2007年アカデミックホームステイ活動の様子

2007年アカデミックホームステイ
Sonora,  PAレポート

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引率の先生からのレポートです。

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7月26日(木)
鹿児島空港で予定時刻を過ぎても出発しない飛行機の中から送迎デッキでじっと見送っている人だかりを見つけた。この旅の安全と研修員の成長を願って見つめる家族の温かい想いが伝わってきた。夜中にようやく成田のホテルで12名がそろい,翌朝全員が朝食をとった。最後の研修,ケーススタディを済ませていよいよ私たちはサン・フランシスコ空港へ向かった。機内では,乗り物酔いや緊張のために寝つけない研修員がいたが,薬を服用したり,水分や食事,睡眠をとったりして無事にフライトを終えることができた。入国審査では,初めて現地の人と言葉を交わす場面だったため緊張していたが,手続きを終えると,少し自慢げにお互いが何を尋ねられ何と答えたのかを報告しあっていた。ここで20名以上のロス・バノスグループと別れ,現地で研修員が最もお世話になるTCのグレイ先生の出迎えを受けた。大きな声で冗談好きで恰幅の良いグレイ先生は,以前にもTCを引き受けたことがあり,日本やこのプログラムのことを熟知しており,頼もしい存在である。貸切りバスでソノラへ向かう途中,トレイシーという町に立ち寄り,グレイ先生お勧めの「イン・アンド・アウト」というファーストフード店で初めての買いものを体験した。日本にあるファーストフード店と売っている物もシステムもほとんど変わらないが,ゆっくりと時間をかけて品定めをし,米ドル紙幣を握りしめてゆっくりと対話を交わし,ハンバーガーやジュース,ポテトをようやく手に入れた。店員も店内にいる現地の人々もグレイ先生が事情を話してくれたお陰で長蛇の列ができても私たちのスローな買い物を気長に待ってくれた。感謝である。16時,ようやくホストファミリーの待つスタディセンターに到着した。研修員たちにとって鹿児島を出発してからどれほどこの瞬間を待ちこがれただろうか?対面式とそれぞれのホストファミリーとの写真撮影を終え,研修員たちは少し緊張気味の笑顔でホストファミリーと帰っていった。明日,一人ひとりの日記を読むのが楽しみである。
 
7月27日(金)
9時,全員がスタディーセンターに元気に集まった。最も心配していた時差ボケも大丈夫だったようだ。グレイ先生は小さな声になりがちなみんなを笑わせながら簡単な英語の歌を歌わせたり,英語のフレーズを何度も繰り返させた。また,日課として一人ひとりに簡単な英語で短い日記を書かせた。やはり3名の高校生は残りの中学生に比べると語彙力が豊富で英文を書き慣れている。しかし,中学1年の研修生も辞書を片手に熱心に挑戦していた。12時,ホストファミリーが準備してくれた昼食を食べながら昨夜の出来事を日本語でお互いに報告しあっていた。例えば,ホストファミリーにバスの使い方を説明してもらったが,カランからシャワーへの切り替え方が分からず,低い位置にある蛇口から出てくるお湯で髪を洗った研修員がいたようだ。これもホームステイ初日ならではの楽しい思い出の一つになるだろう。13時,郵便局で切手を買うことができた。これで日本へ手紙を送ることができるはずだ。14時,霧島市とソノラ市の姉妹都市調印式に参列した。幸運なことに前田市長の通訳が日本語に同時通訳してくださり,これまでの両市の歴史や今後の交流案等も知ることができた。また,霧島市交流生として参加している冨永彬佳さんは,グループを代表して英語で素晴らしいスピーチを披露した。15時過ぎ,ソノラの歴史ある新聞社を訪問する機会をいただいた。18時過ぎ,料理を持ち寄って公園で歓迎パーティーが催され,みんなでおいしい食事を楽しんだ。また,ホストブラザーやホストシスターも交えてゲームを楽しんだ。例えば,輪になってビーチボールでバレーをしたり,丸い小さなコットンをスプーンに乗せて速く戻って来る競争をした り,グループ対抗でぶかぶかのさまざまな格好の服を素早く身につけて脱いで戻って来るリレーをしたりした。パーティーの最後に,研修員全員で日本語の「桜」と英語の「幸せなら手をたたこう」を歌ったが, 歌詞があやふやな所があり,ごまかしながら歌ってしまった。さよならパーティーには歌えるように練習しておきたい。しかし,自己紹介スピーチではジェスチャー等を交えて大爆笑を誘うものもあり,拍手喝采だった。二日目にして本領を発揮し始めた研修員たちの初めての週末の報告が楽しみである。

 

生徒の日記より

  今日はホストファミリーと会い、ホームステイの第1日目と、わくわくしていました。しかし、ホストファミリーとの出会いまでは長く険しい道がありました。一つ目は、時間。3時間以上もバスにゆられよわないようにすること。二つ目は、すいま。眠れなかった人はもちろんのこと、眠った人もみんながすいまにおそわれました。ホストファミリーに会いたいという気持ちよりも眠りたいというのが一番の願望だったはずですが、ホストファミリーとであった瞬間、みんなはスリーピーというよりも頭の中はハッピーになっていました。これから約1ヵ月、ファミリーの一員として頑張りたいです。

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  今日からホームステイがスタート!!家族とも積極的に話せてよかった。でも一つだけ悪かったと思ったところは、荷物を整理していたので、ほとんど部屋に閉じこもりだった。明日からはもっとホストファミリーと交流したい。夜になってTシャツを少ししか持ってきていなかったので、「洗濯をしてもいいか?」と聞いたが、言葉が通じず、最後はほとんどジェスチャーだった。部屋に戻ってから言葉が通じないことで少し悲しくなりました。これってホームシックにかかっていることですか????

(先生のコメント)初日は荷物整理に時間がかかってしまうよね。明日からは週末。きっといろいろなkとをしているうちに自然とコミュニケーションをしているよ。わかってもらいたいことが通じないと誰でも悲しい。でもホームシックというよりもそのことがショックだったってことじゃないかな?I want to wash my clothes!! 

 
 
7月30日(月)

 研修員たちはスタディーセンターに来るなり週末の出来事を楽しそうに報告しあっていた。例えば,湖でレジャーを楽しんだり,買い物や祭りへ出かけたり,DVDで最新の映画を見たり,洗濯やお手伝いをしたり,昼寝したりと,各家庭それぞれに過ごしたようだ。授業では,テキストを用いたり,万が一迷子になったときの助けの求め方を実践練習したりした。日記は「歓迎パーティー」「週末」についてそれぞれ3文以上で書くように指示された。友達やPAに英訳を頼らずに自分たちで英作文に取り組み始めた。素晴らしいことだ。各ホームステイ先で過ごす時のルール,アメリカのお金,ホストペアレンツの祖先の国旗を調べてくる宿題が出された。ホストファミリーとの会話を楽しみながら学習できるはずだ。午後からソノラ高校のプールへ行き,同行したホストファミリーと一緒に泳いだり,飛び込んだりして楽しく過ごした。

 
7月31日(火)
 グレイ先生は楽しく英語を学ぶためにギターを演奏しながら英語の歌を歌わせてくれる。今回は,3曲練習した。授業では,昨夜,ホストファミリーと協力して完成させた宿題を確認した。また,サン・フランシスコ研修に備えて買い物の時の会話を練習した。日記は「なぜアメリカに来たのか?」というテーマだった。英語で表現するのはとても大変だが,20分間,みんな黙々と課題に取り組んでいた。今日と明日,Shioriがホストファミリーと一緒に湖にキャンプのため授業を欠席する。残念なことに,Shioriは午後のボウリングを一番楽しみにしていたのだ。研修生のほとんどがあまりボウリングの経験が無かったので3レーンのうち2レーンをガター無しにしてもらい,3チームに分かれて2ゲームした。Rikiは普通レーンで10投目にターキー(3回連続ストライク)を決めた! どのチームもボウリングをとても楽しんでいた。
 

8月01日(水)

'If you're happy' 'This land is your land'この2曲をさよならパーティーで披露できるように練習している。メロディーは覚えやすいがなかなか英語の歌詞をスムーズに発音できない。しかし,帰宅してからも自然と口ずさんだり,ハミングしたりするくらい何度も練習している。授業では,家の種類や間取りについて学習した。日記は「あなたが恐れているのは何か? そして,その理由は?」だった。今回のテーマにみんな盛り上がっていた。午後からはたくさんのホストファミリーが加わってにぎやかにアメリカでの誕生日の祝い方を体験させてもらった。椅子とりゲーム,爆弾ゲームのアメリカ版を楽しんだ後,ピニャータと呼ばれるメキシコ版スイカ割りゲームをした。バースデーソングを歌い,ホストファミリーが準備してくれたバースデーカードとプレゼントを開け,ケーキを食べた。とても楽しいひとときを過ごした。

生徒の日記より

今日はバースデーパーティーがありました。みんなで遊んだり、ケーキやアイスを食べたりとても楽しかったです。最近はつたないけれどもなんとなく英語を話せるようになりました。意味が私の言いたいことがちゃんと伝わったよりも英語を話すか話さないかが大事だと思います。なので、自分が英語を積極的に話せるようになったのでよかったです。

 

8月02日(木)

8時半にスタディセンターに集合し,3時間以上かけて貸切りバスでサン・フランシスコへ向かった。研修生たちが最も楽しみにしていた終日研修が始まった。まず,ゴールデン・ゲート・ブリッジで集合写真を撮り,ピア39という海辺のショッピングモールで買い物を楽しんだ。初日にハンバーガーを買うのにオドオドしていたあの表情はもう無い。集合時間ぎりぎりまでアイスクリームやお土産を買うのにあっちへこっちへと走り回っていた。研修員たちの吸収力には目を見張るものがある。さすがに若く,柔軟だ!最後に科学館へ行った。さまざまな実験や科学的な仕掛けのしてある展示がたくさんあり,見よう見まねで遊んだ。帰路の途中で夕食をとってソノラに帰りついたのは22時を過ぎていたが,数組のホストファミリーが同行してくれたので最後まで歌ったり,写真を撮ったり,会話したりとバスの中はにぎやかだった。

生徒の日記より

科学館みたいな所では、何も買わなかったけど、おもしろい実験がいっぱいあって、とても楽しかった。帰りのホストマザーの車で帰っているとき、野生のフクロウが飛んできたからビックリした。IN-N-OUTでは、最初の日に来たときよりも、スムーズに注文できたから、すごく嬉しかった。

 
8月03日(金)
今日はMiyukiとAkikaがホストファミリーと週末旅行に出掛けて欠席だった。スタディーセンターの向かいにある広場で午前中,野球とサッカーをした。ほとんどの研修生はどちらのスポーツもしたことがなく最初はしぶしぶという感じだったが,実際に2グループに分かれて試合が始まると,大騒ぎしながらヒットを打ったり,果敢にシュートしたり,ボールを取り合ったりして盛り上がった。ただし,水分補給や休憩をとりながらとはいえ,夏,カリフォルニアの屋外はとにかく暑い。スタディーセンターに戻って思う存分水を飲むと生き返った気がした。午後の授業では,宿題の確認をした後,町の周辺について会話を中心にした授業が進められた。日記は「もしも自分が動物だったなら…だろう。なぜならば…。」というテーマだった。私たちのグループは異年齢集団だが,日に日に助け合う雰囲気ができてきたと感じる。
 

8月06日(月)

週末はホストファミリーの結婚式前夜祭に参加したり,バイクレース見学をしたり,観光地を訪れたり,ローラーブレードを楽しんだりと,屋外で過ごした研修生が多かったようだ。研修員の一人がお土産にジェリービーンズを買ってきてくれた。『ハリー・ポッター』の物語の中にいろいろな味のするこのお菓子の話が出てくるように色ごとに味が異なっている。物語さながら一つ食べるごとに「まるで香水のような味だ〜!」「舌が真っ赤になった〜!」と大騒ぎしながらみんないくつも口にほおばっていた。授業では,学校生活に関する対話を練習した。午後からソノラにある消防署と警察署を訪問した。私たちが消防署に向かう途中,火事発生の連絡が入り隊員が出動したところだった。夏の間空気が乾燥しているからか,火事のニュースをよく耳にする。警察署でも隊員や白バイ,パトカーを前ににぎやかに写真撮影をした。

 
8月07日(火)
今日は,スタディーセンターでアメリカの祝日,独立記念日,クリスマス,感謝祭について学んだ。手けしてそれぞれの祝日をお祝いするときの飾りつけを楽しんだ後,最初に,グレイ先生からアメリカの歴史を教わった。アメリカにHome Teachingという教育システムがあり,家庭での教育も認められているそうだ。グレイ先生は実際に教師としてお子さんたちをずっと自宅で教えている。勉強の後に独立記念日によく食べられる七面鳥のサンドウィッチを作って食べた。次に,クリスマスの本来の意味を学んだ後に,ホワイト・エレファント・ゲームと呼ばれるプレゼント交換が行われ,ホストファミリーからクリスマスプレゼントをいただいたり,クッキーにクリームやチョコペンで飾りつけておいしくいただいたりした。最後に,感謝祭について学んだ。一日中ホストファミリーと一緒に本当に楽しく学ぶことができた。
 

8月08日(水)

スタディーセンターから2時間半かけて貸切りバスでヨセミテ国立公園へ向かった。そこは標高600〜4000mに位置し,東京都の約1.5倍の広大な公園だった。食事中に数匹のリスが足元をうろちょろしていた。しぐさがかわいくてつい食べ物をあげたくなったが,野生動物には人間の食べ物を与えてはいけないことになっている。塩分・油分・糖分等が過剰なのだ。最初に,もっとも有名なヨセミテの滝を見た。今年の冬は雪があまり降らなかったために雪解け水が少なく,滝にほとんど水が流れていなかったのは残念だった。しかし,下からせりたった急ながけや巨大な木々などを見上げ,その眺めに圧倒された。次に,ミスト・トレイルと呼ばれる片道約1qの山道を歩いてヴァーナルの滝を見に行った。遠目ではあったが水の流れ落ちる美しい滝を楽しむことができた。今日は一日中自然を満喫する一日だった。

 
8月09日(木)
今日はのど痛や頭痛を訴える研修生がいた。空気が乾燥しているためにのどや鼻を痛めやすく,日中の気温は約30℃でも朝夕は16〜17℃ということがあるので体温調節がしづらいのだ。また,ホームステイの半分の日程を終え,緊張感が解けてくる時期だということも関係しているかもしれない。日本から持参した薬を服用し,水分・栄養・睡眠を十分にとるように伝えた。外国では症状にあった薬を手に入れるのは容易ではない。副作用等を考えると安易にホストファミリーが使用している薬を服用させるわけにはいかないからだ。乗り物酔いの薬や腹痛時の薬も同様に日本から持参することをお勧めする。今日は午前の授業後,トゥウェイン・ハートという所へ移動し,屋外で昼食をとった。その後,数名の見学者がいたが,ミニチュアゴルフとプールを楽しんだ。みんなにはホームステイ後半も有意義な時間を過ごしてほしい。

生徒の日記より

8月6日は毎日が充実していて分からなかったが、8月9日、今日は長崎に原子爆弾が投下された日である。日本に原子爆弾を落とした国は、今私達がホームステイさせてもらっているアメリカである。今、自分達が生きているということは、当たり前ではなくて、犠牲になった人がたくさんいることを心に刻み、そして生きたかったけれど生きれなかった人、自分の青春を奪われた人などたくさんの方々の思いも今、受け止めながら、一生懸命生きていきたいと思う。私の祖母は、私がアメリカに行く機会を得られたことに対してとても喜んでくれたが、私や私の家族以上に落ち着かないようでそわそわしていた。鹿児島を旅立つ前の電話の声は涙声だった。その声を聞いた時、「自分は一人じゃないんだ!」と思ったし、「戦争で戦った遠い遠い国に行くんだ。無事に帰ってこれますように!」という祖母の愛が伝わってきた。今でも世界中で殺人や盗みや戦争、いろいろなことがおこっている。食べかけを捨てる国もあれば、食料がなくて飢えている国もある。今、日本で自殺とかあまりよくないニュースを耳にしたりするが、私には、どれほどその人苦しかったか、つらかったかは、分からないが、生きたくても生きれない人もたくさんいる。視点を換えれば、私達が悩んだり苦しんだりしている今もたくさんの幸せがころがっているのではないかなと思う。二度と戦争はしない、してはならない、そして、世界中で戦争がなくなって欲しい。

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今日は、ホストマザーから「サプラーイズ!」と言って母たちからの手紙を渡された。その手紙のおかげでなんだか元気をもらえました。

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今日、授業では、気持ちを表す単語をたくさん教えてもらいました。グレイ先生が表情で楽しく、わかりやすく教えてくれたので、すぐ理解することができました。午後からはタウインパークという所にいきました。とても気持ちのいい所でランチを食べてそれからゴルフをしにいきました。僕は一番下手だったけど、みんなでやって楽しかったです。

 
8月10日(金)
体調不良の研修生たちは少しずつ回復している。少し安堵した。ホストファミリーとの生活,授業,宿題,どれも大切だが,まず健康でなければいろいろなことに挑戦したり,心から楽しんだりすることは困難だろう。改めて「健康管理」を優先するように伝えた。授業では,笑いが絶えない。7月7日に初対面した時のぎこちなさは消え失せ,みんなリラックスしている。12名という少人数のため,男女や学年の枠もほとんど感じられないくらい仲がよくなってきた。今,休み時間を利用して自主的にさよならパーティーの演目練習をしている。実に楽しそうだ。午後からコロンビア・ステート・パークへ移動し,屋外で昼食をとった後,ゴールド・ラッシュ当時の西部の町並みを馬車に揺られて見学した。映画などの中でしか見たことがなかった当時の暮らしや金をどうやって見つけて採取したのかも学ぶことができた。

生徒の日記より

今日は初めて日本料理を作った。料理は「Egg cake」。上手にできるか心配で、ずっと台所をうろうろしていた。みんなが帰ってきてから、早速作った。1回目は砂糖を少なめにして、なんとか巻くことができた。2回目は砂糖を結構入れたので、巻く時少し重かった。でも、きれいに作ることができたうえに、ホストファミリーがおいしいと言ってくれたので、とても嬉しかった。今まで日本料理を作りたかったが、「まずいって言われたらどうしよう」とずっと思っていて作ることができなかった。でも今日少し自信がついたので、これからはもっといろんな日本料理を作ろうと思った。

 
8月13日(月)
まだ数人,少しのどや頭が痛む生徒がいた。やはり全員がそろい,笑顔で元気に過ごしていないと,心から喜べない。午前中,英語の歌の合唱,英会話の練習をした。日ごとに大きな声で歌詞を見ずに歌えるようになってきた。うろ覚えの歌詞の部分で「フゥーフゥフゥー♪」と満面の笑みで歌っている振りをしているのが,また,おもしろい。英会話練習では高校生が先生役になってみんなに英語で指示を出したり,二人組みになって英会話を練習したりしながら,和気あいあいと発音や会話内容を確認していた。午後からは,ソノラのメインストリートに出かけ,グループで興味のある店に入って自由に買い物を楽しむ活動だった。日本の家族や友だちにお土産を買ったり,みんなでアイスクリームを食べたりして楽しんだ。日記に「まだ日本に帰りたくないなぁ。」という文章が見られるようになった。充実している証拠だろう。
 
8月14日(火)
生徒たちが元気に登校した。ただそれだけで嬉しい。今日からはいつもの活動に加えてスピーチをアメリカ人のように発音する練習が始まった。Yukiは英語を学習し始めてまだ数ヶ月しか経っていないため,単語のつづりを見てもまったく発音が想像できないようだ。しかし,グレイ先生の発音を聞いた直後にきれいに発音できていた。すごい!と思う。これから語彙や文法,発音とつづりの関係が理解できてくれば,どんどん伸びていきそうだ。今後の成長が楽しみだ。午後からは,老人福祉センターを2ヶ所訪問した。いずれも病院の敷地内にあり,看護士からのケアを受けながら生活している高齢者だ。英語の歌を合唱し,Shiori, Sho, Miyuki, Aoiがピアノを演奏する中,折り紙で動物や花を作ってプレゼントした。担当者から「日頃,笑わない人が嬉しそうに笑っているのを久しぶりに見たわ。」という最高の賛辞をいただいた。
 
8月15日(水)
スタディーセンターから3時間かけて貸切りバスでグレート・アメリカ・アミューズメント・パークへ
向かった。日頃の集合時間よりも一時間早かったが,誰ひとり遅刻することなく出発することができた。研修生たちが心待ちにしていた終日研修だったことは言うまでもない。昼食を済ませた後,5時間の自由行動。「解散!」の声を聞くとすぐに園内の地図を握りしめてできるだけたくさんの乗り物に乗ろうと各グループが走り出した。みんな今日ばかりは写真撮影よりも遊ぶことに専念し,乗り物から乗り物へとひっきりなしに飛び回っていたようだ。その証拠に広い園内を何周も歩き回ったが,約2時間誰にも出会わなかった。また,終日研修で訪れる場所では,いずれもお土産品の値段が高い。持ってきたお小遣いをやりくりしながら買い物をしているようだった。今夜は,みんな愉しい思い出を胸にぐっすりと眠れるだろう。
 
8月16日(木)
今朝は昨日の疲れのためか少し大人しかった。午前の授業の最後に20日に迫って来たさよならパーティーについて話し合った。日本料理調理班と会場設営班に分かれ,みんなから集める物,ホストファミリーから借りる物,購入する物を確認した。昼食時間になり,明日引き続き話し合うことを告げてもなかなか終わらない班もあった。ホストファミリーへの感謝の気持ちを込めて,みんなで成功させたいという想いが伝わってきた。出し物の順番を確認し,プログラムも決定した。午後からは,Janさんという芸術家が講師として来てくださり,州花カリフォルニアポピーをモチーフにコラージュという技法を丁寧に教えてくださった。疲れているように見えた研修生たちも真剣な眼差しになって没頭していた。どの作品も個性的で美しい出来ばえだった。作品にサインし,ホストファミリーへプレゼントする研修生もいたようだ。
 
8月17日(金)
今日はさよならパーティーに向けてスタディーセンターの一角にあるサンクチュアリと呼ばれる場所で歌の練習をしたり,話し合いをしたりすることができた。もちろん,会話練習や発音矯正のための早口言葉,スピーチ音読練習もたっぷりと行った。午後からは,ボランティア活動として洗車を行った。事前にグレイ先生がホストファミリーにチケットで参加者を手配しておいてくださったおかげで平日の午後にも関わらず,たくさんの車が集まった。この収益金はアメリカの研修生が日本へ戻る際の奨学金の一部として役立てるそうだ。私たちはソノラでたくさんの人々の善意によってさまざまな交流を体験させていただいている。英語力向上はもちろん大切だが,親元を離れて生活することで研修生たちの中に自分のことに責任を持つこと,相手のことを思い遣り互いに助け合うことが自然にできるようになったと思う
 
8月20日(月)
今日はいよいよさよならパーティー当日だ。70名分の日本料理と14ものプログラムを計画していた。Renaをリーダーに5名の調理班がおよそ4時間、ほとんど休憩をはさむことなく働いた。そのおかげでカレーライス、肉じゃが、3種類の卵焼き、ちらし寿司のおにぎり、羊かん、麦茶を振舞うことができた。また、Rikiをリーダーに7名の装飾班が折り紙や書道の腕を存分に発揮して会場作りに奮闘した。夕食はBurger Kingのファーストフードで済ませ、ほとんどの女子研修生が浴衣に着替えて、準備万端整った。7時にTCのスピーチでプログラムは幕を開けた。これまで何度も練習してきた「幸せなら手をたたこう」「This land is your land」「It's a small world」の合唱に続き、Sho、Miyuki、Shioriがそれぞれピアノを演奏した。ここまでのプログラムはサンクチュアリ(スタディーセンターの礼拝堂)で行われ、荘厳な雰囲気だった。ここでダイニングルームへ移動して50名以上のホストファミリーが日本料理を堪能した。どの料理も好評を得た。後半のプログラムは専用の部屋へ移動し、Aoiのスピーチ披露、Rikiのグループ代表挨拶、Asumaの手品、Yukiのちょんかけ独楽、ホストファミリーと研修生ペアによる二人羽織、Rena率いる10名によるソーラン節と続いた。研修生たちはホストファミリーへの感謝の気持ちを込めてこれまで準備してきたすべてを出し切った。その甲斐あってどの演目も大盛り上がりで、ホストファミリーに喜んでいただけた。ガレージセールボランティアのために持ってきていた日本の品でオークションを行った。ホストファミリーはもちろん、研修生も交えて競り合いが行われた。この収益金も奨学金に生かされる。そして、最後のプログラム。ホストファミリーへの手紙を読み、修了証書を受け取った。一組一組、言葉にならないお互いの想いを握手、ハグ、涙で伝え合った。パーティーの終了を告げようとするグレイ先生に、研修生全員から寄せ書きが贈られた。こうして、4時間近くにおよぶ盛大なパーティーが幕を閉じた。
 
8月21日(火)
今日はパインクレスト湖というソノラから40分程はなれた所で、丸一日過ごす計画だ。昨夜の疲れもあって、最後のホストファミリーが到着したのは12時近くだった。雪解け水なので湖の水は冷たかったが、ホストファミリーも交えて泳いだり、カヌーに乗ったり、湖の周囲をハイキングしたりして楽しんだ。昼食後、英語の評価テストが行われた。グレイ先生はこのホームステイ開始直後に個人面接をしていた。英語でいくつかの質問を研修生になげかけて、その応答の様子を記録していたのだ。今回は一人一人にその時と同じ質問をして、4週間の上達度を評価した。また、スピーチ音読の評価テストも行った。研修生は、授業はもちろん、ホストファミリーとの日常の生活や校外活動、終日研修でのコミュニケーションを通して多くを学んだ。昨日の日記にこのような言葉があった。「ここに来て一ヵ月経ったけれど、自分は何か変わったのだろうか。何か吸収できたのだろうか。CLASSでグレイ先生が教えてくれた単語の発音とかアメリカンマウスとかそういうものではなくて、一ヵ月前の自分と何が変わったのだろうか。今の私には分からない。ただ分かることは、NICEなホストファミリーに出会えたことと、最高の仲間たちを持てたことである。」この言葉でこの一ヵ月間、研修生たちがどのように生活してきたかお分かりいただけるだろう。

 

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