ケーススタディ


ケーススタディとは?

これまでの留学生が起こしたトラブルや、現地で起こった問題などを実例としてあげ、これから留学する皆さんに、自分の事として考えてもらうためのものです。このケーススタディによって、自分自身をより客観的に見つめ、判断する力を養い、また、アメリカ人の物の考え方や生活習慣を事前に知る事で、トラブルを未然に防ぐことができます。春の一次オリエンテーションでは、このケーススタディの設問に対する、皆さんの考えや意見を発表してもらいます。そのための事前学習として、あなた自身の考えをレポート用紙にまとめ、締切日までに提出してもらいます。設問の中にある問題性を、より多角的に、客観的に考えることで、自分自身の判断力を養ってください。

 

ここでは100問ある問題の中から5問を紹介します。

01.

小山さんは7月の夏休み前に、第2次募集で交換留学に出願し、合格して事前学習の準備をすでに開始してい る学生です。英語は大変好きで、最も得意な教科の1つであり、高校留学は中学校からの希望でした。お母さんは、ずっと彼女の留学を絶対的に賛成してくれているのですが、当初は、「どうせ出願したって、おまえは不合格

 になるのは分かっているさ」と言っていたお父さんが、合格した現在でも積極的に賛成してくれません。「おまえ が、最後までやっていけるものか」「ホームシックにかかって泣くのは決まっている」「他人の家で生活するのは、はりのむしろの上で生活するのと同じだ。自宅で何不自由なく、気ままに生活しているおまえには、苦労があまりにも大きすぎる」などと、今ではむしろ留学には不賛成のような口振りです。お父さんを説得してもらうように、お母さんに頼むと、「どうせ最後になったらお父さんは賛成してくれるのだから」と、お母さんは余りお父さんに口答えをしないようにと小山さんに言います。でも、小山さんとしては、お父さんのこのような考え方の中で、集中して留学の準備をする気持ちにはなれません。小山さんは留学する気持ちでいますが、果たしてお父さんが本当に許可してくれるのか、気がかりのまま、夏休みも終わろうとしています。さて、小山さんとお父さんとお母さんの 3人 に、この問題を解決する適切な助言を与えてください。

02.

片山さんはIEPを受ける予定の高校1年の交換留学生です。昨年の6月にお母さんと説明会に出席し、出願して、カウンセリングを受け、書類の手続やORNなどもすべてお母さんと出席して、準備してきました。お父さんは 自営業者で、普段は忙しいので、これらのことはすべてお母さんに任せっきりの状態です。出発まであと1ヵ月という6月の中旬頃、IEP期間中のHFの連絡がMNCCに入り、MNCCからその家族状況を連絡した矢先のことでした。MNCCに電話が入り、片山さんのお父さんがおっしゃるには、「例え5週間でも、自分の娘がメキシコ人の家庭に滞在するのはけしからんので、余分にお金は出すので、白人家庭に変えてくれ」ということです。また、「16歳のHTと同じ部屋で生活するのも許せない。娘の専用の部屋を提供できないような家庭は、HFとして経済的に失格。」とおっしゃいます。さらに、「娘は英語が分からないから、もしものことがあった時、相談できるように、日本語の理解できるHFを紹介して欲しい。できるなら、アメリカでの最初の家庭なのだから、英語も日本語もできる日系人の家庭を希望する」と言われます。もしもの時にはACがいますので、その方が相談に乗られますからと説明すると、その時は電話を切られました。ところが翌日、さらにお父さんから電話があり、「そのACというのは、日本語がわからない人というではないか。それでは話にならない。日本語もできないACには、カウンセリングの仕事はできないではないか」と言われます。そして最後に、「娘は生まれてこのかた、炊事、洗濯、料理などの家事一切は、全くしたこともないような箱入り娘だから、父親として気がかりではあるけれど、現地では、そこを充分に配慮してお世話いただくように連絡していだだきたい。」と一方的に用件だけを言われて、電話を切られました。さて、片山さんのお父さんの問題性はどのような所にあると思いますか。

03.

武田君は、学校で英語IIとアメリカ史のクラスを取っています。2つともとても難しい教科でその上宿題も大量に出ます。日本と違い、アメリカの高校では、時間割が毎日同じ為、その宿題は、次の日迄に仕上げなくてはいけません。武田君は、夜遅くまで必死に勉強しているのですが、HPからは、早く寝るように注意されるし、宿題は、充分できないし、とても困っています。あなたが武田君ならどうしますか?

04.

9月も終わろうとしているのに、植村さんはまだ友達がいません。自分からは積極的に話し掛けているのですが、相手にされなかったり、話し掛けても簡単な会話で終わり、長続きがせず、相手はすぐに立ち去っていきます。また、日本から持ってきた写真や本などを使って、相手と親しくなろうと努力も続けていますが、なかなかうまくいきません。クラブ活動に参加して友達を作ろうとしましたが、どのクラブも入部は終わっていて、入れるクラブもありません。時には1日中、学校では全く話しをしない日もあります。家に帰っても、HFは、夕方まで帰って来ずに一人で過すことになります。さて、植村さんはこの環境からどうやって脱出を試みればいいのでしょう。

05.

阿部君が留学して5ヵ月が経ちました。先日MNCCから届いたスチューデントレポートには、学校での生活にも慣れ、HFとの生活も順調であると書かれており、阿部君のご両親もとても喜んでいました。ところが、突然、阿部君から「自分のスーツケースの中に保管してあったお金が紛失した。それが原因でHBとの関係がうまくいかなくなったので、今日HFを変わる。」と電話がありました。そして、数日後、MNCCから「HDの仕事の都合で、引っ越すことになり、HFを変わりました。」と説明された阿部君のご両親は、その理由が異なることに疑問を持ちました。また、阿部君から聞いたHFの変更が3日後に知らされたことにも動揺しました。何故、このような大事なことが3日後に連絡されるのか、そして、何故変更の理由が異なるのか、阿部君のご両親の不信感は、増大していきます。さて、留学期間中に日本と米国との間でよくある事態ですが、このような事態を引き起こしている大きな要因をあなたは何だと思いますか。

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