とかコミュニケーションをとってお互いに理解を深めていって欲しいと思います。明朝は8時集合。今度はみんなの"相棒"ことバディーとのご対面です。緊張の連続ですが、今夜はとにかくしっかりと身体を休めて明日元気に登校してくれることを願います。

 

  昨日宮崎を出発した私たちにとって、冬が逆戻りしてきたかと思うくらい寒い朝を迎えました。一歩外に出ると、ダウンジャケットを着てちょうど良いくらいです。午前8時、クリスティー先生とジェニファー先生の車に相乗り、スクールバス、ホストファミリーの送迎で、一人も遅刻することなく、全員元気に登校してくれました。昨日の教室に集まると、そこには既に数名の"バディ"たちが。"バディ"とは、ワシントンミドルスクール(WMS)にお世話になる間、日本人生徒とペアを組み、一緒に授業を受けたり、ランチを食べたりする現地生徒です。ホストブラザーやシスターがバディを務めてくれる生徒もいます。バディたちは、自分がお世話をする日本人生徒を見つけると、とても嬉しそうに、技術の授業で作った名札と様々なプレゼントを差し出してくれました。日本人生徒たちは、少し戸惑いながらも、なんとか彼らの言葉を聞き取ろうとじっと話を聞いています。副校長のウッド先生から歓迎の挨拶をいただくと、チャイムが鳴り校内放送が流れます。"Pledge of Allegiance"という忠誠の誓いを立てる文章を、全校生徒が胸に手を当て暗唱するという、毎朝の習慣です。日本人生徒も、見よう見まねで胸に手をあてます。8時15分から始まる1限目の授業に間に合うようにと、手短にバディとの挨拶を済ませ、各々教室へ向かいます。

ワシントンミドルスクールでは、自分が選択した授業で1日分のスケジュールを決め、月曜から金曜まで同じ時間割で過ごします。また、授業ごとに担当の先生が待つ教室へ移動するため、教科によって教室もクラスメイトも変わります。バディたちの時間割も一人一人異なり、日本人生徒も複数の教室に散らばって授業を受けます。数学の授業に参加している生徒たちは、英語には苦戦しながらも、計算を解くスピードはアメリカ人生徒よりも早く、すこし物足りなそうです。美術の授業では、パンダの絵を綺麗に転写する生徒に周りのアメリカ人生徒が感心していました。技術室は、日本の中学校では考えられないくらいに設備が充実しており、ガラスやアクリル板などに模様を彫ることのできるレーザープリンタや、3Dプリンタなど、まるで専門学校のようです。6年生の生徒たちが3Dプリンタを使ってフィギュアを作るために、パソコンで製図をしています。このクラスで作られたイヤリングやコースター、木製グリップのボールペンなどは、学校の事務室で販売されており、売上金は学校の運営費に使われているそうです。体育の授業は、流行の音楽を大音量で流しながら行なわれており、日本の授業よりもかなり自由な雰囲気が感じられます。

2限目まで終えると、1回目のランチタイムとなり、教室からどっと生徒が流れ出てきて、カフェテリアはあっというまに満席となりました。生徒数が多いため、ランチタイムは2度に分けられており、2回目に割り振られている生徒はそのまま3限目の授業へ向かいます。カフェテリアには、大勢のアメリカ人生徒に混じって日本人生徒の姿もみられます。家からサンドイッチやカップ麺を持ってきている生徒もいれば、カフェテリアのランチを買う生徒もいます。日本人生徒はお互いを見つけると、ホッとした表情でどのような授業を受けたのかを報告しあっていました。ホストマザーが用意してくれたランチに、リンゴが丸ごと一個入っていて驚く生徒も。カフェテリアのランチはミートソーススパゲティ。日本人はフォークに綺麗に巻いて食べますが、スプーンのように麺をすくって食べるアメリカ人生徒を見て、「巻いてもいいんですか?」と聞かれましたが…いいんです! 綺麗に食事が出来ることは日本人の長所です。カフェテリアには、ジャニターと呼ばれる清掃員がおり、テーブルを拭いたりモップがけは彼らが行ないます。この日たまたまWMSを訪れていたワシントン州教育委員会の方が、日本の学校へ視察に行った際、日本では生徒達が掃除をするということを知り、とても感心したと話してくださいました。「日本の学校よりもアメリカの学校は自由で楽しい」という声も聞かれますが、日米の違いを比べることで、日本の良い部分もたくさん見つけて欲しいと思います。また、日本人生徒を驚かせたのが、一人のアメリカ人生徒が誕生日だったらしく、周りの友達がハッピーバースデーを歌い始めると、さらにその周りの生徒まで大きな声で歌い出し、カフェテリア中が大合唱になったこと。日本人なら恥ずかしいと感じてしまいそうな場面でも、堂々と行動するアメリカ人の凄さを感じました。

ランチを終えた男子生徒は、バディとバスケットボールをしに外のコートへ駆け出します。午前中は小雨が降っていましたが、昼休みには少し青空も見えてきました。短い時間ではありましたが、身体を動かしてすっきりした様子です。午後からは州議事堂の見学のため、一旦教室に集まりカープールで移動します。ボランティアガイドの方に英語で説明を受けながらの館内ツアーです。ワシントン州の紋章は、初代大統領のジョージ・ワシントンの肖像画をモチーフとしており、館内のあらゆるところにその紋章が見られます。州の立法者や事務官が、訪問者との会見を行なうステイトレセプションルームという部屋には、星の数が42個しかない星条旗が飾られていました。これはワシントン州が第42番目の州として認められた際に作られたもので、その数ヶ月後には43番目のアイダホ州が加わったため、多くは生産されることがなかったという希少な国旗です。また、上院・下院の両会議場や、秘書室、そして知事室を見学しました。知事室では、実際に知事が座るワシントンの紋章が刻印された椅子に座らせてもらったり、テレビ会見の際に知事が立つ場所で写真を撮らせてもらいました。ツアーを終えて、外に出るとまた怪しい雲行き。一日のうちに晴れたり曇ったり土砂降りになったり、いまの時期が一番予測不可能だとクリスティー先生がおっしゃっていました。

学校に帰って、ホストファミリーの迎えを待ちます。その間生徒たちに一日の感想を聞いてみると、「日本の文化を頑張って紹介した」「すれ違う人がみんな"Hi"と笑いかけてくれて嬉しかった」「英語で話してるのか日本語で話してるのか分からなくなる」など、初日から頼もしい意見が出てきました。発見したことやトライしたことを日記に書いて、明日の朝提出するように伝え、帰りの会を終えました。同年代のバディたちからたくさんの刺激を受けて興奮気味の生徒たちですが、しっかりと学ぶべきことを再確認して、明日からの活動に取り組んで欲しいです。

 

  午前6時ごろは、靄が広がるしっとりとした天気でしたが、今日のお天気はなんと晴れ。お昼からは上着を脱いでも暑いくらいのぽかぽか陽気となりました。朝の全校放送によると、1950年以降の3月最高降水量を記録する月だったとのこと。そんな中で、昨日の日曜日と今日の2日続けて青空が見れたことはラッキーだったと思います。日本では桜の木も緑色に衣替えをするころでしょうか。ここオリンピアでも、随所で満開の桜をみることができます。そんな春の陽気を感じることもあってか、それとも週末を満喫したお陰か、25名誰一人体調を崩すことなく、むしろ先週よりもパワーアップした様子でみんな学校に集まってくれました。教室に着くと、みんな口々に週末どのように過ごしたかを報告しあっています。嬉しいことに、各班の日記係は私に言われるまでもなく、自ら班のメンバー分の日記を集めて手渡してくれました。

実は、先週金曜日の帰りの会でクリスティー先生から、そして私からは到着以降ずっと、「全体的にチームの声が小さい」「施設見学や送り迎えのときに"Thank you"が聞こえない」「日本人同士では盛り上がるのに、英語の問いかけに対する答えが聞こえない」という点を注意されていました。この週末、果たしてホストファミリーと上手くコミュニケーションが取れるのか、内心ハラハラしていたのですが、どのホストファミリーからも連絡が入ることは無く、また、登校してきた生徒たちの表情を見る限り、先週よりもリラックスし、少し自信をつけているように感じられました。バディとの会話も、先週よりしっかりと声が出ているように見受けられます。 とはいっても、もうすでにプログラムは折り返し地点。授業に参加できるのは、今日を含めて2日だけです。コミュニケーション力、観察力、行動力を存分に発揮してほしいという思いで、生徒たちとバディを見送りました。以前にも書きましたが、この学校は月〜金曜を通してひとつの時間割のため、先週と同じ午前中の授業を受けます。

生徒たちの日記を読ませてもらうと、2日間で様々な経験をしてきたことが分かりました。朝食がクレープだったときに、"クリィプ"と発音していて何のことだか分からなかったという可愛らしいエピソードや、生まれて初めてメキシコ料理にチャレンジし、自分の舌を頼りに材料を推測していたという話。ホストファミリーにお箸の使い方を教えてあげたり、スーパーのおばちゃんとのおしゃべりを楽しんだり。アメリカ人は人の話を聞くときに「アハ」や「ウフ」と相槌を多く打つことに気づいた生徒がいました。「私は聞いていますよ」という意思表示が、アメリカ人のコミュニケーションの上でいかに大切かということにまで気づいてくれたかな。ホストファミリーの就寝が早いことから、そのお陰でアメリカ人は背が高いのでは、と推測している生徒もいました。目の付け所が面白いですね。また、日曜日に教会へ行った生徒も多くいました。日本料理を作ってあげた生徒もたくさんいました。異文化交流を体感して、多くの刺激を受けたからこそ、今朝みんなの表情から"自信"が感じられたのかもしれません。

日記のチェックを終えるころ、1回目のランチタイムとなり、カフェテリアには溢れんばかりの生徒の波が押し寄せてきます。もちろん、日本人生徒たちもその波に混じって、バディやその仲間たちと一緒にテーブルを囲みランチを食べています。生のニンジンやチップスといったアメリカンスタイルの昼食にも慣れたようです。ただ、やはり成長期の男子としては物足りないのか、ステイ先から持参したランチに日本から持ってきたカップラーメンを足している生徒もいました。先週は日本人生徒が固まって座っている様子も見受けられましたが、今日は比較的みんな散らばっており、どこにいるのか見つけ出すのが難しいほどでした。食事を終えると、バスケをしたり、卓球をしたり、各々短い昼休みを楽しんでいるようです。

午後からの授業は今日だけの参加です。初めての体育にはしゃぐ子もいれば、食後の歴史や数学の授業に目がうつろになっている子もいました。実技系の授業は言葉の壁無く楽しめているようですが、グループワークや講義形式の授業は「退屈だ」と感じている様子の生徒もちらほらいました。確かに、全ての英語を理解してその内容を学ぼうとするのは難しいかもしれませんが、どのような授業をしているのか、何について話し合っているのか、リスニングを鍛えるのには最適の環境だとも言えます。退屈そうにしている生徒には、よく聞き、よく観察するよう伝えながら、教室を巡回しました。

今日は丸一日学校での活動でした。すべての授業を終えてもまだ15時。アメリカ人生徒はクラブ活動等に行く子もいますが、日本人生徒たちはホストファミリーの元に帰ります。日本の学校より早く終わることを喜ぶ姿もありました。ただし、期間中学習の場は学校だけにとどまりません。Give&Takeの精神を存分に発揮し、ホストファミリーの一員としてかけがえのない存在となれるよう、家庭でも頑張って欲しいと思います。

 

  先週まで続いていた雨が嘘のように、昨日に引き続き今日も晴れ。今週末にはまた崩れるとの予報ですが、日本人生徒がいる間はなんとか持ちこたえて欲しいと願います。今日の活動は、午前中はバディと受ける最後の授業。午後からはボーリングに行く予定です。前日に、さよならパーティーのときに渡すTCへのプレゼントを、自分が持ってきているお土産の中から何か提供して欲しいとお願いしていたところ、大き目のエコバックにたんまりと集まりました。クリスティーもジェニファーも、きっと喜んでくれるでしょう。いつもの通り、8時には学校へ集合し、日記を回収。バディと連れ立って各教室へと向かいます。

6年生の授業で、担当の先生が「学期末だから特に授業を進める必要がないので、読書をさせている」と言って、日本人生徒もバディと動物図鑑のような冊子を読み進めていました。そこで、日本人生徒にバディの名前を漢字で書いてあげてはどうかと提案したところ、2人の日本人生徒は、"タイラー"や"ベン"という名前を当て字で表現しようと頭を捻らせます。"タイラー"は"平"、"ベン"は"便"。それぞれ、Peace(平和)とLetter(手紙)という意味があるんだよと教えてあげました。すると、周りに座っていたアメリカ人生徒たちが次から次に、自分の名前はどういう意味のある漢字で表せるのか知りたいと、日本人生徒を取り囲みます。"クリス"は"栗洲"、"ブレンデン"は"武練園"、彼らの発音を漢字に当てようとすると、とても難しく、頭の体操になります。また、漢字にはひとつひとつ意味があるということを知って、自分の名前が表すことを知るのがとても楽しいようです。日本人生徒たちも、辞書を使いながら一生懸命考えます。一番難しいと私が感じたのは、"ヒュー"という名前。日本語にない発音をどのように表現しようかと考え、"風(日本語ではヒューヒューと表現するから)"と書いてあげました。その様子を見ていた先生が、是非みんなの前でプレゼンテーションをしてみてはどうかと声をかけてくださいました。20名強の生徒たちが見つめる中、日本人生徒2人とバディー2人が前に出て、スクリーンとマイクを使って、名前や単語を日本語で書き、その漢字の意味を発表します。"アメリカ"を漢字で書くと"米国"、つまり"お米の国"と表現されることを述べると、アメリカ人生徒たちは不思議そうな表情を浮かべていました。アメリカの学校では、生徒たちが個人もしくはグループ活動で調査した結果や話し合った結論を、全員の前でプレゼンテーションをする場面がよく見られます。自分の席で発表することはあっても、みんなの前で発言する機会があまりない日本の生徒たちは、やはり緊張をしていたのか、バディ主導でプレゼンテーションは行なわれました。それでも、このような機会を得られたことはとても貴重で良い経験になったのではないかと思います。

7年生のクラスでは、新学期を迎えるためのオリエンテーションが行なわれていました。アメリカの学校は、必須単位数との兼ね合いを考えながら、生徒が授業を選択し、時間割を組み立てます。もちろん、カウンセラーに相談をしながら決めていくのですが、ここでもアメリカ人の自主性が養われる土壌を垣間見れた気がします。出席していた日本人生徒たちには、少し聞き取りが難しかったかもしれませんが、配布された選択科目のリストをじっと眺めていました。

3限目が終わると、午後からのボーリングへ行くために少し短めのランチタイムをとります。これまではバディに連れられて、カフェテリアでは散り散り昼食をとっていましたが、今日は日本人の集団で、満員のカフェテリアに向かいます。テーブルも自分達で確保し、アメリカ人生徒に負けないぐらいの賑やかさで盛り上がる様子は頼もしいほどでした。今日4月1日は、ケイスケの誕生日。そこで、登校初日に目にしたハッピーバースデーの大合唱を思い出し、日本人生徒に声をかけて、大きな声で歌い始めると、周りのテーブルのアメリカ人生徒たちも一緒になって歌ってくれました。当のケイスケ本人は恥ずかしそうにしていましたが、貴重な経験になったのではないかと思います。急いで昼食を済ませ、TC2人の車に乗り分けボーリング場に向かいます。2台には乗り切れなかったので、私と女子生徒3名は、少し遅れて車を出してくれたあるホストマザーと一緒に行きました。到着したときには、先に着いた生徒たちはゲームを始めており、みんな大盛り上がり。1ゲームだけの予定が、早く終わってしまった組は2ゲームさせてもらいました。遅れて到着した生徒たちも、インチ表示のシューズを試し履きししながら自分に合うものを見つけ、ボールを持ってレーンへと急ぎます。ボーリングレーンの名前は手元のキーボードで自分で打ち込むようになっていました。ホストファミリーと過ごす時間のうち、ホストファミリー同士が仲が良かったり、教会が同じだったりして、日本人生徒同士学校外でも会う事が多かった模様は日記にも書かれていましたが、全体活動で初めて"遊ぶ"時間を共有し、さらにメンバー同士仲を深めているように見受けられました。そして、ゲームが終わった生徒は、同じ敷地内にあった1ドルショップで10分ほどお買い物タイム。様々な日用雑貨が揃う店内でも、賑やかにお土産を選んだり、自分が食べるお菓子を吟味したりしていました。

一通りの買い物を終え、また車に乗り込み学校へ戻ります。ホストファミリーが迎えに来るまで少し時間があったので、期間中お世話になったワシントンミドルスクールへ贈るThank youボードに、一人一人のメッセージとサインを書いてもらいました。それが終わったら、今度はバディに御礼として贈るための新聞紙かぶとを折って、思い思いメッセージを書き込んでもらいました。40分ほどで仕上がるかと予想していましたが、思いを込めて作成していたためか、はたまたお喋りに興じていたためか、終わっていない生徒もいたので、学校に来る最終日である木曜日の朝までに提出するよう伝え、解散しました。

学校での様子や、日記に書かれている内容から、数名の生徒がホームシックにかかっていることが感じ取られました。昼休みの間、その生徒たちによくよく話を聞いてみると、やはり、英語だけの環境に少し疲れていたり、話したいことはたくさんあるのにすぐには言葉にできないもどかしさをかかえていることが分かりました。オリンピアにきて7日目。到着したての興奮が落ち着いて、異文化に身をおいていることを冷静に捉えられるようになってきた頃だと思います。馴染みのない料理や生活環境、そして何より言葉の壁。知らぬ間にストレスがたまっているのかもしれません。それでも、一人が「ホームシックかも」と漏らすと、「私も」「私も」と、お互い辛いと感じてることを日本語でぶちまけ、すっきりしたのか、みんなで笑い合って、カフェテリアへランチを食べに消えていきました。引率者としては複雑な心境でしたが、お互い寂しさを笑い飛ばせたことで前向きになれたのか、そのあとのボーリングや全体活動では笑顔が見られ、一安心です。残りのオリンピアでの滞在は実質2日。悔いのないように、それぞれの目的達成のために努めてほしいです。

 

  今日は学校がいつもより1時間遅く始業とのことで、日本人生徒たちの集合時間もいつもより1時間遅い9時にみんな集まりました。今日のお天気も晴れ。雲の合間から青空がのぞき、気候も過ごしやすい一日でした。25名全員が集まったら、車に乗り分けて"ハンズオンチルドレンズミュージアム"に向かいます。ここは、子ども達が遊びながら科学や環境、職業、芸術などを学ぶ、体験型の施設です。まず始めに、係員の方が館内ツアーをしてくださいました。8つのエリアに分かれ、水力や風力について学ぶ実験道具や、消防署や病院などの救命に携わる職業について学ぶアトラクションなど、幼稚園児が喜びそうな楽しい設備でいっぱいです。中学生の日本人生徒たちも、ガイドの方の説明を聞きながら、いますぐにでも自分も遊びたいという表情を浮かべています。とはいえ今日はボランティア活動が目的。2階の部屋で、ガイドの方にどのような仕事をさせてもらうのかの説明を受けます。まず一つ目は、紙に印刷された魚の絵を切り取る作業。子ども達が来館した際に、頭に被って遊ぶためにつかうものです。もうひとつは、恐竜の卵探しゲーム用に、恐竜の絵が描かれたステッカーを、プラスチック製のタマゴに詰める作業です。魚切り取り班は、100枚以上はあるかと思われる用紙の束をもくもくと切り取っていきます。そしてタマゴ班は、ポリ袋いっぱい詰めて3袋、あっという間に詰め終わりました。器用で勤勉な日本人の長所を存分に見せ付けてくれました。作業の間、2名ずつに分かれて、館内見回りの係と、アートルームに来る子ども達に折り紙を披露する係を順番に回していきました。平日にもかかわらず大勢の家族連れが訪れており、可愛い子ども達を相手に日本人生徒たちも楽しそうな様子で館内を巡回します。アートルームでは、粘土や紙作りなど様々な作業が行なわれる中、折り紙を折って近くにいた子どもに差し出す生徒の姿も見られました。

与えられた仕事を終えたら、次は昼食をとるために近所のスーパーマーケットへ車で移動します。 生徒たちが訪れたスーパーには、デリ(惣菜を買って食べれるスペース)が併設されており、ショーケースに並ぶサンドウィッチや量り売りのサラダなどを、思い思い注文します。英語の解読、量り売りの品物の注文の仕方、支払いのやり方、分からないことはTCの先生方に助けを求めながら、みんななんとか自分の食べたいものを手にしていました。飲食スペースには入り江を一望できる大きな窓があり、開放感溢れる店内で食事を楽しみました。食後ほんの少しだけ買い物の時間を設けてから、また車に乗り分けて、学校に帰ります。

学校に着いたら、いよいよ今夜行なわれるさよならパーティーの準備に取り掛かります。まず始めに、TCの先生方が用意してくださった、ホストファミリーへの贈り物の作成にとりかかりました。生徒の個人写真を画用紙に貼り、周りにメッセージを書いて、額に入れてラッピングします。次に、TCの先生方へ贈るカードへのメッセージ記入、そして見学で訪れた各施設へのカードへのメッセージ記入、そして学校への感謝を伝えるボードへの記入。わずか8日間のうちに、様々なところで文化交流を図っていたことを感じます。作業が終わると、全員参加の出し物である「ソーラン節」の練習に入りました。学校行事などで踊った経験のある生徒も多く、プロジェクターを使い動画を流すと、みんなその前に集まり体を動かし始めます。踊ったことがない生徒たちも、経験者に教えてもらいながら何度も動画を繰り返し、何とかこの短時間に覚えようと頑張っていました。簡単なフォーメーションや最後の決めポーズの練習をしていたら、時間はあっという間に過ぎていき、一旦練習を休み、個人芸の練習と会場設営へ移ります。会場は学校のカフェテリア。観客席の椅子を協力しながら綺麗に並べ、日本のお菓子コーナーを作り、折り紙で作った飾り付けをしました。司会役のミコトとイブキに前に出てきてもらい、プログラムの流れを簡単にリハーサル。最後に2回、ソーラン節の練習を行ないました。

パーティー開始時間の6時半近くになると、ホストファミリーが続々と集まり、観客席がいっぱいになりました。TCのクリスティー先生からみなさんへの挨拶、引率者からも御礼の挨拶を挟み、いよいよチームオリンピアの演目に入ります。トップバッターを切ってくれたのは、ケイスケとイブキの書道。雰囲気が伝わるよう少し大振りの動作で、「希望」という字を書きました。2番目は、シュンスケの日舞「一剣」。初めて見る日本の踊りを、ホストファミリーたちは食い入るように見つめていました。次は、ミサコの篠笛。会場に美しく響く音色で、「さくら」を演奏しました。和のムードが続き、アツコの茶道に移ります。ひとつひとつ丁寧な動作で、ホストファミリーたちも神妙な面持ちで見ています。次は少し趣向が変わり、アズサとハヅキによるバルーンアート。ホストブラザーやシスターに、作品を配り喜ばれていました。次は、タイキのルービックキューブ。目が離せないほどの速さでキューブを回転させ、観客をあっと驚かせていました。そして次からは音楽のある演目に入ります。まずは、ナナによるバレエ。クルクルと回る可愛らしいバレリーナに歓声があがります。次は、ユウキとチナツのヒップホップダンス。20秒ずつ入れ替わりで対決形式のダンスをし、会場を沸かせました。続いて、ノリコとリョウカによるピアノ演奏。滑らかな演奏に会場は静まり返ります。そして、ミサキとミコトによるバイオリン演奏。ミサキはなんと、アメリカに来て初めてバイオリンに触ったそうで、ホストシスターに教わって4日間一生懸命練習をした「荒城の月」を演奏してくれました。そのことを伝えるために事前に準備をしていたスピーチも完璧で、ホストファミリーの心に響いたようです。ミコトも急遽披露を決めたにも関わらず、堂々とした演奏を聞かせてくれました。そして、いよいよソーラン節の順番です。この踊りについての簡単な説明を私からさせてもらう間に、生徒たちは整列してスタンバイします。イブキの「構えっ!」の号令で腰を低く落とし、音楽が流れ始めました。男子も女子も、「どっこいしょどっこいしょ」「ソーランソーラン」の掛け声がしっかりと大きな声で言えていました。最後のポーズが決まると、ホストファミリーから大きな拍手をもらうことが出来ました。最後は、サエとチナツによるサンキュースピーチ。期間中に受けた多くの親切に感謝し、ホストファミリーがとても大切で特別な存在となったことを伝えます。全員で"Thank you very much"と声を合わせ、すべての演目を終えました。

色とりどりの飾りで会場を飾りつけしてくれたカナコ、リナ、アヤメ、ハルミも、会場設営で力仕事を請け負ってくれたケンタ、マサキ、リク、マサフミ、タクミも、チームオリンピア25人全員が協力してくれたからこその、素晴らしい会となりました。TCのクリスティー先生とジェニファー先生へ、お礼のカードとギフトを贈りました。締めくくりは、TC2人からの修了証書授与式です。ひとりひとり名前を呼ばれ、自分への修了証書とホストファミリーへの修了証書を受け取ります。ホストファミリーへは、自分で作ったサンキューギフトと一緒に、その修了証書を手渡しました。

全ての行程が終了し、お菓子やケーキを食べた後、残っている生徒やホストファミリーで片づけをしました。すると、一人のホストマザーが私の元にやってきて、「遠く日本からこんなにも素晴らしい子ども達を連れてきてくれて本当にありがとう。子ども達と過ごした時間はとても楽しくてかけがえのないものだった。出来ることならもっと長くいて欲しい。日本に帰って子ども達のご家族に会ったら、"あなたたちの育て方は正しかった。なぜならこの子どもたちは本当に素敵な子ばかりだから。"と伝えて欲しい」と話してくださいました。

オリンピアで活動できるのは残すところあと1日。25人の生徒たちが様々な経験を積んで、元気で無事にご家族の元へ帰れるよう、気を引き締めて過ごしたいと思います。

 

  いよいよオリンピアでの全体活動最終日がやってきました。いつもどおり、ワシントンミドルスクールに8時に集合してから、活動へと出発します。その前に、今日が学校へ登校する最後の日だったので、TCの先生方から学校にお願いし、朝の放送で、サエとチナツによるサンキュースピーチを披露させてもらうことになりました。昨日のさよならパーテーでも堂々と披露してくれた感謝の念を、全校生徒に向けて言葉にします。そして、バディのみんなに集まってもらうよう声かけをし、日本人生徒の全員写真と、新聞紙で作った兜を、お礼の品として手渡しました。TCの先生方からは、バディにも修了証書が贈られました。日本人生徒と同じくらい、バディの面々も、別れを惜しんでいることがひしひしと伝わってきました。ほんのわずかな期間ではありましたが、異文化交流の濃厚な時間を過ごしたことが感じ取られました。

次に、みんなにメッセージを書いてもらったサンキューボードを、校長先生や副校長先生がいらっしゃる事務室へ持って行き、日本のお菓子と一緒にお渡ししました。期間中教室を使わせていただいたこと、授業に参加させてもらったこと、ウェルカムパーティーやさよならパーティーでカフェテリアを使わせていただいたこと全てに感謝です。事務室の方々も、とても喜んでくださいました。校長先生と副校長先生と一緒に写真を撮らせていただいてから、満開の桜が咲く学校入口付近の看板のところでも、グループ写真を撮影しました。

いつものように、車に乗り分けて、Lattin's Country Cider Mill(ラティンズカントリーサイダーミル)へ向かいます。昨日に比べ雲に覆われた天気でしたが、みんなが農場を見学している間はなんとかもちこたえてくれました。こじんまりとした可愛らしい農場には、ヤギや孔雀、アヒルや鶏、羊やウサギなどに加え、日本の農場ではあまり見られない七面鳥もいました。鶏やアヒルなどは、日本よりもカラフルで派手な羽毛で、種類が異なる動物のようです。真っ白の孔雀もいました。クリスティー先生が餌を買ってくれたので、みんなでヤギや羊に餌やりをしました。一通り見て回ると、この農場の名物だというドーナツとリンゴジュースを、TCの先生方が振舞ってくださいました。優しい甘さのドーナツは日本人の口にもあったのか、おかわりをする生徒も多くいました。リンゴジュースは、ここでとれたリンゴを使ったジュースで、英語では"アップルサイダー"と呼ばれています。「サイダーだよ」と言って生徒たちに手渡すと、みんな口をそろえて「炭酸じゃないからサイダーじゃない」と異議を唱える声が。アメリカでは、発酵させずアルコール分を含まないリンゴジュースを、サイダーと呼ぶそうです。生のリンゴをぎゅっと絞ったようなフレッシュな味わいが広がりました。場内の売店では、ドーナツやクッキーなどのベイカリー商品や、ジュースなどが並んでおり、生徒たちは自分で食べるものやお土産を購入していました。

お昼前には農場を出発し、昨日からみんなが楽しみにしていたショッピングをするために、キャピトルモールへ行きました。いくつもの専門店が並ぶ巨大な建物の他にも、広大な敷地内には廉価な衣料品を扱うお店や、雑貨から食料品まで揃う大規模なスーパーなど、まさにアメリカンサイズのショッピングモールでした。集合時間と場所を確認し、約3時間のお買い物ツアーに出発です。1名で歩くことの無いようにと注意をし、仲のいいメンバー同士でお目当ての品を探しに散っていきます。生徒たちの姿を追って店内を巡回するのはとてもいい運動になりました。スポーツ用品店やアクセサリーショップなどでは、何か旅の思い出になるものを購入しようと商品を吟味する生徒の姿がみられます。スーパーの食品コーナーでは、日本の家族へのお土産やホストファミリーへのお礼の品を選ぶ生徒の姿がありました。サイズの単位の違いや、まだ慣れないコインの支払いも、買い物を楽しむ最中にはたいした問題にはなっていないようでした。指差しやジェスチャーで、何とか自分の意思を店員に伝えようとしていました。日本では見たことのない、セルフチェックアウトレジ(自分でバーコードを読み込み、現金を投入したりカードと使って支払いを行なうレジ)にトライしている生徒もいました。到着したての時に立ち寄ったタコマモールでは、お店に入るのにも勇気が要るといった生徒たちでしたが、ほんの短期間で自信をつけた様子です。やや長めの買い物時間にみんな疲れたのか、集合時間5分前には集合場所のフードコートに集まり始め、お互いに何を買ったか報告しあっていました。限られたお小遣いの中で何とかやりくりできたようです。ショップ袋をいくつも抱え、念願だった買い物を楽しむことが出来、みな満足そうです。

学校へ戻り、荷造りについての注意事項や、明日の集合時間の確認、そして、今夜はホストファミリーへの感謝をしっかりと意識し、ホストファミリーに何がお返しできるかを考えて過ごして欲しいという旨を伝えて解散しました。ほんのわずかな期間ではありましたが、ずっとここにいたような感覚になるのは、この9日間がとても充実していたからだと思います。明朝の集合時間は午前7時半。忘れ物の無い様、荷造りをしっかり行なう事はうるさいぐらいに注意しましたが、最後まで気を抜かずに持ち物の自己管理を徹底して欲しいと思います。

 

  午前7時30分、大型ショッピングセンターの駐車場に集合。いよいよ日本に帰る日がやってきました。天気予報では雨のはずが、雲間からは淡い青空が覗き、空港まで向かうバスを、まぶしいくらいの朝日が照らす美しい朝でした。私は少し早めに到着したのですが、すでに一組のホストファミリーが到着していました。子どもの学校があるため早めに去らなければならないということで、日本人生徒との別れを惜しみ、互いに涙を浮かべながら抱き合っています。「またアメリカにおいで。必ずまた会おう」と再会を約束し、それでもやはり名残惜しそうに、駐車場をあとにしました。しばらくすると、一台、また一台と日本人生徒を乗せた車が駐車場に入ってきました。トランクからひょいとスーツケースを取り出してくれるホストファザー、目を真っ赤にして日本人生徒を抱きしめるホストマザー、まだまだ日本人生徒たちと遊びたい気持ちでいっぱいのホストブラザーやシスターの姿を見ていると、ホストファミリーにとっても、この10日間がとても充実したもので、日本人生徒たちがかけがえのない家族の一員になっていたのだということを実感しました。多くのホストファミリーから、また必ずホストをしたいというお言葉を頂けたことは、チームオリンピアがいかに貴重な経験をホストファミリーにGive出来ていたかという証拠だと思います。再会を約束し、日本人生徒たちを急き立てるようにして、バスに乗り込みました。

シアトル空港までは1時間弱で到着。別れの悲しみ漂う車内になるかと思いきや、賑やかに日本に帰ってからの連絡先を交換し合う生徒たち。ホストファミリーとのやり取りも、メールやフェイスブックなどの便利な手段があることもあってか、海を越えても親密な関係を続けられるこの時代において、別れの寂しさは昔よりも薄くなっているのかもしれません。その利点を存分に活用し、日本に帰ってからもホストファミリーとの関係をぜひ保って欲しいと思います。

空港に着く前に、空港内での団体行動に関しての注意事項や、搭乗までの流れについて説明をしました。英語環境に慣れ、また、日本人同士仲良くなって緊張感が薄くなってしまうことで、忘れ物や何かトラブルが生じることはしばしば起こります。宮崎空港に到着するまで、気を抜かずに機敏な行動をとって欲しいということを伝えました。そして空港に到着して早々、スーツケースに乗って移動しようとする生徒がおり、重ねて注意をしました。ひさしぶりの班ごとの整列。パスポートとeチケットを配り、チェックインカウンターが開くのを待ちます。このときにも、前日にマニキュアは落としてくるよう伝えていたことを守れていない生徒を厳重に注意しました。学校にマニキュアをしていったり、制服が無く自由な服装だったり、校内でお菓子を食べても怒られなかったり、また、好きな授業を選択して自分の時間割が作れたり、日本の子ども達には、"好き勝手できる自由"がうらやましいと感じられる点も多々あったと思います。実際に、このような点を"発見"して感化されている様子が日記からも読み取れました。しかし、この自由には必ず責任が伴っていることにも気づいて欲しいと思います。着飾ることが許される自由には、節度を守るという自制の精神がなければならないし、選択できる自由には、単位管理などその選択がもたらす結果がすべて自己責任として返ってきます。表面的なことだけ模倣するのではなく、アメリカ人生徒たちが自由な環境にあってなぜ日本人生徒たちよりも大人びて見えたのか、なぜアメリカでは許されたことが日本では許されないのか、その根源にある文化の違いまで考えられるようになって欲しいと思います。

チェックイン開始まで1時間ほどあったため、ここで感想文用紙を配りました。全員分回収後、帰国報告文集としてメンバー全員の元へお送りします。チェックイン前に、空いているカウンターでスーツケースの重さをチェックさせてもらいました。日本を出発したときは、日本のお菓子やお土産でパンパンだったスーツケース。今度はアメリカで購入したお土産やホストファミリーからのプレゼントでいっぱいです。中には制限ギリギリの22.6kgを記録する生徒もいましたが、全員制限以内で荷造りをしてきてくれており、助かりました。チェックインカウンターが開くと、日系航空会社ということで、アメリカ人スタッフも「おはようございます」「ありがとうございます」「いってらっしゃいませ」と片言の日本語を話されていました。また、看板や電光掲示板も日本語と英語が併記されており、生徒たちは「日本語の看板ひさしぶりだ」と言って少し嬉しそうな様子でした。全員のチェックインが終わると、ここまで見送ってくれたクリスティー先生とジェニファー先生に別れを告げて、セキュリティーゲートへと向かいます。現地でのコーディネーターとして、また、ホストファミリーとしても、日本人生徒たちの滞在に献身してくださったTCとの別れもまた、名残惜しい限りです。アメリカ人らしい大らかさと、プログラムを円滑に進める気配りの心と細やかさを併せ持った、素晴らしい先生方でした。

セキュリティーゲートでのボディチェックは日本よりも厳しく、上着や靴を脱いで金属探知機を通ります。丁寧な対応の日本の空港に比べ、アメリカの係員の方々の対応は生徒たちには乱暴に感じられたようでした。全員が揃ったら、トラムに乗り、搭乗ゲートに向かいます。搭乗開始時刻よりも2時間ほど早く到着したので、集合時間を決め、一旦解散しました。ターミナル内にある売店で最後の買い物タイム。お菓子やマグカップなど、残りのお小遣いを考えながら、お土産を購入していました。集合時間にはみんな集まり、機内での注意事項や成田空港到着の際に必要な書類の配布をしました。同じ飛行機には、みんなと同じように春休みのホームステイに行っていたという他社プログラムのグループが2組いました。順番に乗り込み、定刻の13時15分に飛行機は成田空港に向けて出発します。

離陸後しばらくしてから機内食が提供されます。感想文を書いたりゲームをしたり、来たときよりも少し長い10時間半程度のフライトを、快適に過ごしました。成田空港へ到着し、入国審査前にパスポートと税関申告書の確認を行なったところ、一人の生徒がパスポートを失くしたと言ってきました。リュックの中身を全部取り出してみても、服のポケットを探してみても見つかりません。仕方なく、全員で入国審査のカウンターに進み、他の生徒たちにはスーツケース受け取り後に集まって待機しておくよう伝え、そのパスポートを紛失した生徒と全日空職員の方の元へ行き、機内の確認をとっていただきました。15分程待って、機内清掃の方からパスポートが見つかったとの連絡が入り、入国審査場まで持ってきていただきました。帰国時は気が緩むためこういったトラブルが起こりがちだということを、シアトル空港へ向かうバスの中や搭乗ゲートで注意していたにも関わらず、実際に起こってしまったことは残念でなりません。持ち物の自己管理の徹底、機内での過ごし方、団体行動の心構えについても、25人全員に再度注意を促しました。

税関を通り抜け、到着フロアに出ると、グラスバレーグループの数名と合流し、一緒にリムジンバスに乗って羽田空港に向かいます。春休みということもあってか、空港内は大変混雑していました。搭乗券を配布し、スーツケースを預け、セキュリティーゲートへ向かいます。宮崎空港へのフライトは、19時15分出発予定の時間が遅れ、20時の出発となりました。30分程度の自由時間を設けると、お腹を空かせた生徒たちは売店でお弁当を購入したり、家族への東京土産を物色したりしていました。感想文をまだ提出していない生徒には、搭乗前には提出できるようお願いしました。また、ホストファミリーへは必ず帰国の報告とお礼のメールや手紙を送ること、そして、ゆっくりと休んで新学期に備えることなどの旨を伝えました。いよいよ、家族の待つ宮崎行きの飛行機へと乗り込みます。

宮崎空港に到着すると、生徒たちの帰りを待ちわびる家族のみなさんに温かく迎えられました。ただでさえ生徒たちの帰りを待ち望んでいる中、1時間も到着が遅れてしまい、長らくお待たせしてしまいました。およそ24時間の長旅。ご家族に伝えたいことがたくさんあって、興奮状態の生徒たちとは思いますが、早めに休んで週明けからの新年度に備えてもらいたいと思います。最終便での帰宅となり、遠方からのお迎えは大変だったかと思います。本当にありがとうございました。

引率者として出来ることは、生徒たちをアメリカに連れて行き、プログラムを円滑に進め、そして無事にご家族の元へ帰すこと。ホームステイを通してどのようなことを学び、今後の進路にどう役立てるのかは参加者の皆さん次第です。このプログラム期間中に出遭った全ての方への感謝の気持ちを忘れず、ホストファミリーとの関係も大切にしてください。チームオリンピアのトライの精神は、とても素晴らしかったと感じます。みんなの視点を通して、私も新たな学びを得られた気がします。11日間、本当にお疲れさまでした。みんな仲良く、元気に過ごしてくれてありがとう。


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