とうとうさよならパーティーの日を迎えた。これでこうして朝生徒たちを迎えるのも最後だと思うととても寂しかった。今日の学校の時間はすべて今夜のさよならパーティーの準備に充てられた。今日は生徒たち一人ひとりが主役。しっかりとこうして準備できるのが今日1日だけだったので、準備の前の朝の会で話したのが旅のしおりにあるチームグラスバレーの決まりごとの一つ目の話をした。準備を進める中で、意見が食い違ってもお互いを尊重しあってチームワークをもって笑顔ですすめること。このホームステイを通じて出会った貴重な仲間たち。チームグラスバレーは複数県からの参加の混合グループ、ホストファミリーだけでなくこのチーム内の仲間との出会いも大切にしてほしいという願いからだった。
たっぷりと時間があるように感じた準備。和気あいあいと楽しみながら準備していたがあっという間に時間が過ぎてしまった。この間にこの10日間でお世話になったTCのMicheleとEllen、Magnolia Intermediate School、Bear River High School、そしてCottage Hill Elementary Schoolに送る色紙に写真を貼り付け生徒にも自分たちの名前をサインしてもらった。習字で「愛」や「仲間」「友達」、「感謝」などの言葉をたくさん書いてくれた生徒、持ってきた折り紙でとても長い飾りを作ってくれた生徒、ホストファミリーに配るプログラムの表紙や演目を描いてくれた生徒、それぞれの特技を活かして一生懸命に準備していた。夜にホストファミリーにプレゼントするために、クリップボードも思い思いにデコレーションをしていた。午前中の準備時間が終わるとお昼は今日は全員でピザ。学校が最後の日にグループにピザランチをごちそうしてくれた。生徒たちはアメリカの濃い味のピザをおいしそうに頬張っていた。
午後は発表するパフォーマンスの練習にあてられた。リコーダーやピアノの伴奏、歌やダンス、バレエの練習。時間が限られていた中での練習、本当にこのままで本番を迎えられるのだろうかとひやひや見守っていたが、率先して練習を引っ張ってくれる生徒たちのおかげで何とか練習に励んでいた。
少し早目に練習を切り上げて、校長先生がBuddyや友達と写真を撮る時間を設けてくださった。明日の朝の集合がとても早い時間なので学校の友達に会えるのは今日が最後。みんな惜しみなく写真を撮っていた。最初のころは緊張と不安でなかなかアメリカ人生徒とうまくコミュニケーションがとれなかった生徒たちが、彼らとの別れを惜しんでふざけ合ったりハグをしたりしていた。すっかり立派に学校の一員になった生徒たち。Magnolia Intermediate Schoolは規模は小さな学校であるからこそ、学校全体がとてもフレンドリーで暖かく、どのクラスに行っても生徒たちを歓迎してくださった。
夕方一度帰宅し、何人かの生徒は準備の手伝いのために少し早く会場に到着してくれた。6時半スタートの時間に合わせてだんだんとホストファミリーとともに生徒が続々と集まってきた。さよならパーティーのために浴衣や半被、部活のユニフォームやはちまきを着てきた生徒も多かった。まずはポットラックでホストファミリーが持ち寄ってくださったごはんを賑やかに食べた。今週初めは「少しホームシックだ」と話していた生徒たちが、「帰りたくない、明日になってほしくない」と今にも泣きそうになっていた。ごはんがすむと、TCのミシェルから校長先生へ感謝の気持ちとこれからの友情にアメリカと日本の国旗をプレゼント。私たちチームグラスバレーも同じ国旗をプレゼントしてもらった。そして今度は生徒たちへ、TCのミシェルからこのホームステイプログラム修了の賞状を一人一人手渡された。
そして最後が生徒たちによるパフォーマンス。MC2人のあいさつに続いて、生徒代表でホストファミリーの皆さんに感謝の気持ちを伝えた。まずは男子生徒2人によるリコーダーの発表。年の少し離れた二人が兄弟のように仲良く「鉄腕アトム」を演奏してくれた。女子生徒によるピアノの発表。日本を象徴する「さくら」、そして彼女の出身地の子守歌を披露してくれた。バレエの発表、赤いきれいな衣装を身にまとってとても綺麗なパフォーマンスだった。どうなることかと心配したダンスの発表、「恋するフォーチュンクッキー」に合わせて男女一緒に踊ることになった。学校の体育や音楽でたくさんダンスをして楽しんでいたので慣れていたのではないかな。最初は女子生徒何人かで発表するはずだった歌「Believe」。仲間意識が強くなったのか、自然とみんなを誘い合い、伴奏・指揮含めて結局全員での発表となった。そして最後がこのチーム得意の「かえるの歌」の輪唱。音楽のクラスでもそうだったが、満足いくほど練習できていないのにこのチームはとてもきれいな歌声を聞かせてくれた。全員で発表したい、というその思いがとても嬉しかった。最後にみんなで「ありがとう」とおじぎをし、ホストファミリーから大きな拍手をもらった。MC2人による締めのあいさつでさよならパーティーの終了。生徒たちは思う存分ホストファミリーに感謝の気持ちを伝えられたのではないかと思う。
パーティー終了後、もう泣き出してしまった生徒が多かった。ホストファミリーも目に涙を浮かべ、「まだ一緒にいたい」と嘆いていた。どのホストファミリーも「本当に素晴らしい子に出会えてよかった、また会いに来てほしい」と話してくれた。明日の早朝のお別れはもっと涙でいっぱいになるだろう。朝6時から日本に帰り着くまで長旅だ。このグラスバレーで持てたこの出会いを大切に心に刻んで、最後まで元気に仲良く安全にすごしたい。 |