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  期待と緊張と、家族と離れるちょっとした不安を胸に宮崎空港に集合したローダイグループの生徒たち。いよいよホームステイプログラムが幕を開ける。2015年夏、この生徒たちにとってどんなアメリカンドラマが待ち構えているのだろうか・・・。

  空港ロビーでの出発式を終え、スーツケースに貼り付けるネームタグの準備が終わっていない生徒たちの準備やチケットなどの配付物で、MNCCスタッフもPA2人もてんやわんや。一方で、見送りの保護者の皆様にお会いし、大切な子どもさんを預からせていただく責任も改めて感じた。

 ユバシティーに向かうグループが先に「行って来まーす!!」大きな声で最後の挨拶をした。ローダイグループも負けてはいられない。空港中に響き渡る声で「行って来まぁーす!!」笑顔で家族に挨拶ができた。飛行機に搭乗する際、「こんにちは。よろしくお願いします。」客室乗務員の方に、笑顔と共に明るい挨拶をする生徒がいた。後ろを振り返りすぐに褒めたくなった。同時にその乗務員さんからもその生徒はお褒めの言葉をいただいていた。コミュニケーションはこういった特別ではない場から始まる。

  宮崎空港から羽田空港まで1時間半。羽田空港で新たに6人と合流し、ローダイグループの24名の生徒が全員集結!!整列や点呼の仕方を確認した後、成田空港へのバスに乗り込み、バスの中でそれぞれ昼食を済ませた。不思議なことに、宮崎空港ではできなかった整列と点呼も、この時点ではスムーズにいくようになっていた。そう・・・きっと家族が近くにいないから。「しっかりしなければ」そういう自立心が不思議と芽生えてきていたのだと思い、感心させられた。

  成田空港に着いてからは、チェックインするまでに時間を要した。全員税関をとおり、出発ゲートへ。17:10発予定の飛行機は、実際には17:30ぐらいの出発だった。最初のスナックや飲み物が配られ、後から機内食にトライ。チキンカレーを頼んでいる生徒が多かった。食事の後、電気が消え、なかなか寝付けない生徒もいたようだが、ほとんどの生徒たちがオリエンテーションでの指導をきちんと聞き、眠ろうと努力する姿があった。機内はほぼ満席だったので、9時間のフライトは非常に長く感じたに違いない。最後の機内食を終え、いよいよアメリカへ。外が明るくなり、陸が見えると、心の準備もできたようである。

 空港に降り立った私たちは、入国審査を受けた。初めての英語の質問攻めに多少戸惑いもあったが、全員無事にクリア!手荷物を受け取り、TCの先生方が迎えてくれた!!本当に温かく、明るく迎えてくださったので、素直に嬉しいと思うことができた。バスに乗り込み、最初の昼ご飯IN AND OUT BURGERでの注文は、苦戦していた。”onion”の発音が生徒に伝わらず、レジに立ったまま私を見て助けを求めていた。途中から玉ねぎのサンプルがレジの横に置かれることに・・・カップをもらったら、自分で好きなジュースを何倍でもおかわりできるシステムを楽しそうに経験する生徒たち。本場のハンバーガーのお味はいかに?!お腹いっぱいになったら、いよいよホストファミリーの待つローダイへ。スタディーセンターでは、ウェルカムボードを持ったホストファミリーが待ってくれていた。みんなハグをしたり、握手をしたりとそれぞれだったが、笑顔でそれぞれの家へ。これから繰り広げられるそれぞれのドラマをぜひ楽しんでいってほしい。

 今日も朝から快晴のローダイ。朝から強い陽射しが照りつける。7:30からTCのウェンディーと共にスタディーセンターで生徒たちを待った。8:00までに来るようになっていたので、7:45過ぎから生徒たちが到着し始める。スタディーセンターまでの送り迎えは、毎日ホストファミリーに行っていただく。時差ぼけのせいか眠そうにしている生徒、元気よくSee you!と言って車を降りる生徒、みんなと会えて嬉しそうにする生徒とそれぞれだったが、新たに始まる1日をまた楽しもうとする生徒たちの姿があった。

 午前中の授業はTCのパムとウェンディーが担当。生徒たちは少し疲れ気味だったが、TCの先生方のご指導により、肯定的な相づち( Yes! Oh, yeah! Yeah! Yep!! Sure. Why not! Uh-huh.・・・ ) 、否定的な相づちなど( No! Na! No way! You’re kidding! ・・・ )を学んだ。今日のキーワードは”participate” (参加する)だった。きっと今日この言葉を覚えたと思う。間違ってもいいから自ら何かを伝えることが大切。今日は初めての授業だったので、今日の学習の成果は、また明日の授業で確認することにしよう。

 さて、ランチタイム。家から持って来たランチを見せ合ったり、足りなかったランチを友だちからもらったり、おいしいものをシェアしたりと楽しそうだった。また、りんごはどうやって食べるのか?とか、量を減らしたい時にはどう言うのか?など、ランチタイムに聞きに来る生徒が多かった。あれもこれもとホストファミリーのおもてなしを受けている様子が伺える。「生徒たち!!いらない時には断っていい!!」問題は、「断る勇気があるかどうか?」である。正直になることは、案外難しい。明日のランチボックスが1日目とどう変化しているのか、一番の楽しみかもしれない。

 ランチ後は、ローダイ市役所を訪れ、ボブ・ジョンソン市長のおもてなしを受けた。ローダイの人口や市議会の開き方、議員の説明を受け、農業が盛んで主にワイン用のブドウの収穫が有名であることも知った。写真を撮った後は、ローダイ市のバッチや冷たく冷やしたミネラルウォーターをいただき、ローダイのダウンタウンへ。少しの間のショッピングタイムを楽しんだ。15時にスタディーセンターへと戻り、ホストファミリーの迎えを待った。

 今日の夕方はウェルカムパーティー。ローダイレイクの一角で、ポットラック形式のBBQを楽しんだ。サラダやフルーツ、デザートまで用意されており、ファミリーごとに生徒たちは楽しんでいた。BBQの後は、ホストファミリーと水風船を投げ合ってびしょぬれになる生徒も!!さらに風船で作った刀で、小さい子どもと戦い合う生徒たち!!楽しい時間を過ごしていた。

 日本人もおもてなしの心は当然もっていると思うが、私はこの国に来て、ホスピタリティー精神あふれる人々を尊敬している。ホームステイをボランティアで受け入れてくださることはもちろん、日本から来た生徒たちにこんなに心を開いてくれていること、一生懸命に尽くしてくれていること・・・きっと生徒も感じているはずである。今度は生活の中で、お手伝いをしたり、日本食を作ったり、折り紙など文化の紹介をしたりと、それぞれがホストファミリーを楽しませることを考えていってほしい。明日はどんな話が聞けるだろうかと、想像しながら眠りにつくことにしよう。

 昨日の暑さはどこへ行ったのかと思うほど、今朝のローダイは心地よいすっきりとした朝だった。今日のスケジュールは、午前中はスタディーセンターでの学習、午後からローダイレイクへの遠足となっている。

 午前中の授業では、昨日よりも積極的に手が挙がるようになっていた。ほっと一安心・・・パムもウェンディーも、例え生徒たちが間違った答えを言っても、決して否定しない。そう、ここアメリカで、自己肯定感をたっぷりと味わってほしいのだ。「自分の英語は伝わるのだろうか?」ではなく、「今日は昨日よりも積極的に手を挙げた!」とか、「自分から話かけられた!」など、自分が挑戦したことをほめていってほしいと思う。

 授業では、先生から質問されたことに対して“YES!!!”と手を挙げて答えを言うことが求められている。これはまさしく、「問われていることが分かるか?」ではなく、「答えを言う勇気があるか?」というところが鍵である。昨日よりも随分多くの生徒たちが積極的になれていたようだった。手を挙げるとチョコレートがもらえたり、くじ引きの半券をゲットできたりするというシステムで授業が進んでいく。くじ引きの半券が当たった生徒たちは、アメリカの国旗がデザインされた、巨大なペンやサングラスなどをもらっていて、とても喜んでいた。

 11時にバスが来てローダイレイクまで連れて行くということだったが、バスが来なかったので、しばらく待った。結局、何台かの車に分乗して湖まで行くことになった。バスが来ないことを知った生徒たちは、特別驚くこともなくeasygoingで早くもアメリカナイズされていると感じた。「こういう堅苦しくないところがすごくいい!!」と笑顔で言っていた生徒もおり、私はついにんまりしてしまった。

 ホストファミリーとの生活は、自分の要求をいかに伝えるかが課題となっているようである。自分は買い物に行きたいがそれを家族に伝えていいのか…2日続けて同じパンがランチバッグに入っていたが、実は好きではないことをどう説明すればよいのか…今日持って来た水が足りなかったが、どう言っていいのか…これらの質問に対し、@自分がやってみたいことはきちんと伝えてみること、A嫌いなものはやっぱり嫌いであると後からでも伝える努力をすること(1回目で言えたらもっといい!)、Bextraという単語を使ってもっと要求してみること、と返した。その結果どうなったのか明日は聞いてみたいと思う。

 さて、湖での遠足は、それぞれが好きな時間を過ごすという自由な感じで行われた。午前中は心地よい風が吹いていたが、午後になると強い日差しが照りつけた。そんな中、昼食を済ませた生徒たちは、ボートに乗ったり、ボール遊びや巨大バドミントンをしたり、ネイチャーウォークに出かけたり、思い思いの時間を楽しんでいた。昨日までは時差ぼけに悩んでいた生徒もいたようだが、24人の体調はよいようである。汗をかき、自然の中で過ごす午後の時間でリフレッシュできていたら嬉しい。

 今夜はファーマーズマーケットの日。夕方、ダウンタウンに行くと生徒たちを何人も見かけた。家族と一緒にマーケットに来ていたようである。夜8時を過ぎても暗くならないローダイ。つい時間の感覚を忘れてしまいがちだ。8時半にようやく薄暗くなり、今日1日が終わることを実感した。明日は、消防署と警察署を訪れる予定になっている。

  今朝は少し曇っていたローダイ。上着を着てスタディーセンターにやってくる生徒が多いように感じた。来週の月曜日は、サンフランシスコへの終日研修の日。そのために、今日の午前中はお金について勉強する予定になっていた。日本のコインは穴が開いていたり、色や大きさが違ったり、数字も書いてあるのではっきりと見分けることができる。一方で、アメリカのコインには頭を悩ませているようだ。アメリカのコインには、1セントをpenny、5セントをnickel、10セントをdime、25セントをquarterという別の呼び方がある。つまり、one dimeと言われたら10セント準備するという、私たち大人にとってもちょっとややこしい仕組みになっているのだ。勉強しないまま買い物に行くと、帰国する時に大量の小銭が手元に残りそうな予感・・・。

 宿題のページをめくると、ホストファミリーとお金の予習してきていた生徒が多かった。授業では、近くに座っている人と協力して、おもちゃのお金を使っての計算タイムが始まった。慣れてくると、「全てのコインを使って」や「100ドル札は使わないで」などと、クリアしなければならない条件も付け加えられていたので、みんな真剣に、また楽しく取り組んでいたようだった。これでますますサンフランシスコでの買い物の時間を楽しむことができるのではないだろうか。

 さて、午後からは警察署と消防署を訪れた。警察署ではリンさんという方に案内をしていただいた。「警察署だから静かに…」と言われたので、みんな静かにしていたが、静かにと言った人が大きな声で冗談を言うので、みんな戸惑っていた(Oops!)。通訳が難しいと感じるのは、単語の意味が分かるかはもちろんのことだが、話の流れを予測していくことも大変だと思う。特に専門用語になると何度も聞き返したり、説明してもらっても分からないことがあったりと、大変だったので、勉強不足だと感じた。生徒たちは警察署の中を見せてもらい、外ではパトカーに乗って写真を撮ることもでき、満足気だった。ローダイポリスのピンバッヂまでいただき、このgiving精神にはまたまた脱帽。最後にリンさんが警察官ではないことを知り、みんなで「・・・え!!」という感じだった。75歳であるリンさんは、20年近く警察のボランティアをしているらしい。日頃、警察官が忙しくてできないことをやっているだけだとおっしゃっていた。日本でこんなことがあるだろうか。リンさんだけでなく、もう一人のアシスタントの女性も、17年間ボランティアで働いているということだった。How wonderful!!

 次に向かい側の消防署へ。7,8人の消防士の方が迎えてくれた。160センチの私は見上げるほどの消防士の背の高さに、ついポカンと口を開けて見上げていた。目測での消防士の平均身長は約2メーター。48時間の勤務が終わると4日の休みがあるというシフトを3グループで行うという勤務体制であること、まるで家族のように信頼し合って働いていることを教えてもらった。消防署の仕組みは日本とほとんど変わらないようである。お礼を言って帰ろうとしていると、出動要請が!!日本の消防車の2倍はあるだろうと思われる消防車を見事に操る消防士をみんなで見送った。消防車が大きく、前と後ろに2人の運転手が必要であることも知った。女子の頬が赤くなっていたのは、午後の強い陽射しのせいだけではないようだった。

 明日からはいよいよ週末。ホストファミリーと過ごす初めての長い時間。キャンプに行ったり、買い物に行ったりと計画を立てている家もあるが、ノープランと言っていたところもあった。自分が何をしたいかをきちんと伝えるようにとアドバイスしたが、伝えることができただろうか。何をしていいか分からない場合は、何ができるか自ら聞くことができただろうか。月曜日は朝からバスに乗り込みサンフランシスコへ向かう。バスの中は週末の話で持ちきりになるだろう。そろそろ日本食が本気で恋しくなってくる頃だろうか。みんなが待ちわびる月曜日はきっとすぐにやって来る。

  爽やかな風が吹くローダイ。なんだか楽しい1日になりそうな予感!!今日は、サンフランシスコへの終日研修の日である。

 週末の話でもちきりの車内。2日ぶりに日本語を使う生徒もいたようで、日本語が使える嬉しさを味わっていた。途中、ウェンディー先生の旦那さんが作ってくださった「おにぎり」をほおばる生徒たち。朝ご飯はさっき食べたはずなのに、「おにぎりは別腹!」と言わんばかりに、おいしそうに食べていた。アメリカ人が作ってくれたおにぎりを食べる日本人・・・私のおにぎりに「海苔のつくだに」が入っているのに気づいたある男子生徒が「ずるい!!」と言っていた。最近、ご飯が恋しくてお米を食べている生徒が多いようだが、はやり日本のご飯との違いを感じている様子。思いがけないおにぎりの登場は、この上なく嬉しく感じた。

 サンフランシスコに着くと、ゴールデンゲートブリッジを見学。霧がかかりやすいと聞いていたが、今日は写真を撮るには絶好の日。現地で待っていてくださったMNCCのスタッフのみなさんにも会うことができ、興奮気味の生徒たち。ここでは写真を撮るために、座る場所の目印となる「縄跳び」が用意されていた。こういったツールがあると、目印できちんと止まる、並ぶ、待つ…など、日本の生徒たちは自然と自分たちの力を発揮することができる。縄跳びのおかげで、きれいに並んで写真を撮ることができた。写真を撮るとMNCCスタッフより、午後の過ごし方についていくつかの注意があった。「自由」という言葉には、いつも「責任」という言葉がついてまわる。ちょっとした自由を手に入れた生徒たちは、ピア39で解散。日本で言うならば、東京お台場で自由行動をするような感じだろう。ショッピングを楽しむことができるお土産屋が、ずらりと軒を連ねていたので、ここでお土産を買った生徒たちが多かったようだ。お目当ての品はあっただろうか。

 18:30までに解散した場所に集合するという約束だったが、全員時間の前には集まっていた。素晴らしい!!!写真を撮って、すぐにバスへ。帰りのバスの中では、疲れて眠ったり、話したりない友だちとおしゃべりをしたり、自由に過ごしていた。今日は月曜日だが、曜日の感覚が鈍っているように思える。すっかり暗くなって帰宅することになった。

 今日からローダイ近辺の学校は新学期が始まったようだ。私たちにとって、アメリカで過ごす時間は残り2週間。夏休み明けの学校のことを考えるのは今日はやめておこう。明日も素敵な1日になりますように・・・。

 サンフランシスコでの終日研修を終えたばかりの生徒たちは、今朝はまだ眠たそうに見えた。今日はボランティアに行く日となっている。Itineraryには午後からボランティアと書いてあるが、午前中に変更になったらしい。(結局は1日ボランティアになったが…)

 バスが迎えに来ると、私たちはSalvation Armyと呼ばれる団体のボランティアに行った。失業などの理由で、社会的な支援が必要な人々のために用意される物資を、袋につめる作業から始めた。作業を始める前に、「給食当番みたいに要領よくやってね。」と私に言われていた生徒たち。紙袋に詰められる食料をきれいに台の上に並べる係、缶詰、クラッカー、パン、ケーキ、マッシュポテトの素、レーズンなどの食料を袋に詰める係、食料品が入っていたダンボールを崩す係、必要のない食品を棚に戻す係など、他にもたくさんの仕事があったが、自分の仕事を見つけ没頭していた。どのように袋詰めしていけばよいか教えられると、生徒たちはどんどん動き出す。作業を始め、イメージがつかめると処理能力が急上昇!要領よく作業をこなすこと1時間半。全てを詰め終わった!!物事に没頭すると、あっという間に時間が過ぎていく。昨日の終日研修での疲れはどこへやら…TCの先生方からも「日本から来る子どもたちは本当によく働く!!」とお褒めの言葉をいただいた。ランチタイムの後は、午後のボランティアの時間が来るまで先週訪れた警察署と消防署へのTHANK YOU LETTERをみんなで書くことになり、2グループに別れて活動した。その後、14時30分まで食料品を受け取りに来た人の車に、午前中に用意した食品を運ぶボランティアを行った。全員が頑張って働いた1日となった。

 Salvation Armyというこの団体は「救世軍」といって日本にも存在するそうだ。イギリスに本部を置き、現在世界126の国と地域で活動する国際的なキリスト教(プロテスタント)の団体らしい。私を始め、生徒もその組織について知らなかった。インターネットで調べてみると、日本での活動として、国内外の災害支援や募金活動、JICAとの協力事業も行っている。施設の中には教会があり、そこで話を聞くことができた。生徒たちが今日行った作業をそこで働くスタッフが週に3回行うとのことだったが、支給されるものは全て寄付金で賄われていることも知った。ローダイはそんなに大きな町ではないが、かなりの数の人がそこを訪れ、支援を受けているらしい。クリスマスには何千ものターキーを配り、住む場所がない人には避難所を提供し、収入が少ない人にも継続的に支援をする。その支援を受けるためには、当然ながら公的な手続きが必要らしいが、これらの支援を受けて社会復帰する人が多いことも分かった。私たちに説明をしてくださった方も、「実は僕も支援を受けていたんだよ。」と教えてくださり、今やこの団体のトップとして働いている。「自分の働いている会社がいつどうなったって、予期せぬことは急に起こるわけだから、もし困っている人がいれば助けるという、シンプルなことをやっているだけだ。」とおっしゃっていた。物事が上手くいかなければそれを受け入れ、前に進むしかないという考え方である。見栄も何もない、ありのままの自分で生きている感じがした。この活動をとおして、こんなにも支援ができるという感銘の一方では、支援があるからこそ社会復帰ができない人もいるのではないかという懸念など、生徒たちはいろいろな考えをめぐらせていた。日本に帰って自分以外の人のためにできる何かを考えてほしいという願いもこの活動の中には込められている。

数年前にローダイを訪れ、将来やってみたいことのヒントを得たある生徒が、現在日本で同じような活動をしていると聞いた。私たちにもできることがきっと日本のどこかにあるだろう。例えそれが大きな組織の大きなプロジェクトでなくとも、自分にできる小さなことからやっていけるといい。スタディーセンターへ帰るバスの中で、”Think globally, act locally.〜世界規模で考えて身近なところで活動する〜”この言葉を思い出し、心の洗濯をした気分になった。

 今日も快晴のローダイ。早朝から夜の9時前まで明るいので、みんな充実した毎日を送っているようだ。

 日記をのぞくと、ある生徒は毎日ホストファミリーとプールで遊んだり、ある生徒は夕食後に散歩に行ったり、たまには外食に行ったり、パーティーに連れて行かれたり…結構ハードな毎日を送っているようだ。他には、日本食を食べに連れて行ってもらい、「てりやきチキン丼を食べました。」と嬉しそうに語ってくれる生徒もいる。また、ホストマザーが作ってくれるパンケーキがおいしすぎて、レシピをもらう予定の生徒もいるようだ。和食でおもてなしをした生徒も多数いるようで、その日に起こった出来事が書き記された生徒の日記を、つい読みふけってしまう自分がいる。

 今朝は、昨日の続きであるTHANK YOU LETTERを仕上げる作業から始まった。ここで発揮されたのが、日本人の完璧主義。「ささっと終わらせてもいいのよ。」というTCの先生からのアドバイスもあったのだが、よりよいものを作ろうと努力する生徒たちを、結局はTCの先生方が見守ることに。そして、「日本人の子たちが、こうやって物事を丁寧に仕上げたがるのを分かっていたのよ。」とおっしゃっていた。また、パムとウェンディーは本当によく日本人のことを理解してくれていると思う。やっと完成したカードは、消防署、警察署、救世軍に届けら謝の気持ちを示すことは大切だからと時間をとってくださった。TCのパれるそうだ。

 さて、午後はアート教室。「午後はマッドミルに行くよ。」と言われていたが、マッドミルが何なのかさっぱり・・・。ホストファミリーに渡すプレゼント作りで、焼き物だということは分かったが・・・とにかく行ってみよう!!ローダイのダウンタウンにあるお洒落なお店で作業が始まった。10センチ×10センチほどの大きさのタイルに、好きなデザインをする。さよならパーティーの時に渡すホストファミリーへのプレゼントだ。鉛筆で下書きをし、好きな色を使って描いていく。色をつけたら、後日焼かれる予定らしい。ローダイはワインが有名ということもあり、ぶどうをデザインしていた生徒がいた。また、この間訪れたゴールデンゲートブリッジ、日本とアメリカの国旗、ホストファミリーの似顔絵、桜や富士山など、様々なアイデアが浮かんだようだ。生徒が作り上げた作品を見ながら、さよならパーティーでこれを渡すとき、一体どんな気持ちになるだろうとふと考えた。中には当然、絵を書いたり、色を塗ったりする人が好きではない生徒もいる。完成度が低いと言っている生徒もいたが、一生懸命に作ることができたのなら、それでいいとシンプルに思う。なぜならきっと、生徒たちはホストファミリーのことを考えながら作品づくりをしたはずだから。目の前ではなく、離れた場所で、受け入れてくれたホストファミリーのことを思いながら作った作品は、きっと思いが伝わるものになっていると思う。

 今日はART DAYだった。そして、みんなが楽しんでいた。生徒たちは、毎日新しいものを学んでいると思う。スタディーセンターだけでなく、その他の場所での活動から学ぶことも多い。このプランを立ててくれている、TCの先生方には本当に感謝したい。そして、残りのステイをさらに価値あるものにできるよう、子どもたちやTCの先生方と協力してやっていきたい。

 今日も朝から晴れていた。家の庭は週2回の水やりが許可されているらしく、今朝は外のスプリンクラーが涼しげに動き、乾いた芝生を潤していた。清々しい朝である。

 教室に入ると、私の机の上にはグループごとに束ねられた日記が置かれている。学習係が班員分を集めて、毎日提出することになっているのだ。また、保健係が全員元気であるかどうか、いつも報告に来ることになっている。今日も全員元気だということで一安心。

 いつものように、いつの間にか始まる授業。さよならパーティーの話題となり、自分にできることを紙に書いていった。日本舞踊やピアノ演奏、新体操など、なかなか多彩な芸にびっくり。習字や茶道なども用意できそうで、素敵なパーティになりそうな予感。ホストシスターから「Cups」を習っていた生徒2人がおり、突然コップを使ってのパフォーマンスの練習が始まった。このまま練習すれば、どうにか全員でカップスができるのではないかと目論んでいる。練習は必要になると思うが、全員で何かを成し遂げることができたら素晴らしいだろう。

 さて、授業は前置詞について学んだ。自分たちを使って、in front of やbehindなどの位置関係を表現した。今日はたくさんのチケットを手にしていた。積極的にみんなが授業に参加している証拠だ。どんな景品を当てたかは、帰国してからのお楽しみに・・・。

 午後はTokay高校の日本語の授業を見学する予定になっていた。ちょっと蒸し暑かったがスタディーセンターから20分ほど歩いて行くことに。Tokay高校は生徒3000人を抱える地元の公立校。大人数がごった返すキャンパス内で、去年は帰る途中にグループの2人を見失ったとTCの先生から聞いた。というわけで去年の教訓を活かし、授業を終えた生徒たちが教室から出てくる前に、今年は必ず帰ろうとTCの先生と打ち合わせていた。

 日本語を教える先生は、1日5時間の授業を担当しているらしい。名古屋と東京に合計で13年間住んでいたということで、とても流暢な日本語を話していた。ローダイグループの生徒たちは、アメリカの高校生にどう映っただろうか。生徒たちは、そこで日本語を学習している高校生たちが15、16歳だということに驚いていた。背の高さ、学校で身に着けているもの、授業のスタイル、日本の学校生活との違いは一目瞭然だ。また、授業の中で質問を受けるコーナーがあった。「アメリカに来て一番おいしいと思ったものは何か。」と言われ「シリアル!」と答えた生徒がいたが、その答えはうけていたようだった。IN-N-OUT BURGERのハンバーガーセットは量が多すぎると言うと、「あれはほんのちょっとだよ。」と言われたり、日本は1日7時間も授業があって帰宅するのは20時になることもあることを伝えると、「信じられない。」と言われたり、文化や習慣の違いもシェアすることができた。最後に記念写真を撮ろうということになった。ほとんどの生徒が写真を撮ってほしいということで10台以上のカメラを預かった。全員教室の後ろに並んでいざ撮影を始めると、タイミングが悪く授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。すると、撮り終わっていないことなど気にせず、一気に教室を出て行くアメリカの高校生たち・・・当然、生徒たちの口から「えー!!!」という声が飛び出した。そう、ここはアメリカ。日本人ならきっと全部のカメラで写真を撮り終わるまで待っただろう。異文化理解とはなかなか難しい。生徒から預かった2台のカメラを手にしていた私は、一度もシャッターを切ることができず、こんなことなら自分のカメラで1回でも撮っておけばよかったと後悔。しかしながら、「何か質問はありませんか。」という先生の投げかけに対して、アメリカの高校生はどんどん手を挙げる。対して日本人は・・・。「意見をもった後、行動できるかどうかが鍵」と、毎日書き綴る日記に自分が考えたことを思いのままに書いてきた中学生がいた。自分の意見をもつことは大切なこと。文化や習慣の違いを理由にせず、意見をもったり、行動を起こしたりすることについて、もっと深く考えていきたい。

 珍しくも夜中に雨がふったローダイ。雷も鳴っていた。そのため朝もなんとなくどんよりとしている。家に届いていた新聞はビニールに入っていた。雨が降る日の日本の配達方法と同じである。ただひとつ違うことは…新聞はポストに入れられず、いつも庭の地面に置かれている。

 さて、今日は1日遠足の日。砂金探しをする日となっていた。行程表に場所が記されていなかったので、生徒たちはどこに行くのか分かっていなかった。聞いてみると、ローダイから1時間ぐらいで行くことができる「ケネディー金鉱山」というところだった。朝、スタディーセンターに集まると、遠足に協力していただくホストファミリーの車に分乗し目的地へ。ちょっと早く着きすぎたということで、近くのジャクソンという町で時間を潰すことになった。11時に車へ戻って来るようにと言われ、ちょっとした自由時間を過ごしたその町は、アンティーク店が並ぶかわいらしい町だった。生徒たちは特にキャンディー店での買い物を楽しんでいたようだった。クリスマスの時期にショッピングに来ることができたらいいと思えるようなおしゃれな町だった。

 再集合した後はケネディー金鉱山へ。ここカリフォルニアはゴールドラッシュで栄えた場所。昔々、アメリカ国内外から30万人もの人が一攫千金を狙ってここを訪れたかと思うと、歴史にあまり興味がない私でもなんだかわくわくした。ケネディー金鉱山では、2つのグループに別れ、交代で砂金探しと博物館見学を行った。砂に埋もれた金を、水の中で探していく。砂金を探す専用の皿を使って、砂を落としながら金を探していった。金は砂よりも重いので、皿の一番下で見つかるらしい。キラーン!!発見すると次々にもっともっと探したがる生徒たち。同じようにもっともっとと探したくなる気持ちが、160年前の人たちにもあったのだろう。坑夫たちがどのようにして働いていたのかを案内役のリンダさんが教えてくれた。先ず、電気はなかったので、ろうそくの光で石を採取していたこと。湿度100%の中で働いていたこと。岩から石へ、石から砂へと砕いていき、大きな岩からほんの少しだけ金を取ることができたことなど、とても興味深いものであった。金のレプリカを見せてもらったが、豆腐2丁分ぐらいの大きさで相当な重さ。本物は、同じ大きさで2倍の重さがあるというから驚いた。豆腐2丁の大きさの金で2億円。200万円だと思ったが、200万「ドル」だと言っていたので、ゼロ2つを付け忘れてしまっていた。どうも数学に弱い私…ガロンやマイル、フィートにも未だ慣れないでいる。それはそうと、見つけた砂金は小さな瓶に入れて持って帰ることができたので、日本に帰ってからも大切にしてほしい。ランチの前に、実際に石を取るために地下に降りていた場所を見学したり、レールの上に置かれた箱いっぱいの石を押してみたりと体験も楽しんだ。金鉱を後にした私たちは、シャタークリークという小さな町を訪れた。ここもアンティーク店が軒を連ねる町。何てかわいらしいお店だろう。遠足で疲れていた生徒たちは、お茶をしながらゆったりとした午後の時間を過ごしていたようだった。

 ローダイに帰ってからは、スパゲティーディナー。行程表には書かれていなかったが、ローダイ湖にて、ホストファミリーとのパーティーが再び行われた。この日は、生徒が日本から持って来たガレージセールの品がテーブルに並び、ホストファミリーから寄付していただくことになった。また、生徒がスパゲティーでおもてなしもした。楽しい1週間の締めくくりだ。生徒のホストファミリーに会い、生徒たちがとてもよく接してもらっていることを嬉しく感じた。

 行程表に書いていないこともいろいろと起こり、なかなかおもしろい日々を送っている。私がTCの先生方に聞いて予定を伝えることもできるが、聞きたいことがあるのなら、生徒たち自身で聞くこともしていってほしい。私もちょっとしたミステリーツアーに参加しているような気分を楽しんでいる。あれもこれもときっちりやることもいいが、アメリカンライフに身を任せて、自由にやっていくのも悪くはない。明日からはまた週末。アメリカでの生活も残り12日である。

 爽やかな風が吹くローダイの朝。ホームステイも2週間目を迎えた。最近、生徒の口からは「帰りたくない!」「ずっとここにいたい!」など、前向きな言葉を聞くことができる。2週間もするとアメリカでの生活に馴染んできているのだろう。買い物もスムーズにできるようになり、なんて生徒たちの力は無限なのだろうと感心させられる今日この頃である。

 さて、今日は朝から遠足の日。カリフォルニアの州都であるサクラメントを訪れることになっていた。木曜日から、または金曜日から、週末をホストファミリーと過ごした生徒もおり、久々に24人が集結することになった。全員元気な様子に私自身も満足。久々に顔を合わせた生徒たちは、週末に行ったプール、教会、遊園地、ヨセミテ国立公園などの話で盛り上がっていたようだった。中には日本食を振る舞った生徒もいたようで、そうめんがうけただとか、おにぎりを作りすぎただとか、懸命に日本の食文化を紹介しているようだった。

 さて、サクラメントまではバスに乗って1時間ほどで到着。先ずはカリフォルニアの州議事堂に案内された。建物内に入るためには、セキュリティーチェックをクリアしなければならず、荷物はバスに置いたままカメラだけを手に入ることになった。1982年にカリフォルニアの豊かな歴史を保存し、地震から守るために完全補修されたこの州議事堂の特徴は、近代技術を用いて過去を再現した素晴らしい建物だと言われている。庁舎内にはカリフォルニア州議会の上下両院の議場の他、州知事室が置かれているらしい。アーノルドシュワルツネッガーがカリフォルニア州知事として、以前ここで働いていたことが分かると、必死にその絵をカメラに収めようとする生徒たちがいた。他にもカリフォルニアはアメリカ合衆国31番目の州として知られているため、外にあるモニュメントにも星が31個描かれていることなどを知った。また、議会の傍聴席に座り中の様子を見学することもでき、とても充実した時間を過ごすことができた。

 さぁ午後からは、ゴールドラッシュの賑わいの面影を残す町、オールドサクラメントでの自由行動。最後のショッピングになるかもしれないと、生徒たちは必死に買い物をしていた。今まで大切に使わなかったお金を、今日はどんと使おうと大船に乗った気分の生徒も!!途中、「先生、飴がどんどん安くなります。」と言っている生徒がいた。サンフランシスコでは2ドルだった飴が、99セントになって、75セントになったとか。買い物をしていく中で、「先生、おつりが適当に多くきます。確認したけどそれでよかったみたいなんですが…。」と言っていた生徒もいた。アメリカに到着した日、ハンバーガー屋でどぎまぎしながら注文していた生徒たちは一体どこへ行ってしまったのか…と思えるほどの余裕ぶりである。南日本カルチャーセンターの方々にも協力していただき、最後に再び集合写真を撮ることになった。写真を撮り終わると、スタッフの方々に今自分がどういう状況なのか語って聞かせる生徒がいたり、他のグループの友だちに再開してハグをする生徒がいたりと、微笑ましい光景を目にすることができた1日であった。

 何より嬉しかったのは、「ローダイは本当にいいグループだと噂です!!」とカルチャーセンターの方々に言っていただき、生徒たちが満面の笑みを浮かべていたことである。まさしくその通りで、自分の思うようにいかなかった1週目に比べ、2週目は自分で挑戦すること、仲間と協力することを知り、直面している問題に必死で向き合っていた。また、自らたくさん単語を覚えようとしたり、これはどう伝えればよいのかと私に聞きに来たり、できるだけ日本語を使わないよう努力するなど、自分で考えて行動しているのがよく分かるグループであると思う。残された時間はきっとすぐに過ぎて行く。アメリカを離れる時の生徒たちを想像すると切なくなるが、だからこそ限られた時間を大切にしていきたいと思う。

 涼しい風が吹くローダイの朝は、昼間の暑さが想像できないほどすっきりしている。日中も汗ばみはするものの、汗が流れ落ちるほどの湿度はない。カリフォルニアの乾燥した気候に慣れてきているため、日本に帰ったら自分だけ汗だくになるのではないかと心配する生徒もいるほどだ。

 今日の午前中は、スタディーセンターでの勉強。午後は動物園に行くことになっていた。午前中の授業では、日本の英語の授業では習わないフレーズを習うことができた。例えば、”I want to 〜”の表現でいくと、アメリカ人は”I wanna 〜”と言って表現する。最近の会話の中で、ある生徒が「アイワナ(I wanna〜)とか、アイムガナ(I’m gonna〜)とかホストファミリーが言います。先生、日本で勉強している英語って全然違う気がします!!」と言っていたので、TCの先生方にお願いして、普段実際に使う表現を教えていただくことにした。英語を教える身である私自身も知らない表現(Beats me! Da bomb.など)があり、とても興味深いものであった。

 お昼前に、スタディーセンターから動物園へ移動開始。最初に動物園の側の公園でランチタイム。その後は、メキシコ・中南米発祥のピニャータ(pinata)割りを体験することに。これは普段、誕生日のお祝いによく用いられるらしいが、ローダイグループは残念ながら、ステイ中に誕生日を迎える生徒がいない。しかし、人気のお祝いの仕方を体験しようということで、紹介してもらうことになっていた。ピニャータは割れやすいように紙などで作られ、色とりどりの装飾が施される。目隠しをした人が棒を使ってその人形を叩き割り、中から出てくるお菓子を拾って遊ぶのだそう。日本でいうと、スイカ割りに近い感覚だろううか。今回は、キティーちゃんが木に吊るされていた。可愛らしい人形を棒で叩くとはちょっと心苦しいようだった。数人がピニャータ割りを体験し、中からお菓子が出てくると、紙袋を持った生徒たちが一気に拾いに出た。これはまるで餅まき(宮崎では「せんぐまき」と言う)のお菓子を必死でかき集める子どものようだった。

 生徒たちが童心に返っていたのはこの時ばかりではなかった。動物園に行くと聞いていた生徒たちだったが、実際は小さな遊園地だった。動物もどこかにいるはずだが、今日は動物を見ないらしい。動物好きの生徒たちが楽しみにしていたので、ちょっと残念そうだったが気を取り直して遊具で遊ぶことに。ちっぽけに見えた遊園地だったが、園長さんの計らいで1つのアトラクションを特別に1ドルで乗せてもらえることになり、生徒たちは思いきり楽しんでいたようだった。これだけ?と思うようなジェットコースターも、色々な意味で絶叫マシーンだった様子。その後は、ミニゴルフを体験した生徒たちがいた。ゴルフコースからボールがはみ出ても、ルールを無視して自由にプレーしたので、やっていた人も見ていた人も楽しんでいた。最後に、みんなでミニ機関車に乗せてもらった。ちょうど24人乗りだったので、ローダイグループのメンバー全員が機関車に乗り込み遊園地の外を一周した。幼稚園生が乗って喜びそうな遊具だったので、特に高校生は恥ずかしそうだったが、開園時からずっと使われてきた機関車だということもあり、意外と楽しんでいた様子だった。今日の生徒たちも「こんな夢のような生活が一生続けばいいのに・・・」と言わんばかりの顔だった。

 ホームステイは残り1週間。ホストファミリーと過ごせる週末は残り1回。今週はきっと時間の流れが早く感じることだろう。こちらでの生活にちょっとだけ余裕を見せてきた生徒たち。こういう時こそ、ホストファミリーと過ごす時間を大切にしたり、気を緩めず自分の行動に責任をもって行動したりするようアドバイスした。できれば時の流れを止めてしまいたい。終わりが近づいていることは、今日は言わないでおこう。

  どうしてこんなにすっきりしているのだろう。毎朝ローダイの空を見上げると、今日はどんなことが起こるのだろうと心が躍る。数日前、「先生、ここの空は日本とつながっているんですよ!」と言っていた生徒がいた。知っていることでも、普段の生活から離れ、改めて聞くと納得させられる。そう、この空はずっとずっと遠く離れた日本とつながっている。

 今日は小学校訪問の日。午前中はスタディーセンターでの学習だった。今日は気持ちを表現することに挑戦した。おそらく日本人の一番の苦手分野だろう。嬉しい時には嬉しい顔を、悲しい時には悲しい顔を・・・と言われたものの、アメリカですれ違う人がいつも笑顔をくれる。また、いつカメラを向けても素敵な笑顔をくれる。イライラしたり、怒ったりしている人にあまり会わない。知らない人に丁寧に挨拶ができる日本の習慣はあっても、見ず知らずの人に笑顔をプレゼントする習慣は日本人にはあまり定着していない。生徒が書く日記の内容から、自分たちにはないものを見つけ、それを比較し、足りないところを補おうとする姿がうかがえる。授業の中では、ペアになって短い会話の練習をしたり、嬉しさや悲しさの表現を思いっきりやったりと、自分の殻を破って挑戦する生徒たちの姿があった。

 午後の小学校訪問は、3つのグループに別れ、各教室で折り紙、漢字の紹介などを行った。アメリカでは折り紙が高価であるとのこと。生徒たちは100円で買った千代紙をたくさん持ってきていた。日本特有の柄がプリントされた和紙が人気となり、折ってみせるのに大忙しだった。予め、スタディーセンターで折り紙を折って準備した上で訪問したが、実際に折らせることに苦戦していた。「先生、助けてください!!」と生徒からヘルプサインが出たものの、私も3つの教室をまたいで挨拶をし、写真を撮り…とバタバタしていたので、じっくりと生徒のサポートができなかった。一方で、困りはするものの、生徒たちは実際にどうにかやっていけることも私は知っている。小学生と触れ合うために、自分の名刺を持ってきて渡している生徒がいた。出発前のオリエンテーションでアドバイスいただいたことを参考に、名刺には名前やメールアドレス、中には顔写真をつけている子たちがいる。また、特別に小さなジップロックに名刺と10円ガムを入れて配るという粋な行動!!素晴らしいコミュニケーションの輪が広がっていた。名刺を50枚用意し、これをステイ中に全て配り終えることを目標にしている生徒もいる。交流が終わった後、迎えが来るまでの時間を学校の隅にある木陰で過ごした生徒たちは、自分たちで撮った写真を見て「本当にかわいい」「楽しかった」「もっといたかった」と小学生との時間を振り返っていた。小学校の先生方は、生徒たちがすごく丁寧に教えてくれたと喜んでくださっていた。また、日本人の中高生がこんなに遠く離れた国にやって来て、ホームステイをするなんて、本当に素晴らしいと言ってくださっていた。他の国の文化を学ぶ機会を設けてもらって素敵な午後だったという言葉もいただき、快く迎えてくださったことに心から感謝した。

 ある生徒が「先生、なんでこんなにアメリカの人たちはハッピーなんですか。」と聞いてきた。素敵な言葉を言ってみたり、素敵な笑顔をくれたり・・・日本人であることに誇りをもつとともに、いいと思ったことは実際に真似していけるといい。今日の名言。「アメリカ人は人を喜ばせる天才である!」笑顔は最高のプレゼント。今日のローダイグループの生徒にも、たくさんの笑顔があふれていた。

  アメリカ生活も最後の週に突入。朝の時間をのんびりと過ごしたいところだが、生徒たちは朝8時までにスタディーセンターに来ることになっているため、わりと早起きをしているようである。今日も快晴のローダイ。朝日が眩しい。

 今日の日記は、昨日の小学校訪問の話題で持ちきりだった。「小学生がかわいかった。」という意見多数!!中には、かわいらしいキャリーバッグを持って下校していたので驚いたという感想や、「また会える?」と聞かれて答えに困ったというコメントが書かれていた。「一番の感動は、最後にハグをしてくれたこと!」と書いていた生徒がいた。最高のコミュニケーションを体験し、感動していたようだった。

 さて、今日のスタディーセンターでの学習は、スキット発表。ニュースキャスターになったつもりで、自分の担当するセリフをみんなの前で発表するという学習だ。スタディーセンターで配られているワークブックを見ていたある高校生が「このワーク、本当に使える!!」と言い、日本に帰国してからもこれを見て学習すると言っていた。そういう意欲的な意見を聞くと嬉しい。さて、発表はというと・・・聞こうと努力をしなければ声が通らない生徒はいなかった。とにかく、みんな一生懸命に英語を使おうと努力していた。TCの先生と話す中で、声のトーンやアイコンタクト、ハンドジェスチャーは特に表現を助けるので、気持ちを伝える方法のひとつとして考え、英語を話す時には積極的に使うべきだという話になった。つい完璧な英語を話そうとしてしまうが・・・ホストファミリーと過ごす時間も、伝えたいことがある場合は、単語でいいので何か言ってくれると助かるようだ。間違いを恐れず、残りの時間はできるだけ英語を使っていきたい。もう随分リスニングの力はついてきたはずだ。最後にスピーキングの力を少しでも伸ばしていってほしい。

 さて、午後はスポーツデイ!!昼ご飯の前にスポーツセンターに移動し、ランチは木陰で取ることに。昼ご飯は自分で作ってくる生徒が多いようだ。一番人気は、ハム&チーズサンドウィッチ。野菜を入れたいが野菜がない…と言っている生徒がいる。私も同感である。しかしながら、それでもランチは楽しむことができている。限られた環境の中でも、どうにか物事を解決しようとしたり、プラスに考えようとしたりする力は、どうやらきちんと身についているらしい。ランチの後は早速スポーツをすることに。テニス、バスケットボール、バレーボール、卓球、水泳などを楽しんでいた生徒たち。遊んではお菓子を食べ、食べては遊び、夢のような時間を過ごしていた。また、ホームステイ期間中は、部活動を休んでいる生徒も多いため、体がなまっていると言っていたので、今日は日頃の運動不足を解消できたのではないだろうか。日頃、汗をかかないローダイで、みんな爽やかな汗をかいていた。スポーツの合間に、日本から持ってきた宿題に取り組む生徒もおり、休憩も挟みながらリラックスした時間を過ごしていた。

 今日は気持ちのよい風が吹いていたローダイ。いよいよ明日は金曜日。今週最後の学校の日だ。生徒たちは、終わりが近づいていることに薄々気づいてきている様子。木陰でぼーっとしては「そろそろ現実に引き戻される・・・」と口々に語り、その恐怖も感じているようだ。現実に引き戻される心配はしばらく保留にして、英語にどっぷりと浸かった生活をもうしばらく味わい、また楽しんでもらいたい。

 今週もラスト1日!!空を見上げると今日も爽やかである。暑いけれども汗をかかないすっきりとした夏は、そろそろ終わりを迎える。生徒たちが第1週目に感じていた、出口の見えない長いトンネルの中に入ったような気分とは打って変わり、今はトンネルの出口が見え出したことで名残惜しささえも感じる。カリフォルニアの太陽は、いつ見ても眩しい。

 今日の午前中は、保育園児との交流をすることになっていた。世界中どこにいても、やっぱり子どもはかわいい。教室の中では、人形遊び、折り紙、新聞を使ってのかぶと作り、塗り絵、ブロックなど、子どもたちと一緒に無邪気に遊んだ。外に出ると、ボールやフラフープを使った遊びが人気だった。中にはずっと子どもたちに追いかけられて汗だくになっている生徒や、地面に倒れ込むまで一緒になって遊ぶ生徒もいた。スタディーセンターの1階が保育園となっているため、これまでにたくさんの子どもたちを見てきたが、保育園の中でどのように過ごしているかは知らなかったので、よい体験をさせてもらった。また、この日の夕方、帰り際に小さな手で大事そうに折り紙を持って帰る園児を見かけた時には、心がほっこりした。

 午後はスタディーセンターでの授業だった。これまで一度も午後に学習したことがなかたので、少し疲れ気味だったようだ。今日はオリジナルのスキット発表を行った。来週は、さよならパーティーの準備をするので、実質これが最後の授業。TCの先生がつい「これが最後の授業になるなんて、とっても悲しい・・・」と言って涙する場面があり、生徒たちも「やばい。こういうの無理。」と言って必死に涙をこらえていた。私は普段あまり泣かない方だが、感情を思いっきり出して、明るく生きるアメリカ人の生活に馴染んできたのか、涙腺が一気に緩んでしまった。何日も前から涙するなんて、さよならパーティー当日は一体どうなるのだろうと不安がよぎる。スキット発表が終わると、ホストファミリーへの手紙書きに入った。書きながら、これまでのことを振り返り、泣いてしまう生徒もいたほど、生徒たちの中にはこれまでの感謝の気持ちが膨らんでいる。手紙の添削をしてほしいと、TCの先生と私のところに下書きを持って来た生徒たちだったが、私は必要最小限だけ添削をして返した。むしろ、添削しなくてもいいと思ったぐらいだ。なぜなら、これまで生徒たちはありのままの自分を受け入れてもらっていたと思う。英語が完璧にできる日本人としてではなく、英語を使って一生懸命にコミュニケーションをしようとする日本人として、そのままの姿で受け入れてもらっていた。文法がきれいに整った手紙を渡そうとせず、自分が伝えようとする気持ちが伝えればそれでよいと思うからだ。伝えたい気持ちがあれば、きっと伝わると思う。このことについてTCの先生と話をしたが、私たちは全く同じ意見をもっていたことに気づき、とても嬉しく思った。

 いよいよ、最後の週末が来る。生徒たちはホストファミリーとどんな時間を過ごすのだろう。どこかに連れて行っていただくことも大切だが、とにかく英語のシャワーをたくさん浴びて欲しい。そして、自分はアメリカでこんなに素晴らしい出会いがあったとか、こんなに頑張ったとか、こんなに視野を広げることができたと感じ、胸を張って帰国させたい。ローダイで出会った人たちにさよならを言うのはもちろん寂しいが、この24人の生徒たちと日本で別れるのもなんだか辛くなりそうな予感だ。

 少し動けば汗をかく週末だった。乾燥しているため、汗ばんだ肌も熱風の中で自然と乾いていく。ホストファミリーと最後の週末を過ごした私たちに残されたアメリカでの生活は残り2日。今朝のローダイはすっきりしていなかった。まるで帰国を目前にした生徒たちの心を映しているかのようである。

 いつものようにスタディーセンターで生徒たちを待った。今日も全員出席。これまで大きく体調を崩すことなく、ホストファミリーと旅行に行って学校に来なかった生徒がいた日以外は、全員元気に登校していた。朝の健康観察でも、毎日みんなが元気に過ごしていることを確認することができている。

 さて、今日はホストファミリーへの手紙を仕上げる日。午前中は感謝の気持ちを込めて、生徒たちは一生懸命カード作りに励んでいた。私はカード作りを少しだけ手伝いながら、週末3日間の生徒たちが書いた日記を読むのに大忙しで、作業風景の写真を撮るのをつい忘れてしまうほどであった。TCの先生方にも手紙を書こうということで、慣れない英作文に時間を要した生徒がほとんどだったが、どうにか明日までに全員分が仕上がるといい。

 午後からは下の教会に移動して、さよならパーティーの打ち合わせを行った。誰が何をするのかということで話し合いをしたが、予め日本で考えてきていたこともあり、わりとスムーズに決まっていった。このさよならパーティーに何らかの形で参加しようと、生徒一人ひとりが考え動く姿は、またまたTCの先生を感動させたようである。また完璧を求めずに、とにかく楽しませようと努力することが大切ということで、TCの先生方は私にも「プレッシャーを感じないで。とにかく大丈夫だから。」と声をかけてくださっていた。こういう言葉かけは、私の心をほっとさせる。私は、このステイ中にTCの先生方にいろいろと教わることがあった。「・・・でなければならない。」とつい思ってしまう私の性格は、生きていく上で時に自分を苦しめることがある。しかし、かけてもらう言葉ひとつで物事に向かう心は、全然違うものになるということを知った。また、英語を教える身として、物事は楽しんで学ぶべきであるということも改めて感じた。TCの先生方が生徒たちを楽しませる姿を見て、自分も日本でこうありたいと思った。きっと生徒たちもTCの先生方から、ホストファミリーからたくさん学んだことがあっただろう。私もまだまだ学んだことはあるが、話が脱線してきたところで、軌道修正しよう。さよならパーティーには、ホストファミリーが来てくださるので、感謝の気持ちを表現したい。出し物としては、ピアノ演奏、新体操、ラジオ体操、カップス、駒まわし、日本舞踊などが予定されている。また、見せるものがない生徒も、折り紙や書道を準備したり、プログラム作成をしたりと役割分担をして参加する。きっと素敵な時間になるだろう。

 さぁ、スタディーセンターで生徒たちが過ごす時間もあと1日。明日はどんな顔で登校してくるだろう。そしてさよならパーティーの後、どんな顔でそれぞれの家へ帰っていくのだろう。ここでの生活は、あっという間だった。奇跡的な組み合わせで、このアメリカ・ローダイで出会った私たちは、経験という人生の財産を手に入れたに違いない。さよならパーティーが素敵な時間となるよう祈り、明日を迎えることにしたい。

 朝から晴れているローダイ。すっきりとした気持ちのよい朝である。この朝日を見ることもなくなると思うと、悲しくなってしまった。いや、「気持ちを切り替えて楽しもう!!」そう思ってスタディーセンターへ向かった。

 今日も全員元気に出席している。提出された日記に目を通すのもこれが最後。この3週間、24人分の日記を楽しんで読ませてもらった。返信はちょっと雑だったかもしれないが、生徒たちが物事をどのように受け止め、それをどう思うか、もしくは直面した問題にどう対処するのか、したのかを知ることができ、テレビを見るより何倍も楽しかった。それぞれのアメリカンドラマが毎日繰り広げられる様子を読んで、コメントを書くことは私にとっても大変勉強になったのである。今日は最後の日記ということもあり、感謝の言葉を書いてくれていた生徒もいたことと、さよならパーティーの練習でピアノを弾いていた生徒が奏でる音楽が私の心に上手く入り込んで来たことで、心の奥深い部分から込み上げるものがあった。

 ホストファミリーへの手紙もどうにか仕上がり、パーティーの準備もなんとか仕上がりそう。練習の合間でランチブレイクとなったが、今日は「ピザランチ」の日!!!TCの先生方のおもてなしを受け、外で食べることになっていた。みんな、おなかを空かせていたようで、おいしそうにピザを頬張っていた。アメリカに来てよく生徒たちが食べていたものと言えば、ハンバーガーはもちろんのことホットドッグ、タコス、ブリトー、ピザ、ピザ、ピザ…(笑)といったところだろうか。中には巨大アイスクリームや巨大ハンバーガーにチャレンジした生徒もいたようである。今日のデザートはカップケーキ。一口で食べる生徒もいたほど大人気だった。

 さて、午後はリハーサルを行った。リハーサルであるにも関わらず既に涙が・・・ティッシュが大活躍した午後となった。リハーサルを終えた生徒たちは一度家に帰宅。18時30分に再びスタディーセンターに集まり、さよならパーティーが開始された。それぞれのパフォーマンスが始まると、会場は教会ということもあり、終始和やかな雰囲気に包まれていた。日本舞踊、ピアノ演奏(ソロ、連弾)、ラジオ体操、新体操、駒回し、カップソング、マジック、歌(You are my sunshine)を用意することができた。また、書道や折り紙、茶道も披露し、24名一人ひとりが何かをしようと一生懸命に動いた。同時に、特技をもつことは素晴らしいと感じた瞬間でもあった。ホストファミリーは生徒が舞台に立つと、必死になって写真を撮ったり、ビデオを撮ったりと大忙しのようであった。涙あり笑いありのさよならパーティーはあっという間に終わってしまった。片付けを終え、スタディーセンターから出ると、夕焼けでオレンジ色に染まる空にとても長いひこうき雲を見つけることができた。あまりにも長すぎで、海のむこうまでつながってしまっているのではないかと思うほど。明日、ここローダイを離れるのだと確信した瞬間でもあった。

 今頃、生徒たちは家で必死になってパッキングをしているころだろうか。又は、最後のご飯を楽しんでいることだろうか。涙は果てしなく枯れないようである。日記の中には、ホストファミリーと別れることは寂しいが、日本の家族にも会いたいと書いている生徒がいる。きっと空港で日本の家族に会う頃には、成長した姿を見せることができるだろう。今日は眠れない生徒たちがいるかもしれない。スーツケースのパッキングと共に、心の整理もしよう。明朝、ホストファミリーに見送られ、24人はサンフランシスコ空港へと向かう。

 ローダイを出発する朝が来た。子どもたちの心を映し出しているのか、今日の空はどんよりとしている。6時30分にバスが出発することになっていたので、早朝からスタディーセンターには見送りのため、多くの人が集まっていた。

 生徒たちはスーツケースを積み込み、バスの近くでホストファミリーと最後の時間を過ごしていた。何度もハグをし、Thank you.もたくさん言ったのだろう…もう話すこともないようなのだが、直前までバスには乗らず、ホストファミリーの隣で出発の時間を待っていた生徒が大勢いた。このまま時間が止まってしまえばいいのにと言わんばかりの顔であった。何度もこぼれる大粒の涙には3週間の感謝が込められ、ここで過ごした貴重な時間を表現するかのようにきらきらと輝いていた。バスの中から見るホストファミリーも本当に寂しそうだった。3週間前に別れる日が来るというのは分かっていたが、こんなにも別れが辛いとは…。会うは別れの始めと言うが、私はみんなが生きている限り、きっとまた会えると信じている。

 サンフランシスコ空港へ向かうバスの中は静かだった。空港が近づくと、バスの中ではTCのパムが「どんな困難に遭遇しても、希望を捨てずに頑張ってほしい。」と生徒へ語りかけた。パムは毎日忙しいそうにしていたが、入院しているお父様の体調が悪いとのことだった。生徒たちにはそのことは知らされていなかった。そのような状況の中、毎日笑顔で過ごす姿は尊敬に値した。

 空港に到着すると、混雑していたためにバスの駐車が難しく、急いで荷物を降ろしチェックインカウンターの近くへと進んだ。TCの先生方とお別れする時間もなく悲しかった。できればハグをしたかったと言っていた生徒たちが多かった。悲しむ間もなく始まったチェックイン。無事に全員のスーツケースを預け終わり、イミグレーションへと向かった。今回は、靴まで脱ぐというセキュリティーチェックの徹底ぶり。荷物の再検査を要求された生徒もいたが、どうにか無事にクリア。あっという間に、アメリカを離れる時間となった。飛行機の窓から見える景色を眺めながら、3週間を振り返った。飛行機の中では、ホームステイを振り返る作文を書く生徒や、現実に戻り学校の課題に取り組む生徒もいた。帰りのフライト時間は行きと比べると短く感じた。成田に着くと湿気のある暑さを感じ、日本に帰って来たことを実感した。すぐに羽田へ向かうリムジンバスへ乗り込み、羽田空港へ。再びチェックインを済ませると、更なる別れが待っていた。熊本や鹿児島へ帰省する生徒たちと別れなければならなかった。「また絶対に会おう。」と約束して別れた。出発までに少し時間があったので、久々に日本食を食べたり、お土産を買ったりしながら宮崎行きの飛行機を待った。いよいよホームステイプログラムの全てが終わろうとしている。

 思い返せば、「自分は行きたくなかったのに家族に勧められて来た。」「英語は嫌いです。」など、マイナスな言葉と共にこのプログラムに参加している生徒がいた。また、特に1週目は「早く日本に帰りたいです。」と言っている生徒も数名いた。しかし、最後はどうだろう。マイナスの言葉は全てプラスに変わっている。本当の楽しみを味わうためには、その外側にあるちょっとした苦難を乗り越えなければならない。ローダイグループの24人は、全てこの苦難を乗り越えたと言える。その結果、満足して帰国することができた。英語はただの言葉ではなく、コミュニケーションのツールである。私が最初に生徒たちに送った言葉“Try not to be a great English speaker, but try hard to be a great communicator!!”を今、生徒たちはどのように受け止めているだろう。今回、24名の素晴らしい生徒たちとの出会いがあり、ローダイでもたくさんの素敵な出会いがあった。生徒として参加するホームステイとはまた一味違い、引率として参加させていただいたことで見えてくるものもたくさんあった。2015年、ローダイで過ごした夏を私は一生忘れないだろう。

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